この子を残しての作品情報・感想・評価

『この子を残して』に投稿された感想・評価

最後の「愛し、愛し、愛しぬいて」というのは、木下惠介監督のモットーらしい。そこから続く、色んな意味で強烈なエンディングは、不謹慎ながら、ちょっとゾンビ映画味(こういう曲使うよな)すらあって、戦災・被曝のイメージの復活だなーって思って逆に面白かった。

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンのみに言及。

クライマックス、映画がそれまで直接描かなかった原爆投下直後の現状が映し出される。
骸骨、瓦礫から飛び出て痙攣する子供の腕、皮が捲れ爛れた人々が彷徨う地獄絵図がそのまま目に飛び込んでくる。

そこでまるでミュージカルのような「父を返せ、母を返せ」の歌が覆いかぶさる。

音楽の高揚が最高潮に達する瞬間、オレンジ色のキノコ雲が誕生するカットに切り替わる。

木下が持つ美意識(特に複雑な意味ではなく、綺麗に、美しく という意)が原爆という題材を扱った作品のこのラストシーンで妖しく、もっと言えば不道徳に働いてしまっていると感じる。

つまりはあのラストカットでどこかキノコ雲の美しさがフィルムに意図せず焼き込まれてしまっているような感覚を覚えるのだ。
さすが、木下恵介監督。重い原爆をテーマにしながら、興味をもって見れる作品にしている。
東裕二

東裕二の感想・評価

3.7
20210908-297

年代 1945
舞台 長崎
原作 永井隆(医学博士)『この子を残して』
配給 松竹 

「汝の剣を鞘におさめよ。剣をとるものは剣に滅ぶ。敵も愛しなさい。愛し愛し抜いてべければなり。こちらを憎む隙がないほど愛しなさい。それにはお前が残していく子供たちにも忘れてはいかん」
広島23、長崎11
長崎の原爆投下を扱った映画は意外にも少ない。
しかも、広島の原爆投下は単独の題材になるのに対し、長崎はなぜか広島とセットで語られることが多い。
長崎単独の題材になった映画だとさらに少ない。
その中で3番目に古い作品。
「長崎の鐘」を著した永井隆博士とその家族の話。

大庭秀雄監督「長崎の鐘」
田坂具隆監督「長崎の歌は忘れじ」
いずれも、1952年までのGHQ統治下で検閲を受けている。
それから31年間も扱われなかった題材。
検閲を受けていない言論の自由が保障されて以降の作品としては一番古い。
すなわち、長崎の率直な気持ちを表した最初の作品と言える。

長崎と言えば、かつて天草四郎らキリシタンが潜伏した、キリスト教と縁の深い地。
それは、1981年のローマ教皇(ヨハネ・パウロ二世)の日本語スピーチから始まる…。
なお、2度目にローマ教皇(フランシスコ)が訪れたのは、38年後の2019年。
つい最近。
1981年も、2019年も、教皇の話を聞いている人々の姿が雨合羽なのは印象的。

長崎の鐘を元に作曲した古関裕而は、東京オリンピックの行進曲を作った。
不思議と現在とのつながりを感じる。

令和となり、戦前生まれの人が減り、ますますあの記憶は、歴史の中に埋もれてゆくが、唯一の被爆国としてはやはり忘れてはならない。
何があったても忘れてしまう国民性だれども、二度と戦争を起こさぬために、これだけは忘れてはならない。
本作は、決して面白い部類の作品ではないが、戦前を知らない私たちが記憶にとどめるためにも、一度は観ておいても損はない。
反戦へのメッセージがこれでもかと伝わってくる。
時を刻む秒針の音が、めちゃくちゃ怖い。
ラストソングの歌詞はトラウマ並みに怖い。

戦後76年。
今年も、あと数日であの日がやってくる。
wada

wadaの感想・評価

-
実はまだ見てなかったんだ…原爆に身内を11人殺され、老後を子どもたちと父の世話に捧げた祖母が、父以上に戦争の被害者だったと思う、という台詞。この台詞を入れるのは流石木下惠介だと思った。
ケロ松

ケロ松の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

いつまでも後世に残していきたい映画。大竹しのぶさん演じる娘さんが思いを吐露するシーン、そして最後の永井博士の息子さんが昔を語るシーンと生々しいエンディングが、特に心に刺さった。山田太一さんは本当に価値ある優れた作品をつくる方だと思う。
木下恵介監督作品。

医学博士 永井隆原作の随筆も十年程前に読了。

比較的数少ない長崎の原爆投下の反戦映画。

面白いとかつまんないとかじゃなく、観ておいて良かった作品。
きらら

きららの感想・評価

4.0
原爆映画を集中的に鑑賞。
カラーだから、モノクロの「黒い雨」より凄惨というレビューもあったが、最後の原爆投下時の状況で一番衝撃的だったのは、断末魔を叫ぶような表情の真っ黒焦げの焼死体だった。他にグロテスクな部分は特になかった。
姪の大竹しのぶが突然登場するので、先にレビューを読んでいなかったら誰だか分からなかった。
人間模様の話は単調に感じたのと、親子の触れ合いがもっと描かれていた方が感情移入できた。
永井先生が子供達の為に本を書いてお金を残してあげたいという気持ちは分かるが、心のキャッチボールの描写が少ない。
「にんげんをかえせ」の歌とメロディが頭から離れない。
MileNyang

MileNyangの感想・評価

4.6
太平洋戦争末期の長崎が舞台のストーリーです。もうご想像はつく方が多いと思いますが、原爆投下後の家族を描いた物語です
>|

あなたにおすすめの記事