公開中の映画「アプレンティス：ドナルド・トランプの創り方」を観て、ドナルド・トランプに大きな影響を与えた男として、劇中トランプ以上のインパクトで描かれていたロイ・コーンという人物に興味が湧いた。

本作は政界へ強い影響力を持ち、決して和解を受け入れない〝やられたらやり返す〟という非情な姿勢で知られた悪徳弁護士、ロイ・コーンの半生に迫ったドキュメンタリー作品だ。

利益のためなら裏工作もいとわない冷酷な男の劇的な人生を関係者へのインタビューや公聴会の映像などが、膨大な映像資料を基に描かれている。

それにしても実際の映像を観て改めて「アプレンティス」でロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングの放つオーラや表情が本人にそっくりだったことに驚いた。メイクの力もあるだろうが、本人の仕草や雰囲気まで瓜二つだ😅

過激で聴衆を扇動するフレーズを連発し、国民の恐怖と愛国心を煽った弁舌スキルは、明らかにトランプに影響を与えている。

今後、否が応でも日本に影響力を持つであろう米国大統領ドナルド・トランプ。そのトランプに政治的信条はともかく、交渉術や戦い方において大きな影響を与えたこの男のことを知っておいて損はない。

トランプの人生が平凡に見えてしまうほどの波瀾万丈な人生。1人の人間の栄枯盛衰を描いたドキュメンタリーとして良くできている。

• #ボブおじドキュメンタリー

『アプレンティス:ドナルド•トランプの創り方』をとても面白く観たのだが、トランプを創り上げた辣腕弁護士ロイ•コーン。
相当にインパクトのある人物のため、映画の中だけでは物足りず、もう少し深掘りしたくなりドキュメンタリーを覗いてみた。
　
先週はアマプラ有料レンタル400円だったので一旦諦めたけど、今は100円に値下げされたのでさっそくポチリました。

映画ではジェレミー•ストロングも強烈な役作りで熱演していましたが、本人を観たら作品が誇張されているのではない真実だったと証明されていました。
この機会に『アプレンティス』とセットでの鑑賞をお勧めです。やはり恐ろしくも凄い人だった。

コーンと関わりある人物（コーン事務所の弁護士、親戚、元恋人等）、コーンを間近で見てきた人々にインタビューしている。
そして本人へもしつこいほどのインタビューが見れるが、それだけの有名人だった。


生い立ちはユダヤ系アメリカ人の判事と裕福なユダヤ人の娘（容姿も性格も良くないとされている）との政略結婚の末に生まれた一人っ子。20歳でコロンビア大学で学士号を取得し、21歳でLLB（法務博士相当）を取得する。ユダヤ人でありながらも早くからキャリアを積んでいく。

検察官時代にはFBIのエドガー•フーバーの下で活動。偽証事件、ソ連のスパイ事件、ローゼンバーグ夫妻を死刑に追いやって有名に。そこからは赤狩りのマッカーシズム（共産主義敗訴運動）の共和党上院議員ジョセフ•マッカーシーの右腕になる。
しかし、ゲイであるコーンは倫理に欠けると糾弾を受けて大審院を離れて弁護士に転身する。
そこからはマフィアと繋がり、ニクソンやレーガンとも親交を結び、レーガンを当選させる。その当時に不動産プリンスのドナルド•トランプと出会うのだった。

『アプレンティス』でのコーンのシーンはこのドキュメンタリーの再現だと思えた。
高級住宅街のビルに住み、恋人を住ませ、年中日焼け、裸で絨毯の上での腹筋を欠かさない。部屋にはカエルの置き物で埋まってる。容姿にコンプレックスがあり整形手術痕までアップで見せている。

確かにトランプは不動産王に成し上がるまでにコーンの人脈を利用しまくった。映画の通り。

ゲイもエイズも最後の最後まで隠し続け、自分を守るため"敏腕弁護士"という虚像を死ぬまで堅守したのは時代だったからであり、今の時代に生きてたらどうだったのか？

驚いたのはAIDS対策に消極的だったレーガンが、コーンを研究施設に入院させ、特別な治療を受けさせて見舞っていたエピソードがあった。政治と権力って...庶民の解らないところで動いている。

保険金詐欺死亡事件の主犯だとか、散々な悪事を犯して来たのも事実なんだろうけど全てを知恵と弁舌、そして人脈で乗り越えてきた。敵に回すと大変なことになるが、味方からの人望は厚かった。

最後になるが、トランプから贈られたダイヤのカフスボタンはジルコニア製の偽物だったのは証明されている。
トランプは育ててくれた人への恩を仇で返す人情の無さに心底恐ろしいものを感じる。
これからの米国はどうなっていく？日本への影響が危ぶまれて仕方ない。

これは観る価値充分でした。



★マイク•ニコルズ監督の『エンジェルス•イン•アメリカ』（352分）のアル•パチーノが演じたのがロイ•コーンだった。
以前パチーノ観たさでチャレンジしたけど、そもそも戯曲ベースなので観やすいとは言えずリタイアしてしまった。
ロイ•コーンだと知った今、もう一度チャレンジしてみたくなった。

『アプレンティス：ドナルド・トランプの創り方』から来た。
狂犬トランプを造った男その2。