ベルイマン作品の中でも ストーリーはとりわけシンプルなんだけど テーマの重さと深さでいったら 抜きんでた傑作と思う

だいぶ昔に 仲間内の語らいで カトリック育ちの奴が意味不明だとぼやいて 同じ北欧であるノルウェー出身の奴は割とストレートな解釈を持ってたのが 今も記憶に残ってるんだけど なまじ信仰を抱いてない自分や 土着のものを含め 複数の信仰が混在していた環境にあった者の方が 2、3歩下がった場所から 神の"不在"や"沈黙"を思わせる悲劇の真っ只中での宗教の役割 或いは"諦め"を受け止めやすいのかもしれないな

ましてや 自分なんて 受験とかピンチや身内の病気とか 文字通り"困った時"しか 神に頼みごとなんかしてこなかったわけで 希望や幸福といったものよりも 絶望を享受し前を向く為の"それ"の方が 違和感なく思えてしまうのだろう

ケルトやバルトのような土着信仰を 巧みに並列に配置させ カエルや処女や母性愛にさえ"生贄"の意味合いを投影させた ベイルマンの狂気にも似た ストーリーテラーっぷりが圧巻の名作

【神に縋るという行為】
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監督:イングマール・ベルイマン
製作国:スウェーデン
ジャンル:ドラマ
収録時間:89分
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発掘良品第20弾。

有名なスウェーデンの監督、イングマール・ベルイマンの作品です。以前、同監督の『仮面/ペルソナ』を鑑賞してコテンパンにやられた自分でしたが、これはまだ理解しやすかったです。単純に見れば復讐劇です。しかし、この監督は「神との沈黙」を題材にしてこれを描いているため、少し宗教色が強い作品でもあります。

中世のスウェーデン。裕福な地主を父に持つカリンは、ある日教会へ勤めるために家を出る。すると貧困層の三人の男と出くわすのだが。

復讐劇なのにカタルシスを感じることが出来ない不思議な作品です。結局のところ復讐というのは誰も得をしない虚しいものであるということを思い知らされます。そして、忘れてはならないのは「神との対話」。
いや、神との対話なんて出来てないのです。監督が「神の沈黙」をテーマにしたというのは強ち間違いではありません。厳しいことを言いますと、祈るというのは結局のところ自己満でしかありません。そして祈ったのに望んでいない結果になると人は悲しみ、挙げ句の果てには神を呪うという人も出てきます。
本当に神がいるのならば、そんなこと知ったこっちゃあない。私は毎日神に祈りを捧げています。敬虔な行いをしております。と言われても神からすると「それで？」となります。

この際ハッキリ言ってしまいますが、宗教は自己を満たす方法でしかないと僕は思っています。結果はともあれ、それで信者の気が済むのなら、その信者の何かが「変容」するだけでして、正直のところそれ以上でも以下でもない。

なので、復讐をしたとしても「お許しください」なんて言わなくても良いかと思います。どちらに転んでも神は沈黙してるのだから。対話なんて出来ないのです。今作は、その辺りを鋭く描いてるなと感じました。神に縋っても報われないことなんていくらでもある。人生の非情さを描いた作品であります。

また、物足りないと感じたのは、復讐をした時の地主の行動にあります。僕がもしあの行動をするなら、彼ら三人に一言でも「俺の娘を殺したな！」と言います。彼らがただの貧困層で、極悪人でなければその一言はかなり効くはずです。もし復讐をするのならば、自分のしてしまった事を後悔させながら、事を終えた方が良かったのではと思ってしまいます。そのような過程故にカタルシスを感じられないのです。

結局のところ神はいるのか？宗教とは何なのか？というところに行き着きます。

神はいるのか？という問いに対してはイエスでもノーでもあります。
何故ならその人がいると思えばいる、いないと思えばいないからです。
個人個人が祈る際、自分の心の中で神を生み出しているのです。そうすることにより自分の心が落ち着き、次の成功に繋げれるのなら、その人にとっては神がいると言ってもよろしいでしょう。

宗教とは何なのか？
これは先ほど申し上げましたので割愛しますが、現実的な立場からいうと言ってることは間違っていないと思います。
何故に日本人は無宗教者が多いのか？欧州は何故キリスト教徒が多いのか？このあたりは歴史がある程度語ってくれてます。

