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聖なるパン助に注意
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『聖なるパン助に注意』に投稿された感想・評価

3.3
 スペインのリゾート地に面した海沿いのホテル、映画の撮影隊、俳優たちは既に全員勢ぞろいし、クランクインの瞬間を今か今かと待ち構えている。その場は制作主任のザシャ(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)が何とか取り仕切るが、監督のジェフ(ルー・カステル)は一向に現れる気配がない。この映画は実は土壇場で資金繰りで揉めて、映画に必要なフィルムが到着していない。徐々に苛立ちを見せ始める役者とスタッフたち、そこに遅れてヘリコプターで監督ジェフが到着する。今作はファスビンダー版『アメリカの夜』とでも呼びたくなるような映画撮影の内幕ものである。様々な人種や階級関係、利害関係に置かれた人間たち、それに私生活でも愛憎併せ持つ男と女が一つの現場で共同作業するが、映画は一向に始まる気配さえ見えない。クランク・イン出来ない苛立ちの中、ファスビンダーお得意の倒錯性を帯びた緩やかな崩壊劇が幕を開ける。

ファスビンダーは60年代後半の劇作家時代、同じ釜の飯を食う仲間たちと昼夜問わず共同生活し、プライベートと創作活動が渾然一体化したコミューンのような理想郷を追い求めていた。これが「アンチテアター」と呼ばれる初期ファスビンダー作品常連組の実像である。具体的なスタートは2作目『出稼ぎ野郎』からだが、処女作『愛は死より冷たい』でもこの仲間内での創作活動はしっかりと実践された。ファスビンダーの生き急ぐような旺盛な創作意欲は、自転車操業的だが徐々にアンチテアターを肥大化させたが、コミュニティ内で独裁者のように振る舞うファスビンダーに対し、徐々に不満を表すものが出て来て、グループは多くの離脱者を生んでいった。ファスビンダーが当初求めていたアンチテアターの理念とは、ハリウッド映画のような完全分業システムでの映画作りだったが、徐々に独裁色を帯び始めた製作風景はスペインで撮影された70年の『Whity』で遂に破綻する。69年の段階では椅子に座ったままほとんど指示を出さなかったファスビンダーが裏方スタッフの進行の悪さに激怒し、怒鳴り声や罵声を浴びせることになる。この時の苦い経験をほとんどそのまま実写化したのが今作である。指示待ちでまったく働こうとしない撮影監督、独立を匂わせる裏方スタッフへの強い苛立ち。自己中心的でヒステリックに暴言を吐き続ける監督像は、この『Whity』撮影時のファスビンダーのセルフ・パロディなのである。

愛、信頼、希望などおよそ楽天的な喜怒哀楽を抱えながらホテルにやって来た一行は、やがてパートナーや製作者たちの本音を見て裏切られ、絶望さえも隠そうとしない。かつて『出稼ぎ野郎』において内へ内へと向かった若者たちの集団同様に、ドイツ語が話せないスペイン人ホテルマンをからかう女優、酒を提供出来ないと聞き、激怒して思いっきり殴る俳優、自分の女が監督と親しいことに苛立ちを隠せない製作主任、仮病を使って撮影現場を一刻も早く離れようとするスタッフ、ヒロインの女優を誘惑し、彼女とのひと時の情事を楽しむベテラン外国人俳優などそれぞれが自分勝手な行動を取り、周囲を苛立たせていく。その愛憎入り混じった人間たちの醜悪な感情表現はファスビンダーの真骨頂である。骨格となった物語は、監督ファスビンダー、プロデューサーを務めたウリ・ロメル、製作主任を務めたペーター・ベーリングの主に3人の舵取りの問題だったはずだが、ファスビンダー自身もウリ・ロメルもペーター・ベーリングもそれぞれ別の役柄に回り、そのキャラクターは大袈裟に誇張され、更に醜悪なファスビンダー劇場と呼ぶべき醜い倒錯的な人間模様を露呈するのである。クライマックスでは結局、『祖国あるいは死』という一応の映画は完成するが、この映画のショットが顕在化するのはラスト2、3分にしか満たない。ファスビンダーにとってこの『祖国あるいは死』という映画がどのように製作され、どのような完成形に至ったのかはさして重要なことではなく、自らが思い描いていたコミューン「アンチテアター」の完全なる崩壊だけが印象付けられるのである。こうして僅か2年という短い間に11本もの映画を撮り続けた「アンチテアター」は終焉を遂げることになる。
3.4
映画を見終わって素直に感じたことは、邦題は少し違和感はあった。「パン助」という名称も死語に近いので、かと言って「街娼」とかにしても変ではあるが、捻りすぎた気もした。

