小三治を配信している動画配信サービス

『小三治』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

小三治
動画配信は2024年4月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『小三治』に投稿された感想・評価

ikumura

ikumuraの感想・評価

4.1
【お茶目な求道者・落語界のイチロー、小三治師を愛でよ】

非常に地味な、基本的には落語ファン向けのドキュメンタリーなのだが、
僕の友人はなぜかこれをみて小三治師匠、そして落語にハマった。
それ以来気になってはいたのだが、制作会社に直接注文しないと手に入らない。
で、今回やっとみられた
(真打の噺家さんはすべて師匠と呼ばせていただきます。
アタクシはどなたの弟子でもござあせん(笑))

柳家小三治師匠はご存知人間国宝、
(この映画の時点ではまだなっていない)
小林聡美を始め崇拝者も多いし、
僕も正直、昭和の名人のCDを聴いて育ってきたもので、
存命中の噺家さんの中で、「ホンモノの古典落語」の粋を感じられるのは小三治師だけだと思う。
だからといって他にも素晴らしい現役の師匠はいっぱいいらっしゃるし、寄席にももっと通いたいのだが、それはそれとして。

小三治師のすごいところは、ウケよう、とか、上手くやろう、というところが微塵も感じられない、
なのに客として自然に笑い、感動してしまうところである。
(アタクシが一番好きなのは、厩火事。)
しかし師匠も昔からそうだったわけじゃない。
むしろなまじ上手くて生意気だった時代もあったそうだ。
昭和の名人の一人で、三遊亭圓生という師匠がいて、
アタクシも大好きなのだけれど、この人は型にこだわるし、臭い。
ご本人はいいのだけど、下手に真似をすると、とても見てられたものではなくなる。
自分で見たことはないが、小三治師も圓生師のようにやってたことがあるそうだ。
そしてウケて、人気もあった。
なんせ入門十年で17人抜きの真打抜擢を経験したのである。
しかし小三治師の直接の師匠、先代の小さん師匠は彼の芸をなかなか認めなかった。
「お前の噺はつまんねえな」と一言、この頃言われたことを小三治師は今でも語る。
(ちなみに柳家の師匠は大抵自分の弟子に稽古をつけないそうだ。
芸人としてのしつけが大事、師匠の背中を見て自分で考えろ、
という、これがただの綺麗事なのかどうか、まあそれもまたそれとして)
目の前のお客さんはウケてるのに面白くないと言われる自分の芸、
落語の面白さってなんなんだ??
小三治師の芸道は、すでに噺家としての武器を存分に身につけた師匠が、
捨てて捨てて、研ぎ澄ませていく、
人間国宝になろうが変わらない、その過程なのである。

と、前置きが長くなってしまいましたが、
このドキュメンタリーは、そんな小三治師の高座や旅興行、私生活に密着して、
その芸道に自ずから語らしめる作品である。
インタビューをされても、答えの方が謎かけのような、
それで言い終わってドヤ顔してこちらを向く、
うーん、これ、誰かに似てるな・・・
あ、イチローじゃん!
よく見ると顔もなんだか似てませんかね。

前置きでは、ストイックな小三治師のイメージを挙げたけど、
ここにはスキーを楽しみ、ハニートーストを頬張り、歌に挑戦する師匠も出てくる。
好奇心旺盛でいろんなことに手を出さずにいられない。
この可愛さは師匠が演じる人物のなんとも言えない可愛さにも繋がる。
直接噺に生きるとも限らないだろうけど、
高座に出てくるのはそれぞれの噺家の生き様なのだと改めて実感。
親友・今は亡き入船亭扇橋師匠始め、周りの人たちが語る小三治師匠も興味深い。

リウマチに悩まされ、薬を毎日大量に飲みつつ、
凛と背筋のまっすぐな師匠の座り姿のカッコよさよ。
完全に個人的な感想になってしまったが、
全力で師匠を愛でてしまった。

最後は、入船亭扇橋師匠にせがんで教えてもらった鰍沢という噺をやる。
小三治師ほどの人でも、他の人の得意演目をやる時は筋を通す、
落語界とはそんな世界なのだ、とも思うし、
芝浜の三木助師匠にまず弟子入りし、
その死後は小さん門下、
例の圓生師匠にも可愛がられ、
江戸落語のいろんな面を受け継いで継承に一役買ってきた扇橋師匠の素晴らしさも偲ぶことができる
(入船亭の現役の師匠方もどなたも本当に素晴らしい)

鰍沢は圓生師の得意演目でもあったわけだが、
小三治師の鰍沢は圓生師とも扇橋師とも違う。
研いで研いで、研ぎ澄まされた鰍沢。
繰り広げられる人間ドラマに観客も聞き入り、やがてオチ。
師匠が何度も頭を下げる中、幕が降りる。
0i7

