『昼顔』
原題Belle de Jour.
製作年1967年。上映時間101分。

昼は娼婦、夜は貞淑な妻の顔を持つ若き人妻の二重生活をカトリーヌ・ドヌーブ主演で描き、1967年・第28回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品。
『アンダルシアの犬』のルイス・ブニュエル監督が、ジョセフ・ケッセルの同名小説を映画化した。

⚠️今作品は個人的に視聴及び感想の閲覧はR18でお願いいたします。
エロティ沈む、後ろメタファーの研究でやむ無く視聴及び感想閲覧されますお子さまは、自己責任でお願いいたします🥺責めないで🍀

セブリーヌは裕福な医者の夫と何不自由ない暮らしを送っていたが、その一方でマゾヒスティックな妄想にとらわれていた。
そんなある日、パリにある娼館の噂を聞いた彼女は、好奇心から足を運び、『昼顔』という源氏命で働くことに。
封印してきた性を解放することで夫への愛情も深まり、満ち足りた気分を味わうセブリーヌだったが。。。

　　　　　　無題
　　　　　　　　kuuことGEORGE
飽き満つことは
否・嗜虐被虐性色情狂
既定固定観念を壊せ
女王の責めなど心悪し
王の前には跪く
責める嗜虐被虐的快楽責め
厳しき拷問折檻のあと
極上の快楽責め
NON.快楽地獄責め
崇めよ　讃えよ
une fête du plaisir.
廃れよ　壊せよ間違いの
jardin des délices.
暮れ減って惨めな平和
過ぎ去る時　止まぬ嘔吐
恥ずかしきことさえ忘れ
自我が崩れ朽ちるほど
快楽に身をまかせ狂え
この快楽を知りし者は
忘るるこすら忘るる
必ず求め嘆く
それを与えし王に
天昇を懇願す
崇めよ　讃えよ
une fête du plaisir.
廃れよ　壊せよ間違いの
jardin des délices.
暮れ減って惨めな日常
過ぎ去る時
享楽の泪は止まらない

ゴダールは、映画を作るのに必要なんは
『少女と銃』
やと云ってるのを何かで読んだけど、ルイス・ブニュエル監督は、映画を作るのに必要なんは
『女子と女子の想像力』
やと云うことをよく知っとる。
オープニング・クレジットに誘われて、平和で貴族的な田舎の馬車に乗っていると、洗練された陽気な旦那（ジャン・ソレル、絶妙に無表情）と、石のように不満げな奥さん（カトリーヌ・ドヌーヴ）との間で、ほとんど芝居がかった会話が繰り広げられる。
せや、心配ご無用。
このお喋りはほんの数分で中断されて、肉食動物のような躍動感をもって編成された逝っちゃってる行動と緊縛のシークエンスが登場。
不穏で陽気な雰囲気を醸し出している。
この作品は距離を感じさせ、特に初心な小生を最初の5分で失神させる危険性があったが(表向きはそうだけど)、裏の面、つまり、好奇心が突き動かし見進めた。
ただ単に、エロ・エロイムエッサイム我は求め訴えたりとエロ心が疼いただけかもしれへんけど。
唯一の現実は、偽りへのこだわりであり、そこには遊び心があり、魅力があり、どんな覗き見的な刺激よりも長続きするこの気持ちに突き動かされ見進めた。
今作品は、エロティシズムと芸術性を融合させた最初の映画のひとつとして、今でも一部の人たちの間ではキモい笑いを誘うように評価されている。ブニュエルは、ドヌーヴ演じる退屈な主婦から上流階級の娼婦になったセヴリーヌのように、時にはセックスてのは想像力に任せるのが一番だということを巧みに理解してるように見えた。
セヴリーヌの幸せな上流階級の家庭生活の閉ざされた外観は、今作品の中で最も大胆な幻想であり、彼女が自分のおぞましい空想を実現しようとして、野郎の性的フェチの対象ちゅう、同様に拘束的で規定的な役割に逃避することは、それ自体が不愉快な笑いを誘う。
やがて、ブニュエルのゆっくりとした批評は、
夫、
社会、
気取った貴族の隣人たち、
特にミシェル・ピコリが演じる雄弁で悔いのないホンドッグなど、自分の意味を決めようとする人々に満ちた人生から、セヴリーヌが一応は、しかし積極的に自分の意味を引き出そうとすることの不協和音を、悪意に満ちた皮肉を込めて説明するようになる。
テンポは適度に夢想的で、過度にゆったりとしてるけど、ブニュエルはそれぞれのフレームに、心をくすぐるような微妙なキャラ描写や伏線を詰め込み、空想と現実が戯れに曖昧になるようにしてる。
クソ下品な作品を(失礼)カトリーヌ・ドヌーヴの魅力的で、また、近寄りがたい演技によって伝説的な作品としとるんのやろな。
しかし、ドヌーヴのクールで、またシックな、まるでガラスのような雰囲気は、彼女自身も完全には把握していないようで、憧れと欲望に満ちた広大な内面の世界を十分に漂わせてました。
彼女は作中ほとんど言葉を発しひんけど、彼女の目や肩の力を抜いた時のほんの一瞬の表情は、最も雄弁な独り言よりも微妙に啓示的やし、その繊細な力がここでの彼女の仕事を真に忘れがたいものにしてるんやと思います。 ジョセフ・ケッセル(フランスの小説家、ジャーナリスト、脚本家)の小説を基にしたブニュエル監督の今作品は、性やイデオロギーの制限と、解放をテーマにした作品で、あまりにも鋭い内容のため、多くの実在の人物(活躍中の監督たち)に影響を与えたと考えられる。
ファンタジーがファンタジーを刺激し、リアリティがファンタジーを刺激する、そんなところかな。夢が夢に、現実が夢に。
ブニュエルがシュルレアリストだとすれば、それは夢を映画の方法とし、狂気の愛を主題としたことによる。
荒唐無稽な幻想を映しだすように見えて、欲望のままに生きながら、恒常的な欲求不満に陥った現代人の滑稽にして残酷な鏡になっているんやろなぁ。

