イホウジンさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

イホウジン

イホウジン

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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.7

良くも悪くもアメリカナイズされた対決系ゴジラ映画。

バトルシーンはさすがハリウッドだけあって見事である。怪獣たちが世界中で大暴れというシチュエーションは04年の「ファイナルウォーズ」でも見受けられた
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プロメア(2019年製作の映画)

3.9

和製「スパイダーバース」と比喩したところか。

多様な手法で映像が作られており、観ていて飽きが来ない。見所は何と言ってもバーニッシュの描かれ方だろう。「炎」を型にして上手くフィクションとリアルの折り合
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イメージの本(2018年製作の映画)

-

この映画をレビューするほど私の教養はまだ深くないことを痛感した。
とりあえず、あらゆるメディアのコラージュの映画であることは分かった。
ということでスコア化不可能。

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

4.0

満足度は申し分ないのだが、それ以上の感動に乏しい気がした。

前知識ほぼゼロで観たため、色々驚いた点が多々あった。南北戦争が前半でほぼ終わってしまう点は特に意外だった。
前半では、南部の富裕層の家庭が
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アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

3.8

ノンフィクションの極限と限界に挑んだ、限りなくドキュメンタリーに近い劇映画。

冒頭の「これは“事実”の映画です」というテロップに全てが表されている。実際の事件の犯人達の証言をベースに映画が展開されて
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スケート・キッチン(2018年製作の映画)

3.8

スケボーを通した一人称視点の青春群像劇。

この映画の中では「没頭している趣味の“没頭”とは一体何のことを指すのか?」という問いである。これに対する各登場人物の答えの違いがこの映画の最大のポイントとな
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.2

「現代社会に神は存在し得るか?」
そんな問いを強烈なフィクションを用いつつ考えさせられる。

とにかくこの作品、そこらのSFなんかより遥かにフィクションなのである。現代に荘園制は存在するわ、神は誕生す
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日本製造 メイド・イン・ジャパン(2018年製作の映画)

3.8

30分とは思えない情報量。

映画内で発生する出来事は一つだけなのだが、そこから派生する展開に独特な緊張感が漂う。過熱する報道、ヒーローと悪者をつるし上げる空気、無知による間接的な暴力、「友情」の軽薄
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鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.9

全編にイカれた緊張感が漂う。

ストーリーは「男が金属に飲まれていく中で黒幕と闘う」といういたってシンプルなものだが、案外深い。人間が金属に飲まれるという設定以外は、話の因果関係がしっかりとしていて、
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浮草(1959年製作の映画)

4.3

色々と“完成”されてる。

擬似家族、親子の繋がり、自由恋愛の苦しさ、世代間の価値観の違い、旅、などなど小津映画で重要とされるあらゆるテーマが組み込まれている。しかもそれらが偏ることもなく、だからと言
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

4.3

小津映画の重要なキーワードである「鈍感」に焦点を当てた作品。

この映画、とにかく夫の「鈍感さん」のキャラクターが愛おしい。謙虚さと人への優しさと妻への無償の愛情を持つ最高の男性である。妻との対比で際
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東京物語(1953年製作の映画)

4.8

まさに“日本の”映画。

この映画がこれだけ評価されている最大の理由は「特に何も起こら」ない点だろう。
映画の8割方は観ながらでも容易に想定できるようになっていて、分かりやすいフラグもあちこちに立てら
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晩春(1949年製作の映画)

4.0

複雑なストーリーに呼応する役者陣の演技が輝く。

ストーリーの構造がひたすら見事。登場人物それぞれのぶれない思いがまるで手に取るように分かる。話の因果が非常にハッキリしており、話の展開の仕方も役者のセ
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ナイトクルージング(2018年製作の映画)

-

バリア“フリー”ならぬ、バリア“デストロイ”を追体験できる衝撃作!