0i7の感想・評価

3.7
小三治師匠を私は特別追いかけていたわけではないものの、ふと思い立ち9月半ばに落語会に行ったのですが、
高座では椅子に座られていたもののお元気そうだったので、まさかそれから3週間も経たないうちに亡くなるなんて思っておらず、小三治師匠の高座を観られないと思うと寂しくて、10月最後の週末に放送された追悼のラジオ番組やTV番組を全て視聴し、以前買ったまま観てなかった本作のDVDを鑑賞しました
入船亭扇橋師匠とのやりとりが微笑ましたかったです
人間国宝に認定される10年弱前に撮影されているかと思いますが、何回もこの仕事が向いていないという口吻や「人生の寸法がわかるようになったからだな。こんな程度の寸法の人生だもの」といった言葉からご本人は本当にそう思っているのだろうなというのが伺え、孤高の人の境地は凄まじいなと思いました
odyss

odyssの感想・評価

3.0
【ドキュメンタリーとして一見の価値あり】

すごく面白いという程ではありませんが、ドキュメンタリーとして、まあ一見の価値はある映画だと思います。

私は落語の趣味はなくて、テレビはともかく実演では一回も見たことがありません。そんな人間にも、楽屋裏の様子だとか、師匠と弟子との関係だとか、結構興味を持てる部分がありました。

小三治と言えばクラシック音楽の趣味でも有名。実は私が小三治の名を初めて知ったのは某音楽誌の対談に出ていたのを見た時だったのですが、この映画では自分で歌うシーンがあって、趣味の広さを垣間見せてくれます。

作りすぎない、力まない芸の勘どころは私にも何となく分かりましたが、よく分からないのは、実演の場面で客が結構よく笑っていること。何がそんなにおかしいのかな、と。実演だと空気の雰囲気がすでに違っていて、それでごく些細なところで笑えるのでしょうか。私が笑いに不感症なのかとも思いましたが、私の周りの観客も全然笑っていなかったので、少なくとも私の資質だけの問題ではなさそうです。

自分は落語に向いてなかった、と小三治が述懐するシーンが印象的。こういう風に名高い人でもやっぱりそう思うんだな、と。以前、私と同じ仕事の分野でかなり高名な方と話をしたことがあって、その時その方が別の仕事を選ぶべきだったとおっしゃっていたのを聞いて、意外の感に打たれたのですが、人間と仕事との相性は、なかなかはたから見るような具合にはできていないのでしょうか。いや、向いていないと思いながらその仕事をして老いていくのがほとんどの人間の運命なのでしょう。むろん私も例外ではなく。

そんなふうに、色々考える材料がちりばめられた作品です。

『小三治』に似ている作品

相撲道~サムライを継ぐ者たち~

上映日:

2020年10月30日

製作国:

上映時間:

104分
3.8

あらすじ

1500年以上もの歴史の中で日本人の暮らしに深く根付き、今や国技となった「相撲」。そこには知られざる世界があった―。 2018年12月~2019年6月の約半年間、境川部屋と髙田川部屋の二つ…

>>続きを読む

二郎は鮨の夢を見る

上映日:

2013年02月02日

製作国:

上映時間:

82分
3.6

あらすじ

アメリカの気鋭映像作家デヴィッド・ゲルブ監督によるドキュメンタリー。ミシュランガイドで最高ランクの三ツ星を6年連続で受賞している銀座の有名鮨店「すきやばし次郎」。その店主である85歳の寿司…

>>続きを読む

津軽のカマリ

上映日:

2018年11月10日

製作国:

上映時間:

104分
3.5

あらすじ

津軽三味線の大家、故初代 高橋竹山。明治に生まれ、幼少期に煩った麻疹が元でおおよその視力を失う。北東北の過酷な環境の中、庶民の暮らしは貧しく、福祉もまだ整わない時代、唯生きていく為に三味線…

>>続きを読む

感謝離 ずっと一緒に

上映日:

2020年11月06日

製作国:

上映時間:

70分

配給:

  • 日活
3.7

あらすじ

銀行員として、定年まで勤め上げた笠井謙三(尾藤イサオ)と、妻の笠井和子(中尾ミエ)。転勤続きで長い間仮住まい生活をしてきた二人は、今ようやく手にした“夫婦だけのおうち”で、仲良く暮らしてい…

>>続きを読む

まるでいつもの夜みたいに 高田渡 東京ラストライブ

上映日:

2017年04月29日

製作国:

上映時間:

74分
3.8

あらすじ

伝説のフォークシンガー高田渡の 「人生の柄」を抱きしめる音楽ドキュメンタリー。 2005年3月27日、日曜日。吉祥寺に近い住宅街。 高田渡が長年住んだアパートから出かけるところから…

>>続きを読む