セルジュ・ゲンスブールは憧れの不良老人。後世に影響を与えた音楽の偉業はもちろん、関わった様々な女性の魅力を開花させたことにも憧れる。一方で、人を不快にさせることでリアクションを引き出す彼の表現は数々の物議を醸してきた。フランス国歌をレゲエにアレンジして右翼の反発を招いた件、Je t'aime... moi non plusに代表されるスキャンダラスな楽曲の数々。大胆な行動とは裏腹に、本当は人との接し方が下手でシャイな素顔を持つ男。
しかし。楽曲にまつわるエピソードは、映画を観ている僕らを惹きつけて離さない魅力がある。名曲Initials B.B.のアレンジ場面、ドヴォルザークの「新世界より」のフレーズがピアノリフに加わった瞬間のカッコよさ。「なんて暗い曲だと罵られたけど、オレは全てをこめた」というManonに込めた思い。幼いシャルロットのピアノ練習を見守る優しい父親目線。バンブーとの子供ルルとステージにあがる場面。ジェーン・バーキンの名曲Baby Alone In Babylonに代表される韻や言葉遊びへのこだわり。この辺りは何度でも観たい。