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『バナ穴 BANA_ANA』に投稿された感想・評価

kuu
3.6
『バナ穴 BANA_ANA』
製作年 2026年。上映時間 88分
映倫区分 G 製作国 日本

新しい地図の稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が主演を務め、2018年に公開されたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』の第2弾。映画監督としても知られ、前作にも参加した山内ケンジが監督・脚本を担当した。

意味のなさをそのままデトックス感覚で楽しむという、極めてシュールで不条理なロードムービーが今作品。
かつてお茶の間のど真ん中にいた彼らが、インディーズ映画的な手触りで、実名(本人役)のままリアルとフィクションのキメラのような世界を漂う今作品。
ファンの間で、やるやる詐欺と半分諦め混じりに囁かれていた映画製作の約束が、数年の時を経てようやく現実化したという。
メガホンを取ったのは、独特の不条理な会話劇に定評のある山内ケンジ監督。
レビューを背景すると、『意味を求めたら負け』だとか、『脳の普段使わない部分を刺激される』と、カオスな作風に戸惑いつつもニヤニヤしてしまうリアルな声が散見されます。
 
キャスティングの軸となるんは、もちろん長年寝食を共にしてきた3人のアイコン。
まず草彅剛と香取慎吾。
この2人が海辺を、疲れた、お腹すいたとダベりながら歩く冒頭のロングショットは、良くも悪くも力の抜けた滑り出しを見せる。
演技なんかガチの日常なのかの境界線が曖昧で、良く云えば絶妙なわちゃわちゃ感、悪く云えば締まりのない空気感を醸し出す。
そして、物語が転がった先にバナナ料理店。
このワードセンスからして既に不穏やけと、そこで待ち受けるのが、稲垣吾郎。
この3人が一堂に会した瞬間に生じる独特の磁場は、やはり良く見知った間柄ならではの独特な空気感はありました。
  
今作品は、これは単なるナンセンスコメディではなく、記号化された自己からの脱却というメタ構造の考察ってのが深読み出来なくはない。
伏線回収や考察班の解説動画を見なければ映画を楽しめない風潮への、強烈なカウンターパンチとも云える。
彼らがカップルに遭遇しても名前を思い出してもらえなかったり、脈絡のないドタバタに巻き込まれていく展開は、世間が彼らに押し付けるかつてのスター像やら、分かりやすいエンタメというお約束を、あえて煙に巻いて解体していくプロセスそのものに見える。
 
さらに画面の細部に目を凝らせば、作中には彼らの歩んできた軌跡やキャラ性を逆手に取った、冷や汗混じりのメタフィクション的な仕掛けがいくつも仕込まれていた。
映画終盤に差し掛かる絶妙なタイミングで、突如として画面に紛れ込んでくる中居という表札。 
あるいは、不条理な会話の最中にふと挿入される、かつて彼らが幾度となくその歴史を刻んできた東京ドームを想起させるアングルのカット。
これらは単なる偶然の背景描写ちゅうよりも、彼らの存在そのものが持つ巨大なパブリックイメージを、映画という虚構の枠組みの中で意図的にパロディ化し、相対化してみせる、やや実験的な演出意図が透けて見える。
 
今作品『バナ穴 BANA_ANA』は、一言で表すんなら、
課題は明確だが、それ以上にファンの愛によって完成される作品。
 
客観的に見れば、全編を通して万人に勧められる仕上がりとはマジ云い難い。
ストーリーのテンポや一部の演出において、やや強引な展開や粗削りな部分が目につくし、初見の観客には不親切に映るネガティブな要素が存在するのも事実。
作品単体としての完成度には、まだ伸び代があると云わざるを得ないかな。
 
しかし、今作品の真の価値はそこにはないやろし、彼らのファンという最大の加点要素をフィルターに通した瞬間、この作品は全く異なる輝きを放ち始めると思います。
作中に散りばめられたファン心理をくすぐる演出や、これまでの歩みを知っているからこそ胸に刺さる文脈は、まさにファンへの信頼があってこそのものじゃないかな。
  
彼らが持つ独特の魅力やエネルギーが、作品の構造的な弱点を力強く補い、むしろ彼らにしか作れない世界観へと昇華させていた。
ファンの熱量と彼らのパフォーマンスがカチリと噛み合った瞬間の爆発力は、客観的な減点を遥かに上回る満足感をもたらしてはくれるのじゃないでしょうか。
 
