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フェザーズ その家に巣食うものの作品紹介

フェザーズ その家に巣食うもののあらすじ

コミック・アーティストの父は、突然、最愛の妻が亡くなった後、幼いふたりの息子と残される。そして、1 本の電話からヤツとの出会いが始まる…。

フェザーズ その家に巣食うものの監督

ディラン・サザーン

原題
The Thing with Feathers
公式サイト
https://feathers-film.com/
製作年
2025年
製作国・地域
イギリス
上映時間
98分
ジャンル
ドラマ
配給会社
スターキャットアルバトロス・フィルム

『フェザーズ その家に巣食うもの』に投稿された感想・評価

kuu
3.4
『フェザーズ その家に巣食うもの』
原題または英題 The Thing with Feathers
製作年 2025年。上映時間 98分
映倫区分 G 製作国 イギリス
感想文出し忘れ
最愛の伴侶を突如失い、幼いふたりの息子とともに後に残されたコミック・アーティストの男。
底の抜けたような日常を生きる彼の前に、ある日、一本の電話を契機として奇妙な存在が忍び寄る。
男が自らの手で描き出していた造形にどこか酷似したその影は、やがて、カラス(クロウ)というグロテスクでいびつな姿を結び、家の中に居座り始める。
現実の崩壊か、あるいは精神の自己防衛が呼び寄せた幻影か。

今作品は、観る者を破滅と再生の境界線へと誘うダーク・ファンタジーであり、息の詰まるような心理ミステリーとも云えると思います。

この奇妙な寓話を支えるアンサンブルには、確かな説得力が息づいていた。
精神の糸が一本ずつ千切れていくよな父の危うさを、圧倒的な熱量と繊細さで体現したのはベネディクト・カンバーバッチで、彼が魅せる、哀切と狂気が混ざり合う演技は作品の確固たる背骨となってました。
そして、彼を翻弄する異形な同居人クロウを、エリック・ランパートが身体表現の妙をもって怪演し、デヴィッド・シューリスがその声にぞっとするような深みと毒気を与えました。
また、傷を抱えた家族の傍らに立つアマンダ役のヴィネット・ロビンソン、ポール役のサム・スプルエルらが脇を固める中、何より鮮烈な印象を残すのは、今作品でスクリーンデビューを果たした双子のリチャードとヘンリーのボクサル兄弟。
幼い彼らが放つ無垢な眼差しと、母を失った空虚の対比が、物語の残酷さと愛おしさをいっそう際立たせています。

原作はもともと、小生が好きな詩人の一人テッド・ヒューズの詩集『Crow』から直接的なインスピレーションを得てたと思う。
だからヒューズへの深いオマージュが全編に流れる文学的な作品です。
また、原作の父親はヒューズの研究者という設定やったはずやけど、この映画版ではその詩と言葉の世界から、視覚的なダイナミズムを重視した絵の世界へと大きく舵が切られてると思います。 
父親の職業は、自ら異形を描き出すコミック・アーティストへと変更されてたし、それに伴い、ヒューズという具体的な詩人の存在感は表層からは影を潜めることになる(少し悲しいが)。
しかし、それはオマージュの放棄を意味はしてないと感じた。
テキストとしての詩を直接引用する代わりに、映画はカラスの不気味な造形や、インクの黒が画面を侵食していくような視覚的イメージを通じて、ヒューズの詩が持っていた生々しい毒気と野生の精神を、スクリーン上に再構築しようと試みていんのじゃないかな。
また、4:3というあえて狭く限定された画面比率(スタンダードサイズ)が採用されているとこも、この構図が、逃げ場のない家という空間の閉塞感と、男の心の窮屈さを、観る者へ視覚的に強いる効果を生み出しています。

今作品の本質がどこにあるのかを静かに見つめ直すとき、我々は喪失の受容ちゅう、あまりにも重く、せや、誰しもが免れ得ない通過儀礼に向き合うことになる。
作中に現れるあの異形は、単なる恐怖の対象ではなく、それは、言葉にできないほど肥大化した悲嘆そのものの具現化やろし、悲しみが牙を剥いて暴れている状態そのもの。
我々は往々にして、逆境のなかで早く立ち直らなきゃ、とか、強くあらなきゃと自らを律しようとするけど、人の心はそれほど単純にはできてない。
時に、狂気すれすれの混沌に身を浸し、自らの脆さを徹底的に破壊し尽くさなきゃ、本当の意味での再生は訪れないのかもしれへん。
あの家に巣食うモンは、男の心を破滅させる悪魔のようでありながら、同時に、彼が自らの悲しみと正面から取っ組み合いを演じるために必要な、手荒い揺り籠のよなモンにも思えてきます。

