イホウジンさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

イホウジン

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007は二度死ぬ(1967年製作の映画)

3.4

ジェームズ・ボンドの(爆笑)日本珍道中

007シリーズを成立させる必要最低限の要素は備えながらも、今作はそれをアジア(日本)にそっくりそのまま適用させたキッチュな映画だ。それゆえ過去作以上にギャグ要
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.0

戦争は地球に何を遺すか?

世界観自体はファンタジックでありながら、中身は完全に戦争映画だ。序盤からいきなり壮絶な戦争のシーンが差し込まれるし、風の谷の平和もほんの一瞬で崩れてしまう。その後はひたすら
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キャスパー(1995年製作の映画)

3.2

“売れる”要素のパッチワーク

今作は誰でも安心して観ることができる映画として成立している反面、そのほとんどがデジャブと化してしまったという残念な一面もある。
人間から(理不尽に)恐れられるお化け、弱
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.4

憎しみを抱えた者同士が共に生きることは可能か?

ここまで直球に「共生」をテーマにした映画はそう多くない。ヒューマンドラマにしてしまうと、どうしても人種や宗教といった個々の事象レベルの階層でしか語れな
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はちどり(2018年製作の映画)

4.4

「理不尽」と「孤独」を知ることは、人間が成長する第一歩

今作は起承転結の浅い淡々とした出来事で綴られるごくミニマルな物語だ。登場人物たちもあまり多くを語らず、映像による非言語的な感情表現も多用されて
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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

3.8

【レビュー2回目】
「正義」の名の下の無数の死は許されるべきか?

実のところ、今作のガメラの行動は擁護しがたいものである。渋谷襲撃の被害のほとんどはガメラの直接的,間接的攻撃によるものだし、京都の大
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

3.9

狂気じみた圧巻の「移動」のワンテイク

一般的に長回しやワンテイクは「美しいもの」「面白いもの」と好意的に捉えられるし、撮ってる側もきっとそれを楽しんでいるであろうと観客は推測するが、今作のそれは半ば
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.2

幸せは 自分で見極め 掴むもの(五七五)

まず今作で目を見張るのが流れるような姉妹の会話劇である。会話と会話の間に息継ぎのようなものを一切挟まず、観客に言葉がなだれ込んでいく。そしてそこで語られるこ
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時をかける少女(1983年製作の映画)

3.8

牧歌的な世界観と、キレッキレのストーリー

今作が素晴らしいのは、「青春映画」「アイドル映画」好きも「SF映画」「カルト映画」好きもどちらにも受け入れられる映画に仕上がったことだろう。
まず「青春映画
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ねらわれた学園(1981年製作の映画)

3.5

確信犯的な“子供っぽさ”

今作は失笑するほどの幼稚なSFである。そのうえ形式的には薬師丸ひろ子を主演に添えた「アイドル映画」なのだから余計に惨憺たるものだ。超能力を持ってしまった女子高生が友達を守る
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007/ゴールドフィンガー(1964年製作の映画)

2.8

ただのキモいセクハラ野郎と化したボンド

一応作品の名誉のために先に良かった点を言っておくと、舞台が転々とするテンポの良さや過去作以上にボンドが敵に追い込まれるスリリングな内容など、スパイ映画としての
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ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)

3.7

【レビュー2回目】
自衛隊礼賛の傾向強し

確かに常に緊張感の伴うスリリングな展開や分かりやすい戦闘シーンなど、観客を飽きさせない要素でてんこ盛りだ。そういう意味で昔の私は今作を「面白い」と思っていた
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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん(2015年製作の映画)

3.9

「祖父をたずねて三千里」

日本やディズニーのアニメ映画に慣れていると、今作の異色さに驚かされる。
この映画の興味深い点は、いわゆるヒロイン的な立場に来る人物が登場しないところだ。つまり、終始主人公の
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ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)

3.9

文化の“観察者”たるアーティスト

(追記)
今作は「ミッドナイトインパリ」への緩やかなアンチテーゼ?「ミッドナイト」で描かなかったパリの暗部をこれでもかと描いていて、その上でパリの“美しさ”を再定義
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007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発(1963年製作の映画)

3.7

「騙し合い」と「秘密道具」

前作と比べるとSF感やワクワク感に乏しいし、アクションもかなり小規模である。なによりタイトルに“ロシア”と付いておきながらソ連にボンドが入るわけでもないという、なかなかタ
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ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)

3.7

【レビュー2回目】
シン・ゴジラのベータ版としてのガメラ1

「東京を“戦場”にするとどうなるか」のシュミレーションを怪獣を通して探求する試みは、完全にシン・ゴジラである。というか、シン・ゴジラ自体が
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サイコ(1960年製作の映画)

3.6

初心者向け(?)スリラー映画

ビビりなこともあり普段からホラー映画とスリラー映画を避けてきた(シックスセンスでさえも少し嫌だった)私でも、一度もビクッとすることなく安心して鑑賞できた。この理由は2つ
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007 ドクター・ノオ/007は殺しの番号(1962年製作の映画)

