海辺の別荘へ夏のバカンスで出かけるキャロリーヌとジョエル、カリーンの三人は女だけで盛り上がっていたが、ジョエルに思いを寄せるジルベールが加わり、手荒な対応を受ける。さらには違う青年に出会えばみんなそっちに気を取られるようになり。

赤と青、赤と白色、色のコントラストが美しい。ボート乗りのイケメンに心奪われるシーンにはバスタオルや彼の纏うブルゾンや、彼女達が思いをのせて歌う小屋も黄色に統一されている。

トレンチコートやスカーフ使い、三人の構図や配置、風を感じる白いワンピースや砂浜に交互に横たわる三人の配置など、三人いる事で構図に奥行き感がでて、絵になる描写が続く。

物語はいたってシンプルで、バカンスで初めは三人女子のみ、ただ一緒に居るだけ、木の靴やおまるなどそのにあるもので遊んで盛り上がり、笑顔が絶えない。オルエットの巻き舌の発音がツボに入り、何度も繰り返し笑いのネタのひと時のブームになる。ただそれを発音したいだけの彼女達は微笑ましい。特に三人でベッドの上でカラフルなエクレアを食べるシーンが好き。チョコいっぱい口の周りにつけて、三人一緒だから、ダイエット関係なくたらふく頬張って笑い合う三人の絵は素晴らしくリアリティがあって、女の子の世界が溢れて居る。

冒頭に一人がカメラ目線で話しかけてくる。まるで観客も四人めの彼女達のメンバーのように招き入れられるようにフレンドリーに話しかけてくる。そうして長い時間をかけて、彼女達と一緒にバカンスと女の子の世界を堪能することになる。

三人だといつも一人があぶれてしまうが、そこに異物の男を投入することで、解決するに見えた。女子だけでは出来なかったことを解決してくれはじめはうまくいくが、彼に対する扱いは、笑いのネタで常に軽く捉えられなかなかシビアである。ボート遊びや乗馬など、迫力があり、男が加わりストーリーに動きは出るが、それが彼には全てマイナスに働くことになる。

しかし常に笑顔で普遍的な会話を展開する彼女達。瑞々しさと海は切っても離せない。真ん中にオレンジの夕日が配置されたキラキラと光を注ぐシーンが何度か繰り返される。その笑顔の日々はいつまでも続かないことは分かってる。でもその一瞬のキラキラを懸命にそうして腹の底から楽しんでいる彼女達は眩しく輝いているのだ。

新しい男に気持ちが持っていかれる。代わり映えのない日々に彼女達が疲れていくように、観客も徐々に疲れてくる。少しずつどんな状況でも笑ってた彼女達から笑顔が薄くなり、喧嘩したり、関係が微妙になっていくが、そこまで暗い描写にならず、あくまで軽いタッチなのがいい。

バカンス疲れした彼女達は少し早めに切り上げることにする。同様に観客もたっぷり日本の習慣にはない夏のバカンスを目と妄想で楽しみ、どっぷりと疲れたところで終わりが来る。そうして現実に戻っていくのだ。そんな夢のような日々があったから日常を頑張れるし、また次のバカンスのために頑張るのだ。いつまでも続かないから楽しいだけで終われる。やはり人生にはメリハリが大事だ。素晴らしくみずみずしく、素晴らしくバカンス疲れさせてくれる作品。

昨日に続きジャック・ロジェ監督作品…。

退屈な仕事がようやく終わり、待ちに待ったヴァカンスの始まり！OLのキャロリーヌは女子友カリーヌ、ジョエルと３人でヴァンデの海岸沿いにある別荘へやって来ます。そこで偶然にもキャンプでテント生活をしているキャロリーヌの上司ジルベールと出会います。

ある夜、嵐の到来！ジルベールは救いを求め彼女たちの別荘へ……。

彼女たちのとにかくダラダラ、キャピキャピしたゆる〜いヴァカンスの日々をドキュメンタリーのように映し出します。重大な事が起こるわけでもないのに…ひたすら続くガールズトークや可愛い行動は涙が出るくらい可笑しいです。

海がすぐ目の前なのに…「今日はダルいから泳がな〜い」…ダイエットしているのに…夜はベッドでエクレアにタルトを貪りま〜す。おばあちゃんのお鍋を頭にかぶったり…木靴を履いてドタドタ踊りま〜す！

仕舞には、 « La ferme Gruette à Orouët »(オルエットのグルエット農場)の発音が可笑しいらしく「グルルルルーエット」「オルルルルーエット」と何回も何回もケラケラ、キャッキャが止まりません!!!
(因みにフランス語の”r”の発音はうがいの時のような喉を鳴らす音です)

そして嵐の夜、ちょっとキモいドジな男(ジルベール)がやって来て、「と・と・とめてもらえないかな〜？」ガールズたちは「無理ー！庭ならいいよー！」

ガールズ+ドジ男の奇妙な生活が…。

しかしドジ男に追い討ちをかけるように、そこへイケメンヨット男登場！果たしてドジ男の運命は？

決してコメディではないのですが、些細な会話や行動がクスクス笑えます。
画の持つ力が強烈で、弾けんばかりのキラキラとした人物や風景…特にヨットのシーンは素晴らしく、故意に逆光を用いたり、海のキラキラ感も相乗効果で見事な映像です。

勿論３人のガールズがめちゃくちゃキラキラ可愛い…ファッションも髪型も水着も全て…

女性ならば「わかる、わかる」、男性ならばきっと微笑ましく思える作品です。
もっともっと観たい監督さんです…ෆ*

[最&高]　100点

今更説明の必要もない超絶大傑作。最高以外の単語が出てこない。楽しすぎてその場で二回観た。5時間超えですよ、5時間。『アデュー・フィリピーヌ』で不満だったアップ少ない問題もバカンス短尺すぎ問題も解消され、キャッキャと楽しむ女の子たちの笑顔を3時間近く眺めてられるなんてホント最高。ストーカー上司もそんな悪いやつじゃないってのがウケる。多分なんもしないけど今年の夏が楽しみ。

さて、これでケシシュの新作を見る準備が整ったぜ(現状前半1時間だけど神みたいな映画だよ)。

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