半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

半兵衛

半兵衛

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果てなき船路(1940年製作の映画)

3.8

武器を運ぶことになった船で働く船乗りたちを通して、生きることは果てしなく働くことだと語っていく『蟹工船』のようなフォード流労働者映画。登場人物はみな豪胆で明るく、喧嘩や酒、女が好きな奴らばかりではある>>続きを読む

コヨーテ・アグリー(2000年製作の映画)

3.0

酒場で過激なダンスを披露している女性たちのなかに入ることになった主人公の成長ドラマ、演出も演技も平凡で特に語る点はないのだけれどいかにも21世紀初頭を思わせる軽いノリと頭を空っぽにしても楽しめる華やか>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.5

約100年も前に家庭における男性の横暴さを鋭く追及し、しかもそれへの痛快な対処法まで記した映画を作り上げたドライヤーって凄すぎないか。それに加えてアップなどの映像術や編集のテクニックは高いレベルにまで>>続きを読む

宵待草(1974年製作の映画)

3.0

神代辰巳監督が大正時代を舞台にどこからも疎外されたアナーキストの主人公たちを通して自分なりのアメリカンニューシネマを作ろうとしていたことは理解できるけれど、役者を動かすこととカメラの長回しという特徴に>>続きを読む

ドラキュリアン(1987年製作の映画)

3.9

怪奇ものを愛好するグループの子供たちが町に襲来するドラキュラ率いるモンスター軍団と戦うというジュブナイルなホラーコメディ、出てくる怪物がハマー映画などでお馴染みの面子だったりするのが映画ファンの心を大>>続きを読む

ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節(1974年製作の映画)

3.0

津軽を舞台に繰り広げられる農村での他愛のないエロ騒動という三本立てのうちの箸休めのような他愛のない作品だけれど、綺麗な田園や自然の映像やノーテン気な日活俳優陣のコミカルな演技が不思議に心地よくて見てい>>続きを読む

誇り高き挑戦(1962年製作の映画)

3.0

深作欣二監督の戦後に闇を暴こうとする姿勢があまりにもストレートすぎて少年の頃も、そして大人になった今も面白さよりも恥ずかしさの方が勝ってしまう。それにアウトローとしての立場にいるとはいえ使命を持ってい>>続きを読む

宇宙大怪獣ギララ(1967年製作の映画)

2.5

言いたいことは山ほどあるけれど、モンスター映画は和洋問わずモンスターの存在を序盤からちらつかせて、中盤の美味しいところで全貌を出現するというのがパターンなのに前半牧歌的なSFドラマを延々とやって中盤よ>>続きを読む

みな殺しの拳銃(1967年製作の映画)

3.5

一見するとレストランを経営する折り目正しい青年実業家みたいだけれど、その実は主役のギャング三兄弟のなかでもっとも狂暴な藤竜也を見ているだけで満足。三男の岡崎二朗を敵組織の人質に取られ、誰もが屈服する空>>続きを読む

犯罪王リコ(1930年製作の映画)

3.5

ギャングスターとしてのしあがった男の栄光と破滅のストーリーを余計な横道にそれずハイスピードな語り口で駆け抜ける演出は今見ると結構新鮮、そんな主役を演じるロビンソンは貫禄がつきすぎていて野心ギラギラなギ>>続きを読む

肉弾鬼中隊(1934年製作の映画)

3.5

砂漠のなかに取り残された部隊が次々と見えない敵に殺されるというストーリーを、余計なドラマをくっつかせず簡略的でありながらインパクトのあるシーンを積み重ねることにより贅肉のついていないシャープなサスペン>>続きを読む

GONIN(1995年製作の映画)

4.3

石井隆監督ならでの情念演出と雨と血と暗闇とネオンライトに彩られた映像、男盛りなメインキャストとバイクでの事故による重傷から復帰したばかりの痛々しくも禍々しいオーラを放ち主役を圧倒する不気味なビートたけ>>続きを読む

