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性の放浪
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『性の放浪』に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
若松孝二のサラリーマン解放宣言。無意識のうちに見知らぬ海沿いの街に来てしまったサラリーマンが、性的な解放を通して社会規範そのものからの脱却を目指していくお話。所詮サラリーマンは家庭と会社の往復の中にしか生きられず、僅かばかりの賃金を家庭に収め、夜は嫁に性的奉仕をしなければいけない悲しい生き物であるなんて言うマスオさん的思考。助監督が沖島勲だし『出張』の精神的な源泉はここにあり?最終的に今村昌平『人間蒸発』のパロディで終わる、その名も『蒸発人間』!!!モキュのモキュ、劇中と言いやってる事は最低だけど結構面白い(笑)帰りたいのに怒られるのが嫌で帰れない、バイトが飛ぶ理由みたいだな。
mi

miの感想・評価

3.5
荒唐無稽なサラリーマンの放浪記。
一つの場所に止まり続けることが現実だとすれば、どこか見知らぬ場所へ向かうのはおおよそ夢のような話であると、日常を送っていれば誰しも理解できる。
そんな夢に向かってぶつぶつ呟きながら体当たりしていく主人公の様は、時に現実に引き戻されそうになるも、解放へと推し進められる。
いっとき解放されて非日常となるその場限りの労働は生き生きとして見えた。
後半の無茶苦茶っぷりは笑うしかない。
都会部で鬱屈した生活を強いられている妻帯者の男(山谷初男)が、無意識のうちに見知らぬ海辺の町へと出立してしまう。精神の解放を切望するサラリーマンの逃避行動を描いている、ピンク映画。

本作の主人公は、自宅と職場を往復しながら、鬼嫁に貢ぐだけの人生を送っている人物。精神的開放を切望するのだが、都会人の気質が足枷になってしまう負の連鎖。見知らぬ町での放浪生活を、主人公の夢想世界のように描いていく。

「自分の生き方について思い悩んでいる人間は、全員アウトサイダーである」というコリン・ウィルソンの哲学。そして、「最大の快楽は反社会的行為にある」というバタイユの理論を推量することが可能。

「俺は東京から逃げようとしているのか?帰ろうとしているのか?」と自問自答する場面と、「日々の束縛から解放された日雇い労働」に勤しむときの生き生きとした描写が面白い。だがしかし、主人公の心情を台詞で説明してしまうラストシーンが残念。

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