青く白く光るニューロンのような装置と、軽快なバッハの旋律が整然と清潔。
冒頭から脳科学の専門用語が飛び交い知的で機微に富む会話、そこに主人公ヒラリーの過去エピソードが加わり物語は違った側面を見せ出す。
ただ、冒頭以降は会話やヒラリーの内情を思わせる台詞も起伏にかけ、尺の短さもありコンパクトになりすぎた印象。
また、これまで見たNTLiveの他作と比べるとカメラが人物に寄る画が多く、舞台全体が見えないのもコンパクトな印象に拍車をかけ。
脳と心、グッドとゴッドの領域をめぐる物語だが、それらがあくまでキーワードとして舞台の表層を舞うだけで、フックにはなるものの物語として深く響いてこず。
オリヴィア・ヴァイナールはNTLiveの過去2作見てとても好きな女優で、この配役は納得だけれど、どうしても最後までヒラリーが好きになれなかった。どうしても。

NTLive『ハードプロブレム』
難しいような、単純なような、優しいような、深いような、それでいてそうでもないような。
知的なんだけど、なんとも捉えどころのない舞台でした。説明しにくい。
オリヴィアの顔と表情が超絶好みです。この人、顔の演技が本当に素晴らしい。と『リア王』でも思いました。
トム・ストッパードは1幕のテンポのよい会話劇を書きたかったようです。

ドラマ

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