花園の迷宮(1988年製作の映画)

2.5

80年代後半、日本映画もバブルの恩恵で大量の金が余っていたのでこの作品のように一流スタッフをかき集めてお手軽に大作が作れる時代があった。でもバブルなんでもっと時代にあったノリのいい作品を見に行っている>>続きを読む

哀しみの街かど(1971年製作の映画)

4.0

ただひたすら堕ちていくしかないジャンキーカップルの行く道を見ているだけというしんどい映画、そしてそんな最低な生活のなかでも主人公たちは勝手に希望を持って生きていく彼らの能天気さは何となくわかるので余計>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

5.0

聞けばお客さんに親孝行させたいがため小津安二郎はこの映画を作ったと言われるが、そんな目的だけでこれほどまでの傑作を完成させるのもさることながら海外の人間にも高く評価されてその意図が理解されていくって凄>>続きを読む

スタア誕生(1954年製作の映画)

3.9

映画黄金期のミュージカル映画のはずなのに、物凄いビターな余韻を感じるのはショウビジネスの裏側を深く掘り下げているからか。本作のジュディの相手役がアステアやケリーではなく、名優ジェームズ・メイソンである>>続きを読む

(本)噂のストリッパー(1982年製作の映画)

3.4

十代で最初に見たときはストリッパーにはまった痛い青年の話にしか感じられなくてつまらなかったが、大人になって改めて見直すと若い男子が風俗嬢やそれに準じる職種の女性に惚れて通いつめる心情を赤裸々に描いてい>>続きを読む

恋愛準決勝戦/ロイヤルウェディング(1951年製作の映画)

3.4

物語は主役のダンサー兄妹を巡る他愛のないもので数日たったら忘れてしまうレベルだけれど、アステアによる超絶的なダンスはその素晴らしさが頭を離れないので演出や映像だけではなくこういう過去の役者の所作を堪能>>続きを読む

痴漢電車 下着検札(1984年製作の映画)

3.5

幻の真珠の鍵を握る魚拓ならぬ[マン拓]を巡るふざけたエロコメディをやるのかと思いきや、中盤から本格的な推理劇になったりファム・ファタールになったりと予想のつかない展開が次々と巻き起こり観客を翻弄させる>>続きを読む

サイクロンZ(1988年製作の映画)

3.2

悪党退治がメインのはずなのに主人公たちが恋愛など寄り道ばかりしているので、そうしたドラマに浮かれているうちに気がついたらボスたちと戦う羽目になったという雑な構成に。そのためか肝心のカタルシスが薄くなっ>>続きを読む

痴漢電車 車内で一発(1985年製作の映画)

3.3

殺し屋漫画と実録やくざ映画をパロディにしたひたすらアホらしいポルノなのに、ヒットマン映画ならではのポイントを押さえたりバキバキにかっこいい闇の映像など滝田監督の卓越した手腕により今見ても結構面白い作品>>続きを読む

緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

3.5

ロージー監督は長編デビュー作品から一筋縄ではいかない作品を作り上げていたのか、子供を主人公にした寓話でありながら現実社会の虚しさを描くところに監督の個性がよく出ている。演出よりも主演を務めるディーン・>>続きを読む

めくらのお市物語 真っ赤な流れ鳥(1969年製作の映画)

3.0

座頭市を露骨に模倣した映画ではあるが、女性版市のお市を演じる松山容子の殺陣が結構上手いのと演出の面白さにより意外と面白く鑑賞することができた。

今回製作を担当しているのは後に必殺シリーズなどテレビ時
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アンビリーバブル・トゥルース(1989年製作の映画)

4.1

訳あり前科者と彼を雇った修理工の一家、前科者と関わりのある女性によるドラマを軽妙かつコミカルに、それでいてそこはかとない寂寞とした雰囲気を湛えて描くハル・ハートリーの絶妙な語り口が素晴らしくて最後まで>>続きを読む