発表当時、パリでセンセーションを巻き起こしたジョセフ・ケッセルの同名小説を、鬼才ルイス・ブニュエルが映画化。

昼は娼婦、夜は貞淑な人妻といったふたつの顔を持つ女の心と肉体の矛盾、さらに現実と幻想を、フロイト的な解釈を交えシュールに描いた異色作である。

ちなみに精神分析学フロイトの夢判断では、夢の中で満足する性行為を行っていれば生活や仕事の成功を、逆にそうでなければ体力や精神面の低下や不安を表していると記されるが、ドヌーブ演じるセブリーヌの見る夢はどちらとも云えず、ラストを含め全ては願望だったような気さえしてしまう。

サンローランの衣装を身に纏い、輝くブロンドの髪と透き通るような白い肌のドヌーブの美しさが、一見下品になりがちな物語を上品・上質に仕上げている。

7 2021

馬車の長回しや木漏れ日がさす木々のトンネルを此方に向かってやってくる理想的な夫婦を表現するシーンだけで充分に引き込まれたのに、脇道に逸れてあり得ないことに発展していくから度肝抜かれてそのまま最後まで見入ってしまった。しかも最後まで観ると結局は冒頭に本作の全てが集約されてるうまさに気づくという素晴らしい演出だと感じた。

明確には表現されないセブリーヌの内面の動きを観客に推察させながら展開する物語には単純に夢中になったし、自分だったらどうなんだろ…的な置き換え可能な身近さにグイグイと引っ張られた。

貞淑な妻を演じるという彼女にとっての「非現実」を、「現実」として日常生活において常に強いられる息苦しさ。何から何まで完璧で隙のない夫だからこそ、その鎖が強固なものとなってしまう。さらには女性に対する神話的な期待が夫だけでなく、自身や夫の友人からも重くのしかかる。

自身の欲望だけでなく罪悪感をも表現する夢と現実の境界がどんどん曖昧になっていき、心の中の「真実の彼女」が占める割合が大きくなっていくことがわかる。鎖から解き放たれていくに従い明らかに明るむ彼女の表情には清々しさがあるのだけど、その向かう先にいずれ来る終焉が予想されるが故に退廃的な空気感が漂っていて、彼女の表情と反比例するように身近に置き換えるからこその観客側の息苦しさが増していく。

彼方側の出来事だと思い一線を引いていたものが此方側へと侵食して来る恐怖。しかし彼女の幼少期の記憶に起因するマゾヒスティックな感情から、それすらも快感と捉えているのではないかと思ってしまうほどの狂気を感じた。あのクライマックスの一連の流れこそ、「こうだったら良いな」的空想だったのではないかとすら感じる。

そう考えると本作の根本にはホラーが根付いているし、出来心で踏み入れた先に待つ牢獄・崩壊の物語と考えた場合にもホラーの定石的な文脈が現れて来る。もちろん解釈によってはホラーにはならないのですが、私はホラーだと思いたい。

• #hora_ブニュエル