内容は一度見ただけでは理解ができず、数日おいて再鑑賞をして漠然とわかったレベルであった。

最後のアンチテアーターとの関係による区切りであり、ファスビンダーにとっては必要であったらしい。
彼曰くこの映画で古いものが終わり、新しいものの始まるとのこと。

ホテル内のロビーで起きる群像劇であり、映画の撮影が思うように進まず男女が入り乱れてハッテンバのような状態になるが、いやらしさは特になく時折みえる鏡を意図的に使うカメラワークは見事であった。(撮影はミヒャエル・バルハウス)

監督役を他の俳優に演じさせて、ファスビンダーはプロデューサー役ではあったが、プロデューサー役よりも使われる側を演じた方が惨めで被虐的な描き方にすれば良かったのではないかとは思うが。

舞台はスペインらしいが(実は出資の関係でイタリア)でロケをしていながら、室内劇が中心で海外撮影の意味を見出さないのがいかにもファスビンダーらしい。

台詞で「愛は死よりも冷酷」という言葉を使っていたが、本人が好き好むレトリックなのは理解はするが、他の映画にも引用されると美辞麗句にみえてしまう。

そして小説家トーマス・マンからの引用で物語は締めくくるが、当時のファスビンダーの歪んだ心のありようが見えてくるのではないだろうか。

ICH SAGE IHNEN, DASS ICH ES OFT STERBENSMÜDE BIN, DAS MENSCHLICHE DARZUSTELLEN, OHNE AM MENSCHLICHEN TEILZUHABEN

THOMAS MANN

「だから言ってるんだ、僕はもう人間らしく振る舞うのに疲れ果てている。でも人間らしさには一切関わらずにさ。」
トーマス・マン

_____________________________


話題は変わって宣伝になりますが、
今年(2024年)も【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】が、
8月30日(金)Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほかで順次上映されます。

『エフィ・ブリースト』
『自由の暴力(自由の代償)』
『リリー・マルレーン』

何卒よろしくお願いします。
benno
4.3
ファスビンダー監督作品…11作品目…ルー・カステル出演が魅力的…。

そしてハンナ・シグラも観たくなりました…ෆ*

まずタイトルの《パン助》って…?? 原題は『Warnung Vor Einer Heiligen Nutte 』 (聖なる娼婦に警告)…つまり「娼婦・男娼」の意…今作では《パン助》なので《男娼》限定かなっ?? …それにしても邦題のセンスがちょっと残念…ს


今作はファスビンダーが劇作家時代…彼の映画作りのコミューン《アンチテアター》による実質的最後の映画撮影の裏側を描いたメタ作品…。



スペインのリゾート地にある海沿いのホテル…。

映画の撮影隊や俳優陣がクランクインの瞬間を待ち構えている中…肝心の監督ジェフ(ルー・カステル)は一向に現れる気配がありません…。

制作主任のサシャ(ファスビンダー)が取り仕切るものの、徐々に苛立ちを見せ始める役者やスタッフ…。

そして漸く監督が到着するものの思うように撮影は進みません…。



様々な人種、仕事での上下関係や利害関係に置かれた人々…プライベートでは男女入り乱れての愛憎の醜悪さ…バイセクシャルであるファスビンダーの真骨頂です…。

今作の監督ジェフは明らかにファスビンダー自身を投影…彼の生き急ぐような旺盛な創作意欲は徐々に独裁的に…ちょっと苦手なハイトーンヴォイス…ヒステリックな暴言を吐き続ける監督像はまさにセルフ・パロディ…。

監督に群がる人々に罵声を浴びせながらも…疲弊してゆく姿は彼の生き様そのもの…ルーがどんどんファスビンダーに見えていくのがお見事!!

舞台となるホテルのロビーの壁画や柱…騙し絵のような装飾…資金難を窺わせる全体的にチープな貴族趣味のアートワークもファスビンダーの強かさが見て取れやっぱりカッコいい…。

バルハウスの撮影とファスビンダーのちょっと作り過ぎの技巧的な演出とが相俟ったバッキバキの構図も見蕩れます…柱や階段の使い方は絶品…テラスでのグチャグチャに絡まった人間饅頭、俯瞰から見下ろすショットにはやられちゃいますෆ*

ハンナ・シグラのモンローファッションもセクシーですが…可愛らしさが勝っちゃうなぁ〰︎レイ・チャールズの曲に乗せて身体をゆらゆら〰︎ファムファタールっぷりも健在です…。



そしてファスビンダーお得意の倒錯性を帯びた緩やかな崩壊劇も堪りません…。


 「完全に壊さないと幸せになれない気がする…」
  


《ファスビンダーにとっては【絶望】こそが限りない活力の源》 
ー ファスビンダー インタビュー集より ー

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