全編を覆う湿り気を帯びた空気と、ジワジワと神経を侵食していくような不穏な音響。
それらが最高潮に達する雨の夜のシークエンスを経て、物語が静かに着地したとき、胸に残るのは恐怖じゃなく、不思議な安堵感と一筋の温かみでした。
暗闇の底でしか見つけられない光があることを、この映画はいびつな美しさをもって教えてくれます。
痛みを忘れ去るんじゃなく、その痛みとともに生きていく覚悟を決めること。
悲しみに羽が生え、いつか飛び立っていくその日までの、手酷くも愛おしい対話の記録として、今作品は心に刻まれる一作となりました。

あらすじ・キャスト
最愛の妻を突然亡くし、幼い2人の息子たちと残されたコミックアーティストの男。悲しみに打ちひしがれながらも慣れない家事に追われ、手探りで新たな生活を始めようとしていた彼のもとに、謎の人物から電話がかかってくる。「彼女は逝ったが、私はいる」と話すその男は、それ以来彼に付きまとうようになり、やがて彼がコミックとして描く生き物に似た「クロウ(カラス)」となって姿を現す。

ベネディクト・カンバーバッチが悲嘆と喪失に向き合う等身大の父親を体現し、「ムーン・ウォーカーズ」のエリック・ランパール、「ボイリング・ポイント 沸騰」のビネット・ロビンソンが共演。ロックバンド「ブラー」のドキュメンタリー映画「ノー・ディスタンス・レフト・トゥ・ラン ア・フィルム・アバウト・ブラー」で知られるディラン・サザーンが監督・脚本を手がけた。
なんか、なかなかスゴい作品を引いたぞ。
ベネディクトカンバーバッチ主演で本作のプロデューサーも彼だとか。

ダークファンタジースリラーなのかな。ファンタジーと言うかホラーに近いと言うか。
このビジュアルのカンバーバッチの後ろにいる、、、“カラス”、これが。

この“カラス”が何なのか。
物理的に出現するモンスターなのか、悪魔とかゴースト的な何かの象徴だったり内面的な“何か”が具現化した産物なのか、、、。

このどっちなのか、がかなり曖昧に描かれていて、そこがこの作品の肝というか、結論というか、カンバーバッチ家族の全てのような。

タイトルは『その家に巣食うもの』だけど、家に取り憑く悪霊とかとは少し違う。
カンバーバッチ家族が背負った不安、悲しみ、不条理や理不尽に対する怒りの権化、のような。

いきなり彼ら家族が悲しみに暮れるところから物語が始まる、、、妻に先立たれる。

そこから、父親と2人の息子、男3人での生活を余儀なくされる。
父親はいわゆる漫画家で、コミックの絵を描いて生計を立てている。

その作画がやたらと不気味なのだが、その不気味さと、とある1本の留守電のメッセージからこの“カラス”が出没し始める。

“カラス”のせいかのか、妻の不在からなのか、とにかく男3人の生活が不安定さを極め始め、特にカンバーバッチの情緒が破綻し始める。

そして、息子達にも八つ当たりし始めたりして家族関係がどんどん殺伐としてくる。
それと比例するかのように徐々に徐々に“カラス”の存在感や出現頻度がどんどん上がっていく、、、。

この“カラス”が思いのほか、ガッツリ。
最初は何かのイメージというか象徴的にカンバーバッチが見る幻覚か何かかと思っていた。

いや、最後までそれはそうなのかも知れないが、どんどん輪郭がハッキリしてきて、やがて普通にガッツリ絡んでくる。

これがなんか、スゴいインパクト。
こうなってくると逆にコイツどうなっていくのか、という興味が強くなってくる。

そして、その興味が最高潮に達するクライマックス。
カンバーバッチ家族の心の破綻が最高潮になり、何だかもう家族として崩壊するんじゃないかという頃、、、“それ”が現れる。

この展開が意外。ある意味でどんでん返しと言うか、予想してない方の様相を呈してくる。驚いた。
てっきり“カラス”に飲み込まれていくカンバーバッチの破滅的な話なのかと思っていたら。

その辺も含めてなかなかスゴい作品を引いた。

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F:2938
M:411
3.6
一言でいうと、最愛の妻を失った悲しみが“カラス”として家に棲みつく映画。
喪失の感情がそのまま具現化したような異様さ。

私の中では、ヒーロー映画のイメージが強いベネ様だけど、今回はひたすら切ない。さすがの演技派です!

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