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SWEET SIXTEEN
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『SWEET SIXTEEN』に投稿された感想・評価

Kota

Kotaの感想・評価

3.6
“母さんを愛しているのは僕だ。”

カンヌ国際映画祭受賞常連のケン・ローチ作品。彼の映画はプロの俳優を使わずに、脚本もほとんど渡さずにありのままの姿を写すことで有名。今回もスコットランドの田舎町でただ愛を渇望している少年を曇り空の中鮮やかに描いている。

パッと見、“クラークス”や“KIDS“のようなオシャレ現実逃避行映画のように見えるけどもっと粗くて重たかった。主役リアムがひたすらにいい奴なんだけど、周りの環境に報われないって悲しいね。甥っ子と遊んだりするシーンが可愛くて好き。あとは今回もスコティッシュ訛りの英語がドギツイ(笑)。
本日6月17日はイギリスを代表する巨匠ケン・ローチ監督の81歳のお誕生日。

イギリス国内の社会問題を数多く取り上げ、一貫した冷徹な視点によってリアルなヒューマニズムを抉り出してきたローチ監督。
昨年には引退を撤回して発表した「私は、ダニエル・ブレイク」が見事2度目のパルムドールに輝き、未だ衰えぬ英才ぶりを見せつけました。

そんな彼が2002年に発表した「SWEET SIXTEEN」は国内の青少年の現状を取り上げた作品であり、
個人的にはローチ作品の中で最高傑作に位置している作品でもあります。

劣悪な環境で育った15歳の主人公リアムが、16歳の誕生日を迎えるまでの日々を綴った社会派青春映画。
学校にも行かず違法な小遣い稼ぎに明け暮れ、親友ピンボールと無軌道な毎日を送る生活。

彼の誕生日に出所する最愛の母親と再び幸せに暮らすため、自分の力でマイホームを買おうと躍起になりますが、
16歳にも満たない少年が大金を稼ぐには裏社会に足を踏み入れるしか手立てはありません。

不良少年リアムが持ち合わせた能力、聡明さ、優しさはそうした環境や取り巻く大人たちによって脆くも打ち砕かれ、少年の可能性ある未来はまた一つ摘まれてゆくのです。

母親のクズな恋人でドラッグの売人スタンを演じたのは、かつてUKハードコアパンクの重鎮THE EXPLOITEDにてベースを担当していたゲイリー・マコーマックであり、
歴史的名盤「PUNKS NOT DEAD」~「Troops Of Tomorrow」の黄金期に在籍していた経歴を持ちます。

イギリスのパンク・ハードコア文化が取り分け発展した理由には、かつての栄華を誇った大英帝国が没落の一途を辿り、
サッチャー政権下の不況と貧困に苦しんだ暗黒時代に、労働者階級の不満や怒りが一層噴出していたからと云えるでしょう。
その第一線で活躍していた彼の演技には並々ならぬ説得力があります。

またリアムを演じたマーティン・コムストンは当時プロサッカー選手から転向した新人であり、その自然な演技から少年のリアルな心情を見事引き出しました。

ラストは「大人は判ってくれない」へのリスペストも内包され、行き場のない少年の等身大の姿を痛々しくカメラは捉えるのです。
ky

kyの感想・評価

4.0
韓国に行っていたので久々のレビューです。好きな映画でした。リアムの鋭利な眼球が示唆させるものとはなんなのか。映画が終わるまで次から次へと、その矛先となる対象が現れます。リアムな一体を信じればいいのか。

スコットランドの川沿いの町グリーノックが舞台。15歳のリアムは間も無く出所する母親を待ち侘び、母を毛嫌いしていた姉と3人で暮らすことを夢見ています。そこで養護施設来の友人とともにドラッグを売り捌き家族で暮らすための家を買う資金を作ろうとするが、。という物語です。


父親は不在。母親は服役。姉はシングル。リアムを取り巻く家庭環境が酷い。そこで這い上がるには、信じるものを自分の目で見定め資本を肥やすしかない訳です。資本主義が色濃く出ている社会では年齢を何にもなりません。つまり金がモノを言う世界です。
そこで這い上がるには為の1つとしてのドラッグですが、言い換えれば15歳でリアムがリアルを生きるためにはドラッグしかないのかもしれません。学もない人脈もない、そんな閉塞的なコミュニティを行きている訳ですから。
日本で言えば中学生上がりの世論で言う所の子供ですから、子供が裏社会に入り込んでも何も為すことは出来ないのでしょう。しかし、そこしかないというのもジレンマ、パラドックスでありながら合理的。そう思う程に社会保障が整っている国は素晴らしい。勿論、下には下がいて上には上がいる社会ですが、日本はその最たる国でしょう。
社会保障が整うことでリスキーな事を成さなくても国が保証するので経済成長も穏やか。穏やかであっても確実に伸びのある国、日本はやはり幸せなのかもしれません。
それにしても日本は見渡せばネガティブなニュースばかり。そんな自己否定が日本の底力でもあるわけですが、この映画を見ればもっと肯定的でも良いと思わせてくれます。
逆に言えば、このスコットランドは成り上がり得る国です。しかし大衆的に見た時にどういう国が良いのかと考えれば、日本のような国でしょう。

緑、灰色、黒をメインに構成される世界観は儚くも、リアルの追求がうまく演出されています。それと対照的に深紅の赤い車輌というのは親和性を感じさせないリアムにとっての敵対の象徴なのでしょう。その車は金の象徴であり、リアムが求めている金を具現化したものでありながら、本来は望まない対象なわけです。彼にとっては母親や姉、友人が最も必要な訳ですから。

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