曇天さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

曇天

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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

3.5

冒頭で主人公は老人ホームの中をヘルパーの助けを借りて歩くのだが、知人と行き交う度に名前を教えられるのをうっとおしく感じる。お年寄りというのは本当の症状以上に気を遣われ過ぎていて、それを疎んで、あらかじ>>続きを読む

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(2015年製作の映画)

4.1

映画として普通に面白い。
フリッツ・バウアーは異端のナチハンター。検事長ながら法を逸脱したやり方で捜査する。しかし、連邦情報局の要職にはナチ側の人間がいて妨害を図ってくる。本人はユダヤ人であるために復
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.5

史実の振り返りを後述したので感想からいくと、思わず今年一番好きな映画になってしまった一本。自分が好きなのはひとえに撤退作戦の持つ「戦わずして逃げる」という性格を前面に押し出している点。『プライベート・>>続きを読む

パッセンジャー(2016年製作の映画)

3.5

デートで観ても女の子に文句言われないタイプのSF映画なのかなと思いながら一人で鑑賞。

広い宇宙船に2人っきりでロマンチックに浸りたい人向け☆かなと思ったら割とシビアな問題が出てくる。事故で一人だけで
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ワンダーウーマン(2017年製作の映画)

4.0

どう書くか色々考えましたが批判も手放し大絶賛もしないことにしました…。色んなところで小規模にバズってるけどあんまり話題にならないからモヤモヤしてましたが、自分もそれに乗っかるほど反フェミニストではない>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.5

まただ。韓国映画にまた驚かされた。
『グエムル 漢江の怪物』は国に翻弄される国民に警鐘を鳴らす社会派怪獣映画だったが、パニック映画の皮をかぶりながら危機意識を揺さぶる映画がまたやってきた。…といった第
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パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(2017年製作の映画)

3.8

色々思い出したわ。史実とは異なる海賊像を出して臆面もなく海賊万歳をやっちゃうし、童話並に魔法の力に頼っちゃうし、いい感じのペアがくっつく様が必ず見れる。最初からそうやって成立してたシリーズだった。でも>>続きを読む

ハードコア(2015年製作の映画)

4.0

制約がある中での自由の楽しさがとてもよくわかる作品。脚本的アイデア、テーマ的アイデア、アクションのアイデアの全てがよく練られている秀作。

全編FPS視点が最大の触れ込みではあるが、主人公はサイボーグ
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LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

4.6

X-men映画も早10作目。昔ながらのシンプルな作りでかなり好きです。

今までのX-men映画がアメコミなら今回は完全にグラフィックノベル調。荒野が舞台の西部劇風味、頼る者がない孤立者のロードムービ
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美しい星(2017年製作の映画)

4.0

さすがの吉田監督、考えなくても観ているだけで楽しい。
原作の粗筋を見る限り、脚本にはかなりアレンジが加えてある。「地球温暖化」という現代風のトピックに見合うように、各パートでパズルのような擦り合わせが
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ソング・オブ・ザ・シー 海のうた(2014年製作の映画)

3.8

アイルランドの羽衣伝説、セルキーを題材としたアニメーション作品。
海外のアニメ作品を観る時に楽しみなのは独自のキャラクターデザインや表情のアクションなど。カートゥーンひとつとってみても見たことのないバ
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.5

最高!
テレビアニメ『四畳半神話大系』が好きな私からしたら題材から座組みまでどう転んでも傑作でしかないんだが、ここまで驚かされるとは。劇中ずっと湯浅監督独特のあのオーバーな戯画的表現と哀愁漂う比喩描写
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バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)

4.3

観てよかった。災害の怖さがわかる。どうなるかわかった上でも緊張感を煽り、詳しい原因は説明せずに事故までのプロセスを視覚的に表現して見せている。特に泥水が噴出するまで、引火する火種が出来るまでが丁寧に描>>続きを読む

セルフレス/覚醒した記憶(2015年製作の映画)

3.5

ライアン・レイノルズは立て続けに似たような役柄をやってるのが可笑しい。『デッドプール』では人体改造されて醜い面に生まれ変わり、『クリミナル 2人の記憶を持つ男』では死んで他人の脳に記憶を移植されるCI>>続きを読む

キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

4.3

夕陽にキングコングの立ち姿がこんなに映えるなんて。

王道のモンスターパニックをやってて好感。しかもドラマも面白い。とにかく各所のシークエンスで浪漫衝動を否応なく掻き立てられる。冒頭の墜落シーンからも
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

昔の傾向は詳しくわからないが、少なくとも近年のアカデミー賞作品賞は社会的弱者にスポットを当てた作品がよく取っている気がします。下馬評では有力と思われていなくても、アカデミー賞受賞で高まるネームバリュー>>続きを読む

FAKE(2016年製作の映画)

4.5

内容が想像していたよりかなり充実していて面白かった。
と同時に、観ていてハラハラするのだ。まず佐村河内側の視点から状況を撮っていく映像であるから、そこは当然彼の人生のどん底だし、ちょくちょく嘲笑する声
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特捜部Q 檻の中の女(2013年製作の映画)

2.5

…はしょったなー。贔屓目なしに言うが原作とは全くの別物だわー。

つい最近存在を知って小説取り寄せて、その後映画化されてるのを知ったので、気に入ったものが映像化されててラッキーという気持で読み終わるの
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モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

