フリーの広告マンとして忙しい日々を送っているレネ・サアベドラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)のもとに、かねてから家族ぐるみの付き合いがある友人ウルティア(ルイス・ニェッコ)が訪ねてくる。ウルティアは反独裁政権の左派メンバーのひとりで、近く実施される政権の信任継続を問う国民投票の反対派「NO」陣営の中心人物であった。 今回、投票までの27日間、政権支持派「YES」と反対派「NO」それぞれに1日15分のPRができるテレビ放送枠が許され、広告やCM制作の責任者として新進気鋭のクリエーターであるレネに白羽の矢が立ったのだ。 政権が対外的に平等をアピールしているだけの出来レースと、気乗りしないレネだったが、次第にプロの広告マンとしてのプライドをかけて制作に取り組むようになっていく。 はじめ、彼の作る資本主義の象徴のようなCMは独裁政権下で弾圧をうけ迫害されてきた党員たちから非難されるが、明るい未来、喜び、そして希望を謳いあげる斬新でウイットに富んだ言葉や映像は国民の心をつかんでいく。 そんな風潮に焦りを感じた「YES」陣営たちは、賛成派の広告アドバイザーとして関わっていたレネの上司グスマン(アルフレド・カストロ)を広報責任者とし、強大な権力を使って「NO」陣営へ妨害と脅迫行為を繰り返し、押さえ込んでいく。 「YES」派と「NO」派の熾烈なCM合戦が繰り広げられ、いよいよ投票日がやってくる…。
1985年にアルゼンチンで実際に行われた軍事独裁政権に対する裁判を基にした作品。フリオ・ストラセラ検事、ルイス・モレノ・オカンポ副検事、そして法を信じる若者たちが一丸となり、強大な相手との…
>>続きを読む米ソ冷戦下のアメリカ。マッカーシー上院議員が先導する「赤狩り」が全米を恐怖に陥れていた。彼らは共産主義者とみなした者を次々と告発。報復を恐れるマスコミが見て見ぬふりをする中、テレビ局のキャ…
>>続きを読む1961年、元ナチス親衛隊(SS)将校アドルフ・アイヒマンの裁判が開廷された。ナチス戦犯を前に生存者たちが語る証言は、ホロコーストの実態を明らかにする又とない機会だった。“ナチスが、ユダヤ…
>>続きを読む1965年3月7日、黒人の選挙権を求める525人が、マーティン・ルーサー・キングJr.牧師と共にアラバマ州セルマで立ち上がった。 彼らは非暴力を貫きデモ行進を行うが、白人知事率いる州警察の…
>>続きを読む「あなたの行った虐殺を、もう一度演じてみませんか?」 男は粋なスーツに身を包み陽気に微笑んでいる。 残虐なシーンのないこの映画が、しかし、私たちを最も慄然とさせる映画になった――― …
>>続きを読む