ロウ・イエ監督のクライムサスペンス『シャドウプレイ』の撮影裏側を追ったメイキングドキュメンタリー。
この作品の監督はロウ・イエの妻であり共同脚本家のマー・インリー。

先日【完全版】を鑑賞した。
素晴らしかったけど、このドキュメンタリーを併せて観たことで、更なる感動をもらえた気がする。
　
ロウ・イエ監督作品、好んで観ているけど、ご本人が魅力的です。
穏やかで聞く耳を持ち、スタッフとコミュニケーションを大切にしている様子が伝わった。
そして天才肌なんでしょうね。目に見えない美術を実現するのだそう。
ジェイク・ポロック撮影監督の言葉を借りると
「現場での監督はオープンだけど求めるのは明確。自分の望むものを待つだけ、とっくに考えてある。多くの監督は結果を決めてそれが出るのを待つが、ロウ・イエ監督はプロセスを待つんだ。プロセスが正しければ結果が出るから」

スタッフや役者と距離が近いし、食べながら、飲みながらのミーティングは本音を言い合う。
真夜中の撮影が終わった時、スタッフの食事が用意されていないことがあり、本気で罵倒して担当者に電話で怒って注意していた。携わった人たちへの配慮のないスタッフはあり得ないと。

衣装は割とアバウト。時代考証はしても似たものであればok。
しかし、メイクはあくまでも自然な色味、キャストの肌感をとても大切にしている。
主人公の若い刑事ヤンのメイクが綺麗過ぎると拘って直させていた。

アクションシーンは撮影風景が生々しくて驚いた。スタントが車から飛び降りるシーンは本当に怪我を負っている。火だるまになるシーンも凄まじい。本気で命をかけてやっているんだと驚きが隠せなかった。


監督は言う
「商業的なアクション映画に見えるかも知れないけど、それは違う。あくまでも人についての物語。人間の感情の物語、行為に関する映画。その根本は変わらない」

女優ソン・ジア
「ロウ・イエ監督の作品に興行成績を問うのは酷なこと。大衆映画じゃない。何人観たかではない。どれぐらいの人の心に真に届いたかということ。大勢の拍手じゃなく、1人の心を掴めればいい」


撮影中、公安局の許可が降りてないと突然撮影中止を余儀なくされることも起きていた。
撮影が全て終えてからは検閲の問題が残る。
数々の困難に見舞われ、完成までに1年半近くを要し、審査機関に通るまでそれから2年も掛かっている。公開日の数日前まで攻防が続いていたなんて...

監督の表情をずっと追っているので、疲労感が表れてやつれたなと感じた。
こんなに才能のある監督、あくまでも中国での映画作りに拘り続けるのだろうか？頑張って欲しいけど。

こちらを観てからの方が面白く観れるかも知れない。

「シャドウプレイ」のメイキングフィルム
本編に続いて鑑賞しました。
連続投稿失礼します。

大きなプロジェクトの中で、中国で映画作家として全うな表現をすることの難しさを感じました。
検閲の過程を見ると、「シャドウプレイ」が本当に完璧な形の映画になっていたのか疑問が残るので、「完全版」と謳っているものの、こだわりに対して諦めている部分があるのかとも思ってしまいました。

編集時のトラック数、あんなに重ねても音の変化は気づけないと思うのですが、単なるアクション映画ではないこだわりの強さは伝わりました。

映画の検閲なんてなくなればいい！
「シャドウプレイ」の4ヶ月の撮影月日と準備期間とポスプロ、製作費、撮影現場で起こるトラブル、大勢の人々の努力、心身を捧げ、1カットも無駄なものはない

それを切れって、妥協するなら、だったら上映しない方がいいと呟く監督の心情
…それでも、切るしか残された道はない
検閲に二年間掛かった。730日、17520時間である。このドキュメンタリーを作ったのは、ロウ・イエの妻。自分たちが属している中国映画界へ石を投げたかったのだろう

カットした部分については何も語らぬプレミア記者会見
監督も映画も痛々しい…
検閲がある国々の映画は、それがあるから、力強い稀有な作品が出てくると思ったりした自分に往復ビンタする

昨日の初鑑賞では、この映画が内包する自分好みの色彩トーン 照明 空気感に軽い気持ちで寄り掛かりその時だけ心地良く酔ったが、それを裏打ちしている1カット1カットに込められた最高のものを希求する努力に平伏する
それぞれの役柄について監督と対話し役に全身が染まり埋まっていく役者たち
ロウ・イエ監督と一緒に造る仕事に誇りと覚悟を持つ大勢のスタッフたち

あのビル群に挟まれたガレキ村を目にし一瞬で心掴まれたのは、私も監督と同じだったので嬉しかった
アクションシーンはほぼ事故😱ケガ人はもっといたのでは⁉︎ あの凄まじいトラック事故のアクションシーンの撮影現場に驚く! こうやって撮影していたとは😨やっぱ映画に狂っている人🤩

この人も映画の子なんだなとしみじみ。
今、監督は59歳、１本でも多く映画が撮れる事を祈ります

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