ミュージックビデオ、CM、短編の監督を務めてきたアメリカのアイザイア・サクソン監督のA24配給による長編デビュー作。
『システム・クラッシャー』で注目を集めたヘレナ・ツェンゲル演じる少女ユリと、オチと呼ばれる生き物の交流を描くファンタジー・アドベンチャー。
ファミリーでも楽しめそうな、心洗われる読後感でした。

黒海に浮かぶ小さな島カルパティア(架空)の人里離れた村で父マキシム（ウィレム・デフォー）と暮らす、ユリ（ヘレナ・ツェンゲル）。
父は、孤児だったペトロ（フィン・ウルフハード）と、村の家族から預かっている7人の少年たちを、オチという恐ろしい生き物の防衛のためだと、日々武装訓練させている。

父のことを信じておらず、出て行った母ダーシャ（エミリー・ワトソン）に会いたいユリ。
ある夜、マキシムは子供たちを引き連れて、森の中のオチの狩りに向かうが、その状況の中、一匹の子供のオチが取り残されてしまったのを見たユリは、翌日、そのオチを救うため、一人森へ向かう。。。

豊かな自然のファンタジックな世界。
原生林の奥地で暮らすオチたちの鳴き声。
人間と動物の言語を超えたコミュニケーション。

ヘレナ・ツェンゲルは本作でも素晴らしい演技を見せてくれます。
なんとも可愛い子供のオチは、アニマトロニクスとパペットによる人形劇で、大人のオチたちはスーツアクター(着ぐるみ)＋アニマトロニクス内蔵の頭部で演じられたようです。

監督自身のウクライナ系のルーツと東欧カルパティア地域への敬意を表するため、この地域の文化的背景（ウクライナ語など）が反映されているとのこと。

A24公式サイト
https://a24films.com/films/the-legend-of-ochi

監督が2008年に制作したビョークの「Wanderlust」のMusic Videoは本作に通じるような内容でした。
https://youtu.be/KJRiBDMfrTU

予告で既に傑作の匂いがプンプンしてますねぇ

"オチを帰しに三千里"

『グレムリン』(オチのデザイン)や『ドン・キホーテ』(父のデザイン)や『E.T.』(物語の設定)や『ダーク』(黄色のレインコート？のデザイン)など所々オマージュを想起させるアドベンチャー映画。