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豚小屋
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『豚小屋』に投稿された感想・評価

明日11月2日は凄惨なリンチによって53歳で非業の死を遂げたイタリアの鬼才ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の命日です。

没後42年目に突入しようとしている今、犯人とされる男の新証言で事件の再調査は着々と行われているようですが、はたして真相が究明される日は来るのでしょうか?

本作「豚小屋」はそんなパゾリーニが自身の左翼思想をガンガンに盛り込んだ衝撃の異色作。
ゴダール左傾作品「中国女」のアンヌとレオ君を起用しているところからも、彼の並々ならぬ共産意識が窺えます。

現代の資本主義社会への揶揄と、中世の物語が並行して展開される寓話。

まず現代ではドイツのブルジョワ御曹司ユリアンをレオ君が演じ、
学生運動に傾倒する御令嬢イーダを半ば拒絶。
彼は豚との密かな獣姦によってのみ、本能的な欲求で愛の充足感を見い出していたのです。

豚はドイツが誇る名産ソーセージの原料。
つまりドイツの消費社会を象徴する豚との性交は、利益が一切介在しない超ミニマルな反資本主義とも取れるのです。
また女性への拒絶も"非生産"への暗喩が込められます。

彼の父親は戦時中ナチスとの関係で財を増やしたネオ・ファシストの実業家であり、口髭はあからさまにヒトラーを想起。
そして彼の政敵でありながらも結託する旧友はかつてナチスでユダヤ人体実験に加担し、戦犯を逃れる為に整形と改名をして技術者となっている男。
このように敗戦後も、資本主義という新たな枠組みの中で社会を牛耳ろうとするファシストの残党(=ネオナチ)の実態が極めて醜悪に描かれます。
そしてそれは謂わば、ナチスの同盟国だった自国イタリアへの戒めでもあります。

またユリアンがそんなファシストの父を恥じて反抗的な態度をとるくだりも、「アポロンの地獄」同様パゾリーニ自身の実体験に通じています。

一方の中世では父殺しによって国を追われ、荒涼とした高山地帯に辿り着き、飢えに苦しみながら彷徨う青年をピエール・クレマンティが演じます。
彼は不毛の地での極限的な飢餓から人肉食に行き着き、
次第に同志を増やし、体制に虐げられる奴隷の女たちを解放して仲間にし、彼らはその地で生き抜く為に団結して背徳的なカニバリズムに耽るのです。
そこには確固たる本能的な生存欲求が存在し、原初的な共産組織によって青年たちは凶行を繰り返します。

彼らが捕らえられた時、己の欲望に従順した仲間は不様に抵抗して十字架にもキスをしますが、
青年は自身の重責すべてを受け入れて無抵抗を通し、強制的な神への敬意をも頑なに拒むのです。

時代を跨ぐ二人の行いは極めてインモラルであり猟奇的であるものの、それは自己にとって崇高な行いに起因するものであり、
そこには虚悪が彼らを犠牲者に仕立て上げてしまったある種の"同情"さえも感じさせます。
双方の衝撃のラストを前にして、本当に"非道"なのは一体どちらだと云えるのでしょうか?

こうした変態的でエッジな描写はパゾリーニへの誤解を増進させる原因ともなっていますが、彼の作品は今もなお我々に強烈なセンセーションを与えてくれるのです。
TS

TSの感想・評価

2.4
短文感想 55点
これでしばらくはパゾリーニの作品はおさらばとしたいです笑 カニバリズム、獣姦などの描写がありますが、さすがに控えめ。もっとえげつない作品かなと思いましたが割と控えめでありました。にしてもまさに豚小屋。人間と獣って紙一重ですね。パゾリーニ作品はこれまで7作ほど見てきましたが、やはり一番衝撃的だったのは『ソドムの市』でしたね。あれを超える気狂い映画はそうそうない。笑
カニバリズム、獣姦。違う時間軸で行われるこれらの行為はいつの時代も道徳観から許容されるものではない。純粋な欲望は、曖昧な良心や恥辱から社会的になきものにされ、肉体的に同様の純然たる生き物の糧となるため、食い荒らされる。社会、自然界において存在できないが、存在しているもの。ということなのか?
しがらみを逸脱して、純粋に欲求を満たす行為は人間的とは言えず、動物そのもの。
中々に理解ができない作品。

「では、誰にも何も言うな」という最後の言葉が象徴しているように、人間界において招かざれる存在と認識され、なきものにされるマイノリティを淡々と、作中名が挙がるブレヒトのように描いている。

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