総合的に見れば、手放しで完璧と呼べる名作ではないかもしれない。
しかし、ファンの存在を熱量という名のスパイスとして巻き込み、共に歩むエンターテインメントとしてはある程度成功してるかな。 これからの進化に期待を込めつつも、現時点で彼らのファンが十分に熱くなれる、ポジティブな可能性を秘めた一作だと感じました。


解説。
どんなことにも意味を見いだそうとする、情報や答えが瞬時に手に入る現代において、あえて「わからない」ことを「わからない」まま楽しむことをコンセプトに、稲垣、草彅、香取の3人が、「意味」から逆走する物語へといざなう。

共演には、バラエティのみならず映画や大河ドラマへの出演など活躍が続くファーストサマーウイカ、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で主演を務めた趣里のほか、古舘寛治、小澤征悦、吹越満ら実力派俳優が顔をそろえる。
この映画は、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が、本人役として登場する、バナナと穴の物語。
(゚Д゚)ハァ?
場所はある海岸。いつの時代か、どこの国かも見当がつかず、どこまでも続く浜辺を、
草彅と香取は、ひたすら他愛のない会話を交わしながらトボトボと歩く。

その道中、ミーハーなカップルと遭遇し、そして奇妙な家族とも出会い、和やかに言葉を交わす2人。
しかし、楽しかったはずの会話はいつのまにか噛み合わなくなり、
突然、家族の父親と母親が揉め出し、母親と娘が砂浜の、穴の中に沈んでいく。
(゚Д゚)ハァ?
気がつくと、バナナの店に到着しており、店内は音楽ライブをしていたのだが、
そのメンバーの中に稲垣らしき人物がおり、、、というお話。
(゚Д゚)ハァ?

きわめて実験的でシュールな不条理映画で、
​明確なストーリー、起承転結に則った筋書きを説明する事は、この映画では野暮で不可能。
「わからないムービー」と称したキャッチコピーの予測不能な内容で、
現実、妄想、ドキュメンタリーの境界が曖昧な、不条理で「わからない」世界へと引き込まれていく。
(゚Д゚)ハァ?

​そこに突然現れるのが「バナナ」と「穴」。
(゚Д゚)ハァ?(゚Д゚)ハァ?(゚Д゚)ハァ?
ある絵に描かれた「穴」が現実と繋がっており、そこから別の場所へと移動するような、
ファンタジーとも悪夢ともつかない描写が展開されていく。

エミコ夫人や川島夫人らの、謎めいた女性たちから露骨なアプローチをかけられ、
物語は整合性を完全に無視したまま、終盤の唐突な歌唱シーンのカタルシスへと雪崩れ込んでいく。
なんとも言語化しづらく、意味不明なシュールな内容だったが、不思議と嫌な感じはしないし、なんとなく面白い。

印象に残っているキャストは3人いた。
1人目は、エミコ夫人を演じたファーストサマーウイカ。異様にエロかった。
(;´Д`)ハァハァ
段々と女優志向が強まり始め、存在感が出演するたびに増している彼女だが、
今作では、ある種の起爆剤的立ち位置におり、
彼女が放つ、時に露骨で時に凄みすら感じさせる、色気と圧倒的な存在感は、
淡々と佇む3人の男性陣と、鮮烈なコントラストを描いていた。

そして、濃厚な「キスシーン」が最大の見せ場になっていた。
(;´Д`)ハァハァ
品行方正な邦画の枠を飛び越えるような彼女のエネルギーが、
画面に強烈なエロティシズムと生々しさを吹き込む。

な〜んかこのファーストサマーウイカ、どこかで見た事あるような、、、

どこだっけかなあ、、、

( ゚д゚)ハッ!

セクシー女優の糸井瑠花やないか!
キスシーンが、ファーストサマーウイカにそっくりのセクシー女優、糸井瑠花の再現VTRやないか!(笑)
(;´Д`)ハァハァ
相手の男優が、汚部屋の醜男から稲垣吾郎に代わっただけやないか!(笑)
(ノ∀`)アチャー

​次に印象深かったのは、川島夫人を演じた趣里。
ウイカとはまた異なるベクトルの鋭さを持ち、彼女の持つ独特のアンニュイさ、どこかこの世のものではない浮遊感は、
今作の不条理な世界観、言い換えれば、現実と夢の境界線に、見事なまでに融け込んでいた。
彼女の出演作はこれまでほぼ見た事が無かったが、
そこにいるだけで映画の奇妙な空気感の説得力を、何倍にも跳ね上げていた。なんというか「クセになる女優」である。
(;´Д`)ハァハァ