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

4.5

父や子、あるいは師匠と弟子など親子的関係の葛藤を多く取り上げてきた黒澤明が珍しくブロマンスな関係性を取り上げたのが本作。ただし潔癖な黒澤らしくあくまで純粋な男の友情を超えず、都会育ちのアルセーニフと自>>続きを読む

沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇(1995年製作の映画)

4.5

裕福な家庭の裏にある複雑な事情とメイドのサンドリーヌ・ボネールのギャップがズレを生んでお互いのストレスを蓄積させ、そこにヤバい奴でボネールの友人イザベル・ユペールが加わることで狂気がどんどん加速してス>>続きを読む

ゴルゴ13 九竜の首(1977年製作の映画)

3.0

中途半端に原作にとらわれて面白味が薄かった高倉健バージョンに比べて、千葉真一主演で作られた本作はさいとう・たかをのテイストと東映のジャンク風味が程よく溶け合い見せ場も多くて楽しめる。香港が舞台でアジア>>続きを読む

ビッグ・マグナム黒岩先生(1985年製作の映画)

2.3

東映プログラムピクチャー最後の悪あがき、監督も脚本もベテランのはずなのに面白くなるポイントを外しまくっているのは時代の流れゆえか。バラエティ番組を意識したような中途半端に豪華なキャスティングももはや無>>続きを読む

テンション(1949年製作の映画)

3.7

妻を他人に奪われた夫が他人に成り済まして寝取った男を殺そうとする前半は「メガネをコンタクトに変えただけで別人になれるかな…」と疑問をもったが、そうした雑な部分が後半サスペンスの道具立てとなり物語をスリ>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.1

この映画を鑑賞しているとき、ふと『特捜最前線』の「少女・ある愛を探す旅」が頭をかすめた。この作品は扱っているテーマがテーマなので滅多に地上波などでは取り上げられないが(DVDには収録され販売されている>>続きを読む

バナナ・スプリッツ・ホラー(2019年製作の映画)

3.2

実際の子供番組のキャラクターがショーの最中に暴走してモンスターと化し人間を次々と殺戮していくというアイデアは興味深かったけれど、肝心のスパイスが物足りなくて薄味な印象に。最初はギアをローにして異変を徐>>続きを読む

愛と呼ばれるもの(1993年製作の映画)

3.0

かつて『ラストショー』を撮った監督と同一人物とは思えない、甘々で平凡な歌で成り上がろうとする若者たちのドラマ。正直演出面では語るところは無いが、主人公たち青年を見守る大人たちにいいキャラが結構多くてそ>>続きを読む

愛欲の日々 エクスタシー(1984年製作の映画)

5.0

大人になった男女の恋愛は色々と背負っているものがあるだけに面倒臭い、そんな素直になりにくい関係性をよく捉えているこのドラマは私にとってストライクな作品だった。

冒頭の服を着る女性を丁寧に映した映像か
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女教師 汚れた放課後(1981年製作の映画)

3.0

根岸×田中コンビ作品にしては並の出来ではあるが、いつもの男に暴行されるキャラではない普通の女性としての風祭ゆきを見れるのがファンにとっては嬉しい限り。そして彼女の柔らかい美しさがかつての過ちを受け入れ>>続きを読む

ザ・緊縛(1984年製作の映画)

3.0

滝田洋二郎&夢野史郎コンビの作品ということでサスペンスやジャーロを期待したのに、予想以上にストレートなSM映画だった。

暗闇のなか車のライトに照らされて開始される秘密のSMショーを描いた出だしは暗闇
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ザ・マニア 快感生体実験(1986年製作の映画)

3.5

『連続暴姦』『真昼の切り裂き魔』とポルノでシリアスなサイコサスペンスを作ってきた滝田洋二郎監督が『サイコ』を彷彿とさせる本作にたどり着くのは当然の結果なのかも。ホテルで監禁された女性が異様な性の世界を>>続きを読む