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『長崎の歌は忘れじ』に投稿された感想・評価

No.4306

衛星劇場にて視聴。

主役の京マチ子は、この2年前に『羅生門』に出演。

原爆により盲目となった女性を演じる。

その妹役に久我美子、献身的に姉を支える姿がいじらしい。

そして、一瞬だけ出てくる若尾文子がとてもかわいらしい。
原爆を題材に作られた「長崎の鐘」(1950)に次ぐ二番目の映画。「五人の斥候兵」(1938)の田坂具隆監督が、広島で被爆し4年間の闘病中に脚本を書いた反戦ドラマ。アメリカ人音楽家と長崎原爆で盲目になった戦争未亡人の邂逅を描く。音楽は黒澤明や溝口健二作品の劇伴で有名な早坂文雄。若尾文子の映画デビュー作(チョイ役)。

戦後5年が過ぎた長崎。来日したアメリカの音楽家ヘンリー・グレイ(A・ロールマン)は、知人である浦上天主堂ブリデエヌ神父の元を訪ねる。グレイは戦時中のハワイ捕虜収容所で、死の間際にいる長崎出身の日本兵オクムラから未完の楽譜「心の真珠」の完成を託されていた。日本兵の故郷で作曲のヒントを掴もうと長崎を巡るグレイは、行く先々で原爆の傷跡を目にして心を痛める。やがて偶然から、日本兵の妻・綾子(京マチ子)の存在を知るが。戦争で夫を失い原爆で盲目となった彼女はアメリカ人のグレイに対して頑なに心を閉ざすのだった。。。

自分の心の内にあるナショナリズムの度合いを試される映画だった。考えがまとまらず、ずっとレビューを書けずにいた。

総論的に言えば、原爆の加害者と被害者が音楽を通して心のバリアをなくしていく物語で、プロットが少々回りくどいけれど、最終場面からは平和への願いがひしひしと感じられて目頭が熱くなった。田坂監督は「私の殺した男」(1932:ルビッチ監督)を意識したかもしれない。

なのだが、サイドストーリーの一場面が強く心に引っ掛かった。

~グレイは原爆孤児院を開いている野上(根上淳)の元を訪れる。その活動に感銘を受け資金援助を申し出るが

野上「戦争でアメリカにも父や夫を失って悲しんでいる方が沢山あるはずです。まずその人たちを助けてください。私達にはまだあなたに助けて頂く資格が無いんです」

グレイ「そんな事はもう過去の事です」

野上「いや、私たち日本人の罪はまだ償われていません。私は、自分の傷は自分の苦しみで治さなければと思うんです。もしどうしても駄目になったらその時はお願いするかもしれません」

~グレイ、野上の手を強く握る。

グレイ「野上さん、戦争の事は忘れましょう」

野上「本当に忘れたいと思います。この子供たちはもう二度と間違ったミリタリズムの味方にはならないでしょう。あの惨めな戦争を経験して、子供は徹底的な平和主義者になりましたから」

~野上はグレイに聴いてほしいと子供たちに原爆の日の日記を読ませる。
~切ない表情でじっと耳を傾けるグレイ。

原爆被害者である長崎市民が、日本の戦争加害をアメリカ人に贖罪するという文脈に初めて触れた。同時に、原爆加害国のアメリカ人が長崎の被爆市民に「戦争の事は忘れましょう」と発言するのも然り。

グレイが従軍していたのが、不意打ちの真珠湾攻撃を受けたハワイだった事も布石なのだろう。本作は「あの戦争は絶対的に日本が悪かった」という意志で貫かれている。

個人的に今夏は日本の戦争加害の映画をたくさん観て、戦争責任についても考察してきた。しかし原爆被害者がアメリカ人に謝意を示す場面を目の当たりにした時、理屈は間違っていないとも思うのだが、正直いたたまれない気持ちになった。

本作の同時代批評は否定的なものが多かったようだ。

「こうまでアメリカ人にサービスする必要はなかったろう。日米親善とかヒューマニズムとか言う前に、モミ手的な卑屈さに腹が立つ」(双葉十三郎『キネマ旬報』)

「原爆のことについては、要するに怨みを忘れることがだいいちだ、という趣旨。自分達の売った闘いで、ひどい目にあっても、誰に文句を言う筋合いがあるだろうか(という態度表明は)戦後の日本の政府が一貫してとってきた、原水爆についての態度をいちばん正確に反映した作品である」(佐藤忠男『文学』)

