『ジェロニモ』
原題 Geronimo: An American Legend
製作年 1993年。上映時間 115分。
ジェロニモを誇り高き勇者として描いたウェスタン・アクション。

1885年、20年近くにわたって合衆国騎兵隊と戦い続けていたアパッチ族の族長ジェロニモが投降し、ゲイトウッド中尉とデイビス少尉がその護送にあたることに。
やがてアパッチ族は保留地で新たな生活を始める。ところが些細な事から騎兵隊が武力行使を行ったため、ジェロニモは暴動を起こし、仲間たちとともに逃走。
ゲイトウッドとデイビス、さらにベテランの偵察隊長シーバーらが追跡を開始するが……。

余談ながら、実際のジェロニモは酋長ではないそうな。
ただ、アパッチ族のジャーマンであり勇猛な戦士としては実在した。
余談の余談ながら、他にはクレイジー・ホースやシッティング・ブルも有名やけど、これまた、いずれも酋長ではなく戦士。
今作品は批評家からは賛否両論だったそうだが、意外にもネイティブ・アメリカンの団体からは賞賛された作品。
扠、今作品『ジェロニモ』っすが、ウォルター・ヒル監督、ジョン・ミリアス脚本による壮大な歴史西部劇である。 ウォルター・ヒル監督、ジョン・ミリアス脚本による壮大な歴史西部劇でした。
善き演出とかなり優れた脚本により、今作品は優れた物語を提供することに成功してたし、製作者たちがとったフィクションの自由はドラマチックな用途のためにあったかな。
しかし、ネイティブ・アメリカンとアパッチ族に関する表現は、ひとつだけ正しい。
アパッチ戦争と、1886年にチャールズ・B・ゲートウッド中尉がアパッチの指導者ジェロニモに降伏するよう説得した方法についてのフィクションだ。
歴史上の人物や出来事についてもっと知りたくなるような、よくできた物語でした。
今作品の主演俳優は、ウェス・ステューディ、ジェイソン・パトリック、ジーン・ハックマン、ロバート・デュバル、マット・デイモン。
これら挙げた俳優たちが演じた役は歴史上の人物であり、すべてが歴史的に正確でないことは確かやけど、彼らの演技は驚異的だったと思う。
ウェス・ステューディ、ジェイソン・パトリック、ジーン・ハックマン、ロバート・デュバルは最高の演技で、とても印象に残った。
彼らは、その時代における本物の描写のために、アクセントや物腰を正しく表現していた。
タイトル・キャラを演じたウェス・ステュディは、彼のキャリアの中でもベスト・パフォーマンスのひとつちゃうかな。
ウォルター・ヒルは、視覚的に見事な映画を作る術を本当に心得ている監督であり、今作品への彼の貢献は、この映画がなぜこれほど優れているのかの大きなポイントかな。
彼は非常に才能のある撮影監督を彼のそばで働かせたなぁ。
善き音楽とサウンドデザイン。
全作品が印象的で、細部までこだわったシーンに満ちていあ。
彼らが映画を大切に思い、可能な限り本物であることを望んだのがうれしかった。
巧みな演技と脚本に恵まれた映画でした。

西部開拓時代の白人の残虐行為とそれに贖った先住民の戦士ジェロニモの苦悩を描いた歴史ドラマ。　

マット・デイモンが主演、ジェイソン・パトリック、ウェス・スチュディ、ジーン・ハックマン、ロバート・デュバルらが共演。

1885年、先住民族であるチリカワ族の一人の戦士（ウェス・スチュディ）とその仲間が騎兵隊に抵抗を続けていたが、騎兵隊による女子供までも虐殺する残虐な行為に耐えかねて降伏することに。
戦士の名はゴヤクラ。だがメキシコ人は彼を”ジェロニモ”と呼んだ。
投降したジェロニモを、騎兵隊のゲイトウッド中尉（ジェイソン・パトリック）とデイビス少尉（マット・デイモン）が居留地まで護送する。ジェロニモらアパッチ族は隔離された狭い保留地で自由を奪われ半ば強制的に農業を営まされる。ある日、アパッチ族よる祈祷の儀式に危機感を抱いた騎兵隊が一方的に祈祷師を射殺する事件が起きる。ジェロニモたちは騎兵隊に応戦し、仲間たちとともに逃走してメキシコに向かう。ゲイトウッド中尉とデイビス少尉らが追跡するが……　

ジェロニモ掃討作戦に参加した22歳の若き騎兵隊の白人将校の目を通してジェロニモの人物像が描かれている。
若くて幼顔のマット・デイモンが純心な好青年の将校を好演しており、ジーン・ハックマンやロバート・デュバルらベテランの名優が脇を固めている。
白人将校が呟く。
「チリカワ族は約束を必ず守る　こっちが裏切らなければ」
悪者として描かれることが多いジェロニモだが、白人による横暴に耐えながらも部族のことを思い憂い、屈辱の日々を過ごしていたことが描かれている。
もともとは広い大地を自由に生きていた狩猟民族の先住民たちに対して、白人は土地を奪い、食べ物を奪い、女子供まで虐殺したうえ、収容所のような狭い居留地に閉じ込めて彼らの習慣や生活の自由さえも奪う。
美しく雄大なモニュメントバレーの風景に対して醜く心の狭い白人が対照的で、野蛮で残虐な白人による先住民に対する殺戮行為には心が痛む。
特にテキサス人の白人は、アパッチ族の男には200ペソ、女には100ペソ、子供にが50ペソの賞金を懸けて、賞金稼ぎまでも使って民族皆殺しを謀る。
政府も先住民を騙して利用するだけ使ったあげく、後は一方的に約束を反故にして先住民を拘留する。
アメリカ政府と白人の野蛮で残虐な横暴に対して、最後に白人将校が良心の呵責に耐えかねて騎兵隊を去るのが印象的です。
先住民の言葉が心に刺さる。
「あんたは正しかった　白人と戦ったのは間違いじゃなかった　白人たちは俺にウソだけしか言わなかった」
ジェロニモの最後の言葉が心に響く。
「銃は俺を殺せなかった　それが俺の力だった」　

2024.8　NHK BSで鑑賞(プレミアムシネマ・字幕：松崎広幸)
2023.8　NHK BSで鑑賞(BSプレミアム・字幕：松崎広幸)

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チリカワ・アパッチのジェロニモは、保留地移住政策に最後まで抵抗するも降伏する
ゲイトウッド中尉はデイビッド少尉と護送任務へ就き、誇りと威厳に満ちた彼を知っていくが…

どこかで聞いたことがある人もいるだろう、アパッチのジェロニモについて扱った作品

ジェイソン・パトリックや、若き日のマッド・デイモンに加え、ジーン・ハックマン、ロバート・デュバルら名優も出演
ウェス・ステュディや、ロドニー・A・グラントら、多作品でもネイティブ・アメリカンを演じたことのある俳優もいた

主役1人でないことで偏った見方にならないのが良かったように感じる一方で、何となく中途半端な物語になった感もある

他作品と比べると、チャトー軍曹をはじめとしたインディアン斥候の出番が多かった気がする
斥候としての任を解かれた後の彼らの扱いが酷い…
クルック将軍はこれに抗議したらしく、少なからず敬意を表していたのかな？

• #lost:ネイティブ・アメリカン