"誰かが君を愛している…
　　君が誰かを愛していたら
　　　　＜空は白＞
と言ってくれ、相手は
＜雲は黒＞
と答える…それが愛の始まりだ…"

そこは、パリ…ポンヌフ橋…

大道芸人アレックスは、その橋に住んでいた…

そこで出会ったミッシェル…失明の危機と恋人を失った事で自暴自棄になった女…

たちまち二人は恋に落ち、時に傷つけ合いながらも互いを支える深い関係になっていた…そう…あの時まで…

そうそれは20代に入ったばかりの自分が、それまでは、やれスタローンだシュワだとアクション一本槍な頃で、ちょいと小難しいけど、オシャレだし、流行ってるし…といそいそと渋谷に出掛けて観に行った作品の一つが本作…当時の私は全く興味なかったジャンルでありながら、普段は全く読まなかったキネ旬を読み漁り、"レオス・カラックスってさぁ〜"と知ったかぶりで話してた恥ずかしい記憶が甦る…

改めての鑑賞ですが…イカれてるよね笑

アレックスもミッシェルも、相手の幸せを考えるより自分のエゴを優先させ、愛情の塊を押し付けているように見える…だからこそ、作品全体がヒリヒリとして、とても痛い…

反面、有名な花火のシーンに代表されるようにヴィジュアルは今観ても素晴らしい…私は地下道のポスター燃えるシーンの美しさにやられた…

後半の展開は、もはやサイコパスで、ハッピーエンドのように見えて、実はかなりバットエンドではないかと感じる…

本作とキエシロフスキ監督の"トリコロール/青の愛"の2本で、大ファンになってしまったジュリエット・ビノシュ…やっぱ綺麗ですよ…ギャレス版"ゴジラ"に出た時は、なんからしくないとビックリしましたけど…

結局、それ程ハマる事がなかったレオス・カラックス…本作鑑賞で当時一番ハマったのは、"リタ・ミツコ"…エンド・クレジットの曲一発でどハマりですわ…

センシティブな音と光のスペクタクル

公開時鑑賞して以来、2度目の鑑賞です。
今回は4K特別音響上映で鑑賞

ポンヌフ橋を丸々作成した巨大なオープンセットと3年間の撮影で膨らむ制作費、事実上のパートナーだったレオス・カラックス監督とジュリエット・ビノシュの撮影中の破局等等、"呪われた映画"とも呼ばれましたが、フランスと日本では大ヒットした作品です。

天涯孤独で不眠症の大道芸人アレックス（ドニ・ラヴァン）と、失恋の痛手と奇病による失明の危機から家出した画学生ミシェル（ジュリエット・ビノシュ）。ホームレスとなった二人は、パリのポンヌフ橋で出会う。

ストーリー云々の作品ではなく、レオス・カラックス監督の鮮烈な映像と音のオンパレードに良いしれます。

冒頭で映画に強引に引き摺り込む車載カメラの斬新さ

大道芸人アレックスの口から吐き出す炎の鮮烈さ

セーヌ川を疾走する水上スキーの光の美しさと闇のパワフルさ

地下鉄に貼られたポスターがメラメラ燃える怪しさ

特に凄いのは、フランス革命200年祭の花火をバックに踊る2人と音楽のコラージュ！
（ジャケットの写真です）

2人が横移動するのと一緒に音楽も変化していく
デヴィッド・ボウイ〜イギー・ポップ〜ベンジャミン・ブリテン〜ヨハン・シュトラウス
まさにスペクタクル！

音像の移動や近接フォーカスによる遠景のボヤけは、ブレッソン監督の『白夜』の影響を感じました。

30年以上前に観た映像なのに、全て鮮烈に覚えてました。それが4Kで上書きされる快感も感じます。

キャストも最高です。

レオス・カラックスの分身とも言えるドニ・ラヴァン
醸し出すオーラや所作だけで今までのアレックスの人生を想起させる存在感が凄まじい。
地下鉄通路でのバック転、側転しながらの火吹き、何者？と思わせる身体能力の高さも印象に残ります。

レオス・カラックスのミューズであるジュリエット・ビノシュ
虚無・衝動・清楚、全く異なる要素を感じさせるミシェルを見事に演じてます。
多数のスケッチ作品は全てビノシュの書いた作品、夜のセーヌ川での見事な水上スキーも彼女自身なのはビックリ。

ミシェルの飼っているネコの"シャー“も見事でした。

そしてレオス・カラックス監督

全てのカットが印象的な音と映像に圧倒されますがそれだけの薄い作品ではありません。
台詞を極力最小限にして、映像と編集から登場人物の心情を表現していきます。
それ故、何度も観ることで新しい発見もあり見方も変わる作品です。（再見した事で新たな発見が幾つかありました）

そんな映画的喜びに満ちた作品。
またいつか再見したいです。

80点
一部の劇場では4Kリマスター上映が始まった本作を所蔵DVDで再視聴🌉
フランス革命200年祭で盛り上がるパリ。セーヌ川にかかるポンヌフ橋を舞台に、孤独な大道芸人アレックスと、失明の危機に瀕した画学生ミシェルの、激しくも美しい恋が描かれる。
橋の上で火を吹く大道芸人として生きるアレックス。そんな彼が出会ったのは、失恋と病を抱え、同じように橋の上で暮らすミシェル。孤独を分かち合ううちに、二人は惹かれ合い、やがて愛を育んでいく。
映画は、アレックスが登場する冒頭から、その圧倒的な存在感で観る者を釘付けにしていく。ストーリーはゆったりと進んでいくが、アレックスとミシェルの破天荒な行動から目が離せない。純粋すぎるアレックスの型破りな行動、ミシェルが元恋人にとった衝撃的な行動、そして地下鉄のポスターをめぐるアレックスの行動とその結末…。観る者を惹きつけるエピソードが散りばめられている。
中でも圧巻は、パリ革命200年祭のシーン。橋の上から見上げる花火の美しさは息をのむほど。セーヌ川での水上スキーのシーンでは、愛し合う二人の姿に心を奪われること必至。4K映像なら、その感動はさらに深まることだろう。そして、ラストシーンでミシェルが語る言葉も映画史に残る名セリフとしてこれからも語り継がれるはず。
実はこの映画、当初ポンヌフ橋での撮影を予定していたものの、許可が下りなかったとのこと。そこで、巨額の費用を投じて忠実に再現されたセットを建設し、撮影を敢行したというエピソードも。このこだわりこそが本作を唯一無二の芸術作品として際立たせているのかもしれない🌉所蔵DVDで再視聴

• #地元でやってくれないので所蔵DVDで🎆
• #62355ビノシュはフランス映画界の至宝