極めつけはクライマックスの海岸です。焦燥感から娘の経管チューブを突発的に抜き逃げ出した彼女は、夜の冷たい海へ何度も入っていき波に激しく跳ね返される。この不毛な格闘は、理不尽な構造や重圧に対して力なく抵抗する切実な抗いそのもの。原題には、" If I Had Legs I'd Kick You" 立ち上がる土台すら奪われた状態でなお抗う叫びが込められてるよう、もどかしさと限界。立つ脚すらない無力さに苛まれながらも現実を蹴飛ばしたいと願う生存本能と云える。一方、日本語タイトルは個人の負担に依存しきったシステム上の構造的欠陥と孤独を痛烈に浮き彫りにする。両者は内面の叫びと外面の冷酷な現実という表裏一体の関係を構成してるかと。