細田守監督の『時をかける少女』4Kデジタル修復版は、公開から時を経た今もなお、瑞々しい輝きを放つ作品かと思う。 確かに、映像の劇的な変化を感じにくく、キャラのノスタルジックなノリに時代の古さを感じるのは否めない。 しかし、今作品の核心にある"Time waits for no one."(時間は誰も待ってくれない)という映画のメインテーマを深く味わう時、その古ささえもが、作品の持つメッセージ性をより強固なものにしているんじゃないかと思えてきます。
今作品は、筒井康隆氏による1965年の伝説的SF小説『時をかける少女』を直接アニメ化したものじゃない。 実は、原作の約20年後を描いた実質的な続編と云う、極めて挑戦的なアプローチをとっています。 原作や大林宣彦監督による1983年の実写映画版(原田知世主演)の主人公やった芳山和子は、今作品では主人公・紺野真琴の叔母である魔女おばさんとして登場します。 かつて和子が経験した切ない初恋と記憶の喪失ちゅう物語。 それに対して、今作品の真琴は"Time waits for no one."の文字の通り、流れる時間を止められない現実に直面しながらも、泣き崩れるのではなく、不器用ながらも自分の足で未来へ向かって走り出します。 この前向きなバイタリティこそが、従来の時かけが持っていた儚く美しい引力を受け継ぎつつも、細田守監督が現代のアニメーションとして作品を再構築した最大の意義かな。