4.0

モアナの公開日が4ヵ月近くも遅れることが不満で、日本公開をずらす理由をずっと考えていました。『アナ雪』に感銘を受けていたため、自分が観たいかは関係なく悶々としていたのです。気づいたら、公開初日に子供た>>続きを読む

アサシン クリード(2016年製作の映画)

4.5

またボンクラを喜ばせてくれる一大コンテンツが実写化。
ゲーム版から多少設定を作り替えてるが「映画にするなら」を念頭に据えてブラッシュアップ。SF的舞台装置と歴史上の事件へのタイムスリップ、陰謀論、パル
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.8

なんとも、感想を書くのが難しい映画がやってきた。何せ自分は昔の古い映画にもジャズにもミュージカルにも詳しくない。情報部分以外はごくごく古典的なロマンチックドラマ、それ以上を語るとネタバレになってしまう>>続きを読む

シチズンフォー スノーデンの暴露(2014年製作の映画)

4.0

自分には関係のない世界の出来事と思っていても、最近では日本でも権利保護の主張が耳に入ってきます。普通に生活しているだけでは、昨今の「共謀罪」に対する危機感を抱きにくいなあと思ってしまいます。犯罪になる>>続きを読む

コンカッション(2015年製作の映画)

4.3

アメリカの病理がこれでもかと詰め込まれてる。

主人公オマルはアメフト競技中の脳への衝撃が原因で起こる認知障害を偶然発見する。何度も脳が揺さぶられることで溜まるタンパク質によって神経に負荷がかかり普通
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年製作の映画)

3.5

ドローン攻撃に関しては記録の公開が少ないので、確実にこうとは言えませんが映画の描写に関連することで少しまとめてみます。

これ難しいのは、作中での問題の焦点が本当はどこにあったのか、だ。上層部がどの点
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.0

飛行機事故に遭う確率の低さはよく知っていましたが、それが不時着水を余儀なくされる場合は、波が穏やかな水面である確率、陸地のそばで迅速な救助が可能な場所である確率、エンジンが停止しても残った発電機によっ>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.7

なぜ今までなかったのか、疑問に感じるくらい簡素な設定。地味過ぎて映画にならないと思われていたのかな。盲目の敵から逃げるというシチュエーションは見た経験があったかもしれないが、今回はソリッドシチュエーシ>>続きを読む

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年製作の映画)

4.5

スターウォーズ一作目の陰の部分。本格エスピオナージをフォースなしの地でいくチームローグワンに称賛!

自分はスターウォーズのキャラよりも世界観が好きだったから、スカイウォーカー家ではない話は歓迎だった
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.5

戦争映画のパラダイムシフトを目撃してきた。日本の戦時中とはとかく物資・食糧不足で困窮しながら、暴走国家の要請によって資源を差し出し我慢を強いられたものだと「負の歴史」ばかりを映像化し公開。それを教材に>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016年製作の映画)

4.0

ハリポタシリーズを初めて映画館で鑑賞。過去作で一番満足できました。
ハリポタの映画で製作側が何に一番気を使っているかと言ったらやっぱり舞台や衣装、小道具といった世界観の設計だと思う。1920年代の時代
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016年製作の映画)

3.5

本作はとにかくリーチャーの超人っぷりを見せつけられる。冒頭ではケンカが強いだけじゃなく頭もキレるぜということを。その後も車で尾行する連中を自慢の膂力で瞬時に黙らせる。正義感はあるけどかなり危険な奴とい>>続きを読む

ルパン三世 ワルサーP38(1997年製作の映画)

4.0

どうもこういった過去をやり直す系の話に弱いなあ俺。

今回はいつものように世界を飛び回ってお宝を盗む話ではなく絶海の孤島が舞台。謎の暗殺集団にルパンを装った予告状を出され、銭形銃撃の濡れ衣を着せられた
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めまい(1958年製作の映画)

4.0

ずっと気になっていたけど『めまい』というタイトルからとてもあんな話は想像できない。ラストはすごすぎて頭を抱えた、まさに発狂ものの映画。

今までいろんな恐怖の種類を体験してきたけど監督の扱う恐怖はすご
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アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

4.0

序盤の日常シーンは邦画的な演出のたどたどしさがチラつくんだけど、進むにつれて細部のアラがだんだん気にならなくなる。これって演出の上手い部分が下手な部分に勝ってるんじゃなくて、脚本が強引に引っ張っていく>>続きを読む

フッテージ(2012年製作の映画)

4.0

ホラー映画が好きなのはホラー描写が本当にいやで怖いと思っているからです。または耐性を持ちたいんです。作り物だから残酷描写が楽しめるんであって勿論現実とは切り離してます。あしからず。

まず冒頭の首吊り
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完全なるチェックメイト(2014年製作の映画)

3.5

当時の米ソは対立構図なら何でも代理戦争に仕立てあげてたみたいだな。直接は描かれていないけど、国の威信をかけた世界王者を決める戦いなんだから相当のプレッシャーがあったんではなかろうか。本作の主人公はそれ>>続きを読む

映画 聲の形(2016年製作の映画)

4.8

将也は小学生の頃、硝子をいじめる側の中心にいたが教師にいじめの真実を問われた際、他にいじめていた子達の裏切りに遭って、逆にいじめられる側に回ってしまう。そこで誰も信用できなくなって、高校生になっても自>>続きを読む