現在公開中の『ライオン・キング』で偉大な王ムファサ役の声優をアニメーションの時から務められているレジェンド、ジェームズ・アール・ジョーンズ。なんと御年88歳だそうですが、バリバリの現役！『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダー卿の声でもおなじみ。
そんな彼が若き日にアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた本作。

黒人として初めてヘビー級世界チャンピオンになったジャック・ジョンソンをモデルにしたフィクション。20世紀初頭のアメリカで、黒人の名誉と権利のために戦い、さらに白人女性エレノアと恋に落ちたジャックの波乱の半生を描く。

時は1900年前後、公民権運動よりも遥か昔、むしろ奴隷解放宣言の時代に近いというかなり昔のお話。そんな世相に、黒人ながら最強のボクサーとして名を馳せたジャック。実際の彼はプライベートでもスキャンダラスな日々を送っていたようですが、人々の注目を最も集めたのは白人女性と結婚したこと。当時は異人種間、特に黒人と白人の結婚は認められておらず、大変なバッシングを受けたとのこと。（しかも白人からも黒人からも！）
そんな過酷な状況においても、アグレッシブな姿勢を崩さず、"誇り"を持った毅然とした態度で試合に、そして社会に挑む姿には大変奮い立たされました。
70年代を代表する名女優ジェーン・アレクサンダーが、そんな彼を献身的に支えつつも苦悩する妻エレノアを演じていてこれまた素晴らしい配役でした。

豪快すぎるがゆえに、周りがついていけなくなってしまったり、はたまた遊び心が過ぎたりという人間らしい側面もあるのが、彼のまた魅力なのかなとも思いつつ。
ボクシングシーンも迫力たっぷりでした！
ものすごく若い頃の作品だけど、深みを帯びたジェームズのあの声は当時から健在でなんだか不思議な感じでした（笑）。

ラストは突然シビアな展開になるので驚き過ぎてちょっと乗り切れず...。

黒人と白人を恋人として描いた作品としては、パッと思いつくクラシック作品としては1967年の「招かれざる客」があるが、とても行儀良く描かれ、かつどちらかというと葛藤する両家の両親の物語だった（ベアリチャーズとロイグレンが本作にも登場しているのがまた感慨深い）。

それから3年、本作はさらに踏み込んだ作品となっている。が、もっと驚くのは1910年前後の実話ベースであるということ。今の時代だと誰と誰が惹かれ合おうがなんら驚かないが、差別色濃い時代にその苦労を思うと胸が痛い。

本作の主人公の男は黒人のボクサー。
精神力が強く、挑戦的で、肉体的にも強い。
が、女の白人女性はどうか？
始めこそは威勢もあるが、徐々に、、、🥺。

最近だと「ラビング」を思い出すか。
本作は不変の愛と言うよりは、より現実的な印象。モデルとなったジャックジョンソンは調べるともっとクソ野郎だったっぽくそこは映画の主人公として少しオブラートに包んだか。まあ、本作でも十分好感度は高くないけど😎。

この時代であること、
内容が当時先鋭だったであろう、
というフィルターをかけると、
観てよかったと思った。

※主人公演じるジェームズアールジョーンズは「星の王子ニューヨークへ行く」の国王役😳。

あらすじ：俺の人生だ。やりたいようにやる。黒人だからとか関係ねえ。やりたいようにやってやる。その何が悪い？何が悪いってんだよ！？

スーパー鬱な社会派映画。モハメド・アリやジャッキー・ロビンソンの先達として知られる、世界初の黒人ヘビー級チャンピオン、ジャック・ジョンソンの栄枯盛衰を描いたお話。

身勝手が許される人種などこの世に存在しないが故の平等であり、あらゆる特例適用は無し。これまでどれほど虐げられてきたとしても、世はその専横を長く許さないもの。

「人生がクソなのを人種のせいにするな！」と説教していたジャックは、平等の意味を一部理解していたのに、自己実現と承認欲求を履き違えてしまい没落。いつしか、クソな人生を人種のせいにしてしまうように。

累積した身勝手のリターンとして、ついに最大の喪失を経て、ようやく過ちに気づきそこから心機一転華々しい散り様を見せるか…と思いきや、完全に眼光を失って負け犬余生をスタートさせる超バッドエンド。もう二度と観ない傑作。