フェンシング選手だった兄が相手を刺し殺して刑務所に入り出所を迎えたけど、事故か故意かわからないとこから弟ジーハンの苦悩が深くなる。。

監督はこれが初長編とは思えないストーリー構成で、ラストの展開に度肝を抜かされた。
まじか〜嘘〜！！そういう展開？！という気持ちが心を占めたけど、最後の映像にそういうことよね…だよね…？？そうだよね？！そうだと言ってよ！！という気持ちになった笑
多分人によって受け止め方が全然違うかも。

ジージエ役のリウシウフーくんがピュア感丸出しでかわいい。
お兄ちゃんのジーハン役のツァオヨウニンさんは、こいつ…やりかねない…でももしや？？という絶妙な感じで素晴らしい。

ちょっと耽美な感じもあり、いろんな意味で面白い作品でした。

正直なところ、怖くて脈拍がずっとすっ飛んだ動きをしていた。
兄の言葉と態度が嘘なのか真実なのかのどちらを信じるか、そこが結局全てだったんだと思う。「フェンシングで人を殺した」という事態に対して、兄側から見る真実（事故）と、母と弟含めた他人から見る真実（殺人）が真逆で、兄としては四面楚歌を生きてきて、弟をどうにか手中にという狡猾さに肝が冷えるし、弟にそっちに行くな戻っておいでとヒヤヒヤして（母親かww）、そして弟をこちらに得たと思った瞬間からの崩落がもう見ていられなかった。
目をつぶったり、いっそ退席しようかと思いながら完走したけど、苦しかった。メンタルに来た。

フェンシングについての知識があったらもっと楽しめたかもしれない。
兄弟の繊細な表現が素晴らしかった。人の気持ちは複雑で、完全なる善悪に1人の人間を振り分けることは困難だ。そして兄弟には兄弟にしかわかり得ない感情や関係性がある。それら全ての繊細な複雑性がみごとに凝縮されていた。
最近、わかりづらくて混乱する映画ばかりみていたから、これはシンプルである意味わかりやすくて安心して会場の席を立てた。けれどもだからこそなのか、多少の物足りなさは感じてしまう。普通な部分が多すぎるとそうなるのだろうか。絵はすべて既視感があったけれど、それが悪いわけでもなく、映画の作法にしっかりのっとって撮る、ということをしたのだろうとは思う。
日本で正式に公開されたらそれなりに人は入りそうな感じがした。