昔から有りがちですが、最近ではあまり御目に掛かれない設定が、かえって斬新に思えました。

ツッコミどころは多々ありましたが、展開が割りとスピーディーだった事もあり、飽きる事なく最後まで鑑賞出来ました。

いろいろ考えずに楽しむべき作品かと思います。

ウイルスにより文明が滅んだ未来。感染した人間は凶暴なミュータントと化し、生き残った人類の子孫は原始時代の様な生活を送っていた。ある部族の若者ケイレブはワクチンの存在を知り、旅に出るが…というストーリー。
Syfyのテレビムービーですが、中々面白かったです。
ミュータントの襲撃を受けた村から逃げ延びたケイレブ・サヴァン・ドレルの三人の若者がショーン・ビーン演じる謎の男アマルに助けられ、ワクチンの存在を知り薬があるという旧都市の島を目指す、という内容です。
冒頭から毛皮の服を着た半裸の男達が森の中で槍や石斧もって狩りを行っているという原始時代を舞台にした作品かと思わせられますが、主人公の様子を見るショーン・ビーンが双眼鏡持ってたり、主人公が父親から贈られたと言って出すのが「トム・ソーヤーの冒険」という所等で、「原始時代じゃなく、文明が原始時代レベルまで後退した未来の話なんだな」とすぐ分かります。ロジャー・コーマンの「恐怖の獣人」みたいな設定ですね。
三人のキャラが外の世界に興味を持ち変わり者として村を追い出された父を持つ青年ケイレブと勇敢だけど少々頭の固い族長の息子サヴァン、その彼女のブロンド美女ドレルと定番ながらも分り易いキャラ設定です。一応主人公はケイレブですが、後半までは殆ど戦ったりしません。一番活躍して主人公っぽいのは族長の息子のサヴァンですね。ビルの外壁をツタを登ってクライミングしたり、敵と戦ったりとカッコよかったです。というか終盤までサヴァンが主人公と言っていいですね。
脅威となるミュータントは獣人の様な見た目ですが、噛まれたり引っ掛かれると感染するというゾンビ映画の様な設定もあります。また、実は空気感染もする為、主人公達やほら穴に逃げ込んだ生き残りも鼻血だしたりして段々と体調を崩していく様がサスペンスフルでした。
獣人の襲撃シーンは中々スピード感があっていいですね。ジャンプして飛び掛かってきたり、ゾンビと違って知能あるので洞窟に作られたバリケード棍棒など使って破壊しようとしたり、筏で川を進む一行を岸から石投げつけて襲撃したりします。
主人公が選ばれた人間なのは文字が読めるからという設定も面白いですね。この時代の人間は言葉は喋れるけど文字が読めないんですね。やっぱり読書は大切だなぁ。ケイレブがエイブラハム・リンカーンの伝記読み上げたら、悪党が「何！？」という表情する所面白かったです(笑)
後半はケイレブの父から薬を盗み、城塞島で独裁政治を敷きながら薬を独占しようとする悪党ゲーガンとの戦いになります。
序盤は森の中や洞窟が舞台ですが、中盤過ぎの敵の本拠地の城塞島に立つ植物に覆われたビル群の描写はゲームの「ラスト・オブ・アス」を思わせるもので、ポストアポカリプス物好きの琴線グッと刺激してくれるものがありますね。
サヴァンの彼女役のアナベル・ウォーリスや主人公の妹役、悪党の娘役の女優さん皆美人なのが良かったです。男性陣もケイレブ役のサム・クラフリンやサヴァン役のコリー・セヴィエール等イケメン揃いですね。
ショーン・ビーンは善人役で珍しく死にませんでした。妻と息子に「旅に出る」と告げる所死亡フラグたったなぁと思いましたし、ケイレブ庇って攻撃受ける所は「ああ！死んだあ～」と思っちゃいました。
薬が黄色い粉末で、吸い込むだけで劇的に回復する所はお手軽だなぁ～と思いましたね(笑)
ラストもここから文明の再建が始まるかも、と思わせるもので良かったですね。
意外性は無いですが、手堅い作りで楽しめました。

ドイツ産と言われれば、確かにそういう風味のプロセスと内容で、入れたいものは拡げワーク→風呂敷たためなくなる感じ。

SFだとメトポからその流れは変わっていないし、妙に小汚い雑な感じが多いが、演者さんは頑張っていて、少し前観た「アデル」よりは全然マシだと思いました。