
何度失敗しても果敢に捕虜収容所からの脱走を試みる伍長の姿を通して、生きる歓びと素晴らしさを描いたルノワールの遺作。自身の代表作『大いなる幻影』(37)の変奏とも言える作品だが、シリアスでペシミスティックな『大いなる幻影』に対し、本作はより軽快なタッチと魅力的なキャラクター描写により軽快な喜劇に仕上がっている。ルノワールは「敗れた者の精神についての映画を作りたかった。『大いなる幻影』はその反対に勝者の映画だった。先の大戦は私たちに一つのことを教えてくれた。そこには敗者しかないということである」と語る。『フレンチ・カンカン』(55)の成功でフランス映画界へ復帰したルノワールだったが、その後の作品は不振が続き、晩年アメリカで暮らし母国へ帰ることは叶わなかった。何度失敗してもパリに帰りたいと願う本作の主人公の姿は、まさに自身の心情と重ね合わされていたのかもしれない。出演は『ブルジョワジーの密かな愉しみ』(72)のジャン=ピエール・カッセルと『はなればなれに』(64)のクロード・ブラッスール。エリック・ロメールは本作をオールタイムベストに挙げるほか、「カイエ・デュ・ シネマ」誌にてその年のベスト10に選出された。
第一次世界大戦。マレシャル中尉とポアルディウ大尉はドイツ軍の捕虜となる。同じ軍人ながら、出自に身分差がある2人の間には溝が生じていた。そんななか、所長のフォン・ラウフェンシュタインは敵国の…
>>続きを読む第二次大戦中のドイツの第17捕虜収容所第4キャンプ。ここにはアメリカ空軍の軍曹ばかりが集められていた。ある時、2人の捕虜が脱走を試みるが失敗する。捕虜たちは、セフトンを密通者として疑いだす…
>>続きを読むジャン=リュック・ゴダールから、映画界への最後の贈り物。2022年9月、彼が自ら選んだ死の前日に完成した、本当の遺作。コラージュ技法による18分の本編と、ゴダール自身が制作ビジョンを語るド…
>>続きを読む『荒野の七人』のジョン・スタージェス監督、スティーブ・マックイーン主演作。第二次世界大戦中のドイツ。脱走に悩んだドイツ軍は脱走不可能な収容所を作るも、捕虜となった連合軍の兵士たちは250人…
>>続きを読む現代のパリ。アパートの管理人にして武器商人の男。骸骨集めが大好きな人類学者。ふたりは切っても切れない縁で結ばれた悪友同士。そんな彼らを取り巻くちょっとユニークな住人たち。覗きが趣味の警察署…
>>続きを読む© 1962 STUDIOCANAL. Tous droits réservés