3人目の吹越満の執事役も、クセになるキャラクター造形だった。
最初は誰だか判断つかぬほどの「じい」で、終始咳き込み、今にも死にそうな老体。
ずっと見ていられる謎めいたキャラクターだった。

​CMディレクターや劇作家としても一筋縄ではいかない鬼才、
山内ケンジ監督が今作で目指したのは、
「観客の脳内にある、映画文脈の徹底的な破壊」だった。
お決まりのパターンを次々と破壊し、伏線回収や感動的なメッセージ、キャラへの感情移入といった、
「分かりやすい快感」を全て剥ぎ取り、
夢の中で脈絡のない出来事が次々に起こるような世界を、
当代きってのスターである「新しい地図」の3人を使い、大真面目に構築する。
これこそが、監督が仕掛けた最大の贅沢且つ悪戯だったと言える。悪ふざけとも言える。

​公式自らがキャッチコピーに掲げた「わからないムービー」。
(゚Д゚)ハァ?
難解だから考察して謎を解け、という提示ではなさそうだ。
むしろ「意味を探そうとするその理性を捨てて、ただそこにある映像と音、あるいは静寂を浴びろ」という、
挑戦状であり解放宣言に等しい。
この映画は、言葉で理屈の説明を試みようとすればするほど、支離滅裂となり、本質から離れていく。
意味が「分からない」からこそ、私たちは劇中の不条理な会話のテンポや、
削ぎ落とされた音響設計に五感が研ぎ澄まされていく。
「分からないのに、なぜかニヤニヤしてしまう」「なぜか心地いい」という、
映画を「知性」ではなく「野生」で体験させるためのフレームワーク、
それが「分からないムービー」の正体だと思った。

類似作品を挙げるならば、芸人永野の「MAD MASK」だが、永野のそれは、
同じ「浴びる系」の体感映画ではあるものの、不快で、顔面蒼白になっていく。
今作はあくまで、ニヤニヤして、心地よい映画なのだ。
( ´ー`)y-~~

劇中で絵と現実を繋ぐ役割を果たす「穴」は、
「ここではないどこか(境界線)」、あるいは、
「人間の根源的な欠落や欲望」の象徴として読める。
覗き込みたくなるけれど、落ちたら戻れないかもしれない不気味さ。
それは、私たちが日常で目を背けている不条理な現実への入り口でもある。

一方で「バナナ」は、あまりにも日常的で、どこかコミカルで、
しかし同時にきわめて性的なメタファーとしても機能している。
この「バナナ」というポップで少し間抜けた記号が、
重苦しくなりがちな不条理劇のトーンを絶妙に中和し、
作品全体に「おかしみ」をもたらすスパイスとなっていた。

​私たちが何かを言語化する時、大抵は「原因があって結果がある」という因果関係に頼るだろう。
しかし、今作にはその因果関係が、無い。
なぜ亀が顔にくっついているのか、なぜ彼女たちは迫ってくるのか、なぜ最後に歌うのか。
劇中で表現されたそれら全てに理由がないため、
言葉で説明しようとすればするほど、指の間から砂のようにこぼれ落ちてしまう、だからこそ、言語化しづらい。

今作は、意味を理解する映画ではなく、「新しい地図」の圧倒的なスター性と、
それをエキセントリックに彩る女優陣のアンサンブルを五感で味わう、
「現代アート的な映像体験」として受け止めるのが、最も正しい溺れ方なのかもしれない。

良かった演者
ファーストサマーウイカ
趣里
吹越満
草彅剛
稲垣吾郎
香取慎吾
小澤征悦
古舘寛治
稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾という「越境者」たちは
まさしく本作における「穴」そのものなのかもしれない。
「穴」はとにかく過程を吹っ飛ばす舞台装置であり、
物語に「越境」を導入させていく契機を作り出す。
(そしてそれは入り口があり、出口がある)
その「穴」をきっかけにして時間も場所も平面も立体も嘘も本当も多言語も全部入り乱れ
物語を追いかけるようで物語から全力逃走する90分弱。
わかるように180分以上かけるのではなく
わからないに振り切って90分切る潔さは
どうしたってグッとくる。
シュールでどこか能天気な世界観を装っておきながら
確実に漂う戦争とディストピアの気配など
毒っ気たっぷりなのも良かった。
これだけ暴れ散らかしている野蛮な作品は
実に貴重であり、とにかく分かりやすさを求める
現代人への痛烈なカウンターとして効いてほしいところ。
タイトル自体が越境的なのだが、
電気グルーヴのツアータイトルあたりでありそうな
ネーミングセンスなのも個人的には好き。

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