両者の評論とも、自分の気持ちを代弁するものではない。本作の衝撃は戦後七年目の段階で日本の他国への加害責任を表明している事にある。以降の日本映画で他国への加害に言及した反戦劇映画は「海と毒薬」(1986)ぐらいしか思い当たらない(沖縄は別として)。まして民間人が加害責任を負うという設定は他にないのではないか。

本来ならば称賛すべきところを戸惑ってしまうのは、よりによって他国に贖罪するのが最も酷い戦争犠牲者となった長崎市民だからだ。同じ日本に暮らす者として「そこであなたは謝る必要はなく、謝るべきはアメリカ国民だ」と感じてしまうのは自分の内にあるナショナリズムが発動しているようで・・・。

と、もやもやとしながら調べていくうちに考え方のヒントになる論旨に出会った。原水禁運動の理論的支柱として活動した被爆者の岩松繁俊さんの言葉だ。岩松さんは、原爆被害を世界に訴えていく上で、日本の加害責任と自己批判の必要性を強調し続けてきた。

「とことんまで被害者の立場に徹しきった時、総じて東南アジアの被害者の姿が見えてくるはずである。その極限において、加害者は誰だったか、の発想に至らざるをえないはずである。加害者なき被害者はありえない」

従って多くの日本人が、被害者意識はあるが加害者意識が薄い原因は「日本人の被害者としての立場が、アジアや太平洋の被害者の立場にまで徹しきっていない」ことにあると指摘する。

これには納得できた。田坂監督は広島で被爆し、とことんまで被害者としての内省を重ねて本作の脚本を書いた。被害者としてアメリカや東アジアの被害者に共鳴し、加害国日本の一人として本作に贖罪の思いを込めたのだと思う。

本日「フィルムセンター」の田坂具隆監督特集号が届いたので監督の本作へのコメントを採録する。

「私はその実際の被害者として、それを直接描くことは出来ません。これを映画に再現しても映画の上の誇張になるばかりで、(中略)原爆を受けた人間のその後を描くことしか方法がありません。戦争に協力した者の一人として世界にその罪を詫び、その苦しみを受けた身としての反省と生き方を考えたい」。

「五人の斥候兵」で日本で初めての国際映画祭受賞者となった田坂監督は、本作を日本と世界に向けて制作したのだと思う。お互いに被害者と加害者の立場になった二人の心は最後まで打ち解けるには至らないが、それが制作者の誠実さを感じさせる。

自分の中のモヤモヤが晴れた今、交響曲「心の真珠」を、グレイの楽団と綾子の筝曲チームが笑顔で合奏するシーンを思い出すだけで泣けてくる。田坂監督の姿勢に学び見習いたい。


※グレイを演じたアーリントン・ロールマンは当時現役のオペラ歌手

※ラストの演奏シーンは日比谷公会堂で収録

※外国人が被爆地を訪れる設定は「二十四時間の情事」(1959:アラン・レネ監督)が引用。

※グレイが飛行場から車で長崎市街を見ながら走るシーンは、広島原爆を描いた「その夜は忘れない」(1962)で引用。

※若尾文子は、綾子の妹・桃子(久我美子)が入っているコーラスグループの一人として登場。被爆により松葉杖をついていて、グレイに英語で話しかける。

※田坂監督が自らを「戦争に協力した者の一人」とコメントしたのは、とりわけ国策映画「五人の斥候兵」「土と兵隊」(1939)を監督したことを指すと思われる。ちなみに米国の文化人類学者ルース・ベネディクトは日本文化論「菊と刀」(1946)でそれら国策映画を挙げ「これらの映画をみるアメリカ人はしばしば、これこそ今までに見た中で最も優れた反戦宣伝映画だという」と述べている。
柿の木から落ちた子ども、捕虜で行方不明の夫(山内明)の椅子、アメリカ人のグレイさんが腰掛けたら壊れる椅子、神父の被爆エピソード、停電で揺らぐ電球の光りから太陽を見つめる京マチ子の美しいアップ、子どもたちとのしりとり、解けていく毛糸、手のひらで溶けていく雪、印象的なシーンがいくつもあって忘れ難い。焼け跡に花屋を開業する女性、滝沢修は民藝の陶芸家、音楽が繋ぐ家族と友情。戦いに抗う芸術と文化。だいぶ美談寄りだけど田坂具隆の誠実さには嘘がない。叔母さんの瀧花久子もよかったしシスターは町田博子、松葉杖の少女は若尾文子でした。ラストのオーケストラの録音シーンで25弦の琴を操る京マチ子も。この録音のドキュメンタリーもみたくなる。

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