3.6

オトナのヒーロージェームズ・ボンド、ここに誕生

007の初見は記念すべき第一作にしたが、今作を最初に観て正解だった。今後の物語はまだ知らないが、少なくとも今作がどうして半世紀以上続くメガコンテンツに
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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.1

成功も後悔も全部ひっくるめて「人生」

“自伝的映画”の代名詞とでも言えそうな作品である。観客に観せるための映画の体こそ成しているが、観客を置いてけぼりにしかける程に自己中心的なストーリーや演出で、ま
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キングダム(2019年製作の映画)

3.3

子供の「戦争ごっこ」

大衆向けの邦画にしては話の筋が通っている。登場人物個々人の心情もそれなりに把握できたし、それが一応ストーリーにも絡められていた。映像的にも、ワイヤーアクションがうるさい気もする
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ライムライト(1952年製作の映画)

4.0

“チャップリンの名言製造機”と呼ぶにふさわしい

もはや悟りの境地にまで達したように思えるチャップリン。髭も帽子もない、茶番も少なめの映画の中で発せられる彼のセリフは全てが格言と化している。エンターテ
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LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)

4.1

子どもの(ような)創造力は世界に自由をもたらせる!

万人向けのエンタメ要素と自由と秩序を巡る社会派な要素のバランスが非常によい。
まず平易でわかりやすいストーリーと視覚的な面白さで映画の世界に引き
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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

3.8

現代は本当にファシズムを克服したのか?

第二次世界大戦は、ムッソリーニ政権,ヒトラー政権,昭和天皇の正当性を否定することで、連合国の「勝利」が作られたが、今作はある意味この75年の戦後史を根底から覆
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.1

「情報」は現実か?それとも幻影(ゴースト)か?
人間の成立条件の根底を揺さぶられる。

「電脳」という少し懐かしいワードが登場したりしつつも、情報化社会の究極状態の想像という観点から、今作は未だに内容
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シックス・センス(1999年製作の映画)

3.3

もはやノイズでしかないホラー要素とどんでん返し

とにかく前半が長い。後半の展開やラストのどんでん返しを考えると、前半は説明的にならざるを得なかったのかもしれないが、それでもあの間延びした感じをどうに
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ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

4.0

全てはあのラストのために

とにかく今作のマイケルは不憫で仕方がない。パート2のビジネスパートナーとしてのファミリーという考え方の不一致から一転して、今作ではそれの理解が進んだ反面ファミリーの中で相互
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Wの悲劇(1984年製作の映画)

3.8

それは映画と言うにはあまりにも演劇的であった

やや誇張された感情を通した人間の醜悪さの表現、スポットライトの意識、意図的に意識される演技の嘘っぽさ、映画という枠組みを使いつつも今作は演劇的な方法への
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新幹線大爆破(1975年製作の映画)

3.9

「パラサイト」にも通ずる社会派エンタメ
近代化は日本を幸せにしたか?

「新幹線」と「爆破テロ」2つをメタファーとして、当時の日本社会の歪みをさらけ出す社会派映画である。そのうえでタイムリミットスリラ
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.6

60年代のアメリカの変容は「家族」の在り方も変えてしまった。

パートⅡにおける最大の問いは「家族というシステムは現代に成立可能か」ということであろう。デニーロとパチーノのそれぞれのパートを比べると、
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セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.7

アイドル映画からの逸脱×ヤクザ映画からの逸脱=唯一無二の世界観

今作は良い意味で中途半端だ。アイドル映画にしては主人公は清純とは程遠い存在だし、むしろアウトローである。しかしヤクザ映画にしてはヤクザ
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怒りのキューバ(1964年製作の映画)

4.0

【コロナ前鑑賞映画】
圧巻の映像美で表現される、アメリカ/資本主義の毒

アメリカや資本主義の上での権力者の悪行を告発するという面では確かにプロパガンダ映画としての意義を確立しているのかもしれないが、
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.0

【コロナ前鑑賞映画】
革命の下で必然的に発生する暴力に、歴史は向き合ってきたか?

今作の出来事をフランス革命に例えると、それは時期的に「アンシャンレジーム」と革命の黎明期に被るものになるであろう。権
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.1

【コロナ前鑑賞映画】
「表現としての新技術」がもたらす、夢と現の交錯する幻想世界。

今作の魅力はなんといっても後半のワンシークエンス3Dパートである。テクノロジーが極限まで発展した現代、映画の世界で
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初恋(2020年製作の映画)

3.9

【コロナ前鑑賞映画】
ヤクザ映画の終わりと新時代の始まり

「孤狼の血」が「仁義なき戦い」等のヤクザ映画の本流のリメイクであるとすれば、今作は「セーラー服と機関銃」等のヤクザ映画の亜流のリメイクと解釈
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エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

3.9

【コロナ前鑑賞映画】
癖の強いキャラクターたちに思わずやみつき

なんといっても、登場人物の個性の際立ち方が見事である。風貌から入ってその性格,言動の傾向まで明確に区別がなされていて、それでいて互いを
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.7

【コロナ前鑑賞映画】
リアルな視覚情報とファンタジーな内容の溝

第一次世界大戦の空気をそのまま蘇らせたようなセットはとにかく見事である。直前に「彼らは生きていた」を鑑賞したばかりだったが、その時に目
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