日本といえばまず思い浮かぶのが仏教です。仏教は修行ありきの教えです。すると、国民が全員修行をしながら生活するというのは非現実的です。実際修行なんてしたくないて人も出てくるでしょう。
それに対してイスラームやキリスト教なんてどうか。もちろんラマダーンのような修行に近いものもありますが、基本的には修行のようなものはあまりない。面白いことに日本の仏教は修行の一つに掃除もあてています。欧州では掃除は奴隷がするものだという固定概念があるので、実はキリスト教徒も掃除を嫌がる傾向があるのです。掃除を修行の一つとするなら、ここにもヒントがありそうです。

話が肥大化してきましたが、驚くことに日本人というのは宗教に頼らなくても自己の精神を安定させたり、人生を乗り越えれる人が多かったと言えるでしょう。
書き出した割には、今答えを出せるほど簡単な問いではないですね。しかし、京大出身の有名な歴史学の教授は講義中にばっさりと「宗教をこの世からなくしたら世界は安定するよ」と言い放ちましたから笑ってしまいました。宗教を悪く言うつもりはありませんが、昨今の国際問題はやはり宗教が絡んでるのが多いです。ISなんてその顕著な例でしょう。

ということで、今作はシンプルな復讐劇を描く中で、神と対話するというのは如何に難しいことで、不鮮明なことだということを知らしめてくれます。

話がぶっ飛んで宗教についてどう思っているかという記事になってしまいましたがご了承を。

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カエルバーガーとかマジで無理！！😱

初ベルイマン。ウェスクレイヴンやアルドラドに多大な影響を与えた作品ということでホラー好きとしてはいつか見なきゃって思ってたやつ。多少似てるだけだろうと思ってたら、マジで『鮮血の美学』まんまで笑った🤣クレイヴンさん…。あれはリメイクってことで良いんだよね？？

流れてくる色んな方のレビューで神の不在って単語を良く見かけてたから、キリスト教批判的な内容かと勝手に思ってたのですが、そんな単純なところに留まらず、もっと複雑な監督の考えが反映されているように思えて、内容のシンプルさからは想像できないくらい見終わった後の余韻に引っ張られる作品だった。

敬虔なクリスチャン一家に起こる悲劇。それも、最も無垢な魂が教会へと向かう道のりで。そこから導き出されるのは不条理な現実という地獄。本人が何をしたとしても避けようのない無慈悲な死。あずかり知らぬうちに「無垢」が蹂躙される危険性と隣り合わせな暗闇な現実を暗示するヒヨコ。

しかし、それに対して救うことも防ぐこともしない神の沈黙。ただ、神の沈黙とは言いつつも、本作を見る限りベルイマンが神を「否定」していないことは明白で、それは「生とは何か」「死とは何か」「生きることの意味とは何か」の普遍的な問答へと発展する。

神の沈黙。その沈黙というメッセージを神から受け取った人間はどう生きるのか。本作の描くドライ故に重みが直接的に伝わってくる暴力には多くの「間」が存在する。神を試す、あるいは自分にとっての神とは何なのかを自問するかのように。そして死を内包した生は孤独を照らし出し、それは「涙」となり溢れ出す。

「生」と「死」。その双方をもたらすものとして「性」を配置し、更には「性」により「生」を宿した者が「死」を願うという両者が混ざり合うことを体現するキャラクターが重要な役割を担う。彼女は異教徒でもあり、キリスト教に改宗する前の古い神も密かに同居するスウェーデンという国の中では、混じり合いという点でも、神＝父の不在という点でも、キリスト教的神への憎しみが向かう先という点でも存在自体が大きな意味を持つ。

死体のベールとなる雪、大きな木のショットは印象的。特に木のシークエンスはその後の洗い流すという行為（そして仰ぎ見る白い空との対比）にも多層的な意味を付与するわけで、そこに異教要素が入ることで単純な行為にどんだけ上乗せすんねんってくらいに盛り盛りな複雑さがタメとして齎されるんだから本当凄い。

それにしても、人から盗んだ高級な服を生活費のために買い取って欲しいって申し出るのは良いけど、血がベットリついたやつとか誰が買うねんっていうね🤣脇が甘すぎるわ！川とか側にあったんだから血くらいは落としとこうよ！あとカエルバーガー食うとこ見たかった😂

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