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揺れる大地
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『揺れる大地』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.1
 シチリア島にある小さな漁村アーチ・トレッツァの朝は早い。漁師たちは日の出前、朝4時頃に海へ出て行く。漁師の男たちの生活のリズムに巻き込まれ、女たちの朝も自然と早くなる。ヴァラストロ家の長男のアントーニ(アントニオ・アルチディアコノ)は兵役帰りで、父親の船に同乗し、大海原へ出て行く。大漁だろうが不漁だろうが、魚を獲る網や船を直すのは全て漁師の責任で、仲買人たちが売り上げの大半を持って行く。アントーニは漁師たちが仲買人の不当な搾取に遭い、貧しい暮らしに甘んじているのが我慢出来ず、独立を考えていた。アントーニは恋人のネッダ(ローザ・コンスタンツォ)との愛を育む一方、左官職人のニコラ(ニコラ・カストリーノ)は、アントーニの妹で長女のマーラ(ネッルッチャ・ジャムモーナ)に好意を持っていた。次女ルチア(アニェーゼ・ジャムモーナ)はヴァラストロ家一のはにかみ屋で、ムードメイカーだった。ある日、漁から大量の魚を持ち帰ったアントーニたちは、仲買人たちに足元を見られ、安く買い叩かれたのを契機に、家を抵当に入れ銀行の融資を受け、個人事業主として独り立ちする。ビギナーズ・ラックの大量のイワシ、一躍アーチ・トレッツァの村の成功者に成り上がったかに見えたアントーニ一行だったが大シケの朝、無理矢理に漁に出たことで全てを失う。

 今作が描くのは、搾取する者とされる者の関係性に他ならない。戦後、村社会の封建的なムードを維持したまま、鎖国的に生きる島国シシリーに、兵役で他所者と交わり、外部から故郷を見つめたアントーニの自我が目覚める。兵役帰りの彼の決断は、『若者のすべて』における三男ロッコ(アラン・ドロン)の決断にも呼応する。同じ日の繰り返しのような封建的な漁村の暮らし、搾取されるがままに受け身に生きるのではなく、自分の人生を歩もうとする。貴族出身のヴィスコンティは、単身渡ったフランスでジャン・ルノワールの薫陶を受け、左翼思想に感化されイタリアへ戻る。処女作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』から『若者のすべて』に至る初期のフィルモグラフィは、搾取する者とされる者の構造や階級闘争、権力闘争を労働者階級の立場から描いている。男たちのクローズ・アップも印象に残るが、それ以上に鮮明になるのは運命に翻弄される長女のマーラや次女ルチア、そして恋人のネッダの姿であろう。女たちは結婚という人生のゴールを夢見ながら、堕落する男たちの歩みに翻弄される。ロケーション主体の撮影スタイル、非職業俳優の大胆な起用、6ヶ月に及んだ撮影期間、シシリー訛りの使用により、物語的ではない根源的なリアリズムを追求する。ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』や『戦火のかなた』、ヴィットリオ・デ・シーカの『靴みがき』や『自転車泥棒』と比肩し得るイタリア・ネオレアリズモの教科書的な作品である。
ルキノ・ヴィスコンティが監督を務める「揺れる大地」

シチリア島を舞台に仲買人に搾取される労働者たち。それに刃向かい独立したがために、厳しい現実を突きつけられ崩壊していくが、逞しく生きようとする家族の物語。

彼らの着ている服はこれでもかというほどボロボロ。そして裸足。だけどどこか気品がある。貧しい人たちを描いているのに、汚らしさや泥臭さがない。美しく、厳か。荒波や所々のシーンでなびく風は、モノクロを通して荘厳さを感じる。

明日のパンを稼ぐためだけに漁に出る。それが生き延びる道。
その道を失った時、家族は困窮に見舞われる。
搾取されることも辛いことだけど、職を失うことはもっと辛いことなのじゃないかな…

そうゆう時代と環境で生きていくことの厳しさが、痛いほど伝わってきた。決して楽しくはない映画。ハッピーになれるようなことは1つもなかった。はっきり言って苦しい。
まず貴族出身であるヴィスコンティがこのような映画を作り上げたことに驚き。
そしてオールロケ、全出演者をそこの住民からキャスティングしたということで、よりリアリティが増していた。

ラストの船を漕ぐシーンは逞しく、人生は辛くても投げ出さないで必死に生きていく意味が何かあると感じた。

人生の勉強になる映画。
そしてヴィスコンティの才能を見せつけられた映画。
Maoryu002

Maoryu002の感想・評価

3.5
シチリアの漁村に暮らすヴァラストロ一家の長男ウントーニ(アントニオ・アルチディアコノ)は悪徳な仲買人に反発し、独立して取引する漁師となるが、嵐ですべてを失ってしまう。やがて恋人に捨てられ、弟は裏社会に入り、祖父は入院してしまう。

搾取される漁師たちを描いたルキノ・ヴィスコンティ監督作品。
とにかく長回しで、魚の売り買い、家族の生活、進水式などを記録映画のように見せる。これぞネオ・レアリズモ!というか、ほとんどドキュメンタリーを観ているようだ。

白黒映像のせいもあって、素晴らしいはずのシチリアの海も美しさは微塵も感じられず、ただただ辛い闇にしか見えなかった。

そんな静かな骨太作品に寝落ちしそうになったけど、逆に終盤はあまりの救いのなさに目が覚めた。
最後の最後までかなりの胸糞映画で、ラストも自分には希望の再出発には見えなかった。

家族の在り方や搾取の方法はだいぶ変わっても、経済的迫害が組織的におこなわれるのはどの時代も同じ。現代の富裕層の一人勝ちを思わせる。
同時に世代間の意識の差も印象的だった。成功したかどうかは別として、時代を動かそうとするのはいつも若者だ。

面白いかどうかではなく、この家族それぞれが見せる悲哀を丁寧に映すことで映画として成り立っているところに価値がある。

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