映画としても話の順序がとてもハッキリしており、中身の濃さの割に観やすい。ドキュメンタリー映画はどうしても監督の考え方が中心となりが
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ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(2018年製作の映画)

-

「ヒトラーvs前衛画家」と言うよりは「ヒトラーvsコレクター」と呼ぶ方がふさわしい作品だった。

美術作品の略奪と戦後の所有権にまつわるドキュメンタリー。ユダヤ人コレクターの所有していた美術作品の多く
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E.T.(1982年製作の映画)

4.3

娯楽映画としては本当に申し分ない完成度。美しい映像と愛らしい登場人物が観客を魅力する。

主人公とETの間に生まれる友情とも愛情とも言いづらい独特な繋がりが印象的。同じスピルバーグ監督の「未知との遭遇
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主戦場(2018年製作の映画)

-

小さくも大きい慰安婦問題をテンポよく解説してくれる。まさに全日本人必見。

日本における排外的な雰囲気に違和感を感じた監督が、従軍慰安婦問題について第三者(日本にも韓国にも寄らない)の視点で向き合いな
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シャザム!(2019年製作の映画)

3.8

思ったよりシリアス色強めでよかった。究極の庶民派ヒーローとも言えよう。

「偶然スーパーパワーを手に入れた人間はどう変わるか」という問いにけっこう真面目に向き合った印象。“力を誰のために使うか”が映画
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芳華-Youth-(2017年製作の映画)

3.3

安直なノスタルジーにすがった面白みのない映画だった。

映像表現は評価されるべき。自然光の扱い方や群衆の捉え方などは本当に見事。「絵」になる光景がとても多かった。役者陣の演技もなかなか。

ただ、青春
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名探偵コナン 紺青の拳(2019年製作の映画)

3.7

コナン映画の初期作品を現代にアップデートしたような内容だった。

具体的に言うと、「恋愛パート多め」「新蘭の関係性の強調」「前半のハイライトの分散」などは、特に初期のコナン映画に多く見受けられる表現で
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.0

途中までは良かったが、ラストが微妙。

「環境破壊」と「信仰心」が重要なテーマとなっていて、“神の創造した土地”を我が物顔で破壊していく人間の愚かさに気付かされた牧師が病んでいく様は見事。洗練された言
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未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

4.1

映画全体の幻想的でミステリアスな雰囲気がただただ最高。

特撮,光,音楽など、あらゆる映像表現を総動員して映画全体で“未知との遭遇”を体現している。
この映画の見所は「“未知との遭遇”により人間はどう
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バイス(2018年製作の映画)

3.7

「映画」の存在をとことん使い尽くした奇作。
影の主役は我々観客である。

映画内で起こる事象(ウォーターゲート事件,911,イラク戦争等)は当然本当に起こったことだが、チェイニーに焦点を置き映画にする
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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

-

下手な劇映画よりもよほど丁寧な仕上がりになっているロードムービーである。

一般的に事実だけを追いがちなドキュメンタリー映画で、ちゃんと映画の始めと終わりが用意されており驚いた。最後の伏線回収も面白い
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.1

勧善懲悪の痛快社会派コメディと予想していたが、実態は(意図的に)中途半端な懲悪に終わる重いドキュメンタリー調の映画といった感じだった。

全体に笑いの要素は散りばめられており、ブラックユーモアたっぷり
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天国でまた会おう(2017年製作の映画)

3.6

良くも悪くもハリウッド映画っぽい。

独特な鮮やかさのある映像の連続の一方で、裏テーマである「加害と被害の線引きの難しさ」が重くのしかかる。被害者が一変加害者になったり、一方的に加害者と断定したが実際
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ワイルドツアー(2018年製作の映画)

4.0

登場人物のやり取りで終始ニヤニヤが止まらない。

大枠は監督の前作(製作はほぼ同時期か?)の「きみの鳥は歌える」と類似している。男2人に女1人の友情とも愛情とも言い表せない絶妙な三角関係が中心となる映
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運び屋(2018年製作の映画)

3.8

クライムものかとも思ったが、見事に予想を裏切ってくれた。

おじいちゃんが悪事に染まる様自体を描くというよりは、悪事に染まりつつもその中で自分が本当に大切にすべきものに気付かされる、と言う方が全体の枠
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.9

整然としていて且つ小さな出来事を壮大に描く、洗練された素晴らしい作品。

映画内で発生する出来事は非常に小規模で、ハリウッド映画ならサブストーリーの要素程度に収められそうな内容である。起こるイベントも
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サンセット(2018年製作の映画)

4.3

たった一人の女性の視点から当時の社会の空気を見事に表現した隠れた傑作。
主人公の目力に終始圧倒。

映画自体はまさに「光が強く当たるほど影は濃くなる」ことを表している感じ。事実、街が賑やかな場面ほど主
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.4

もはや後にも先にも比較し得る作品は生まれないのでは?とも思える奇作であり傑作。

映画全体がまるで逆再生のように構成されている点や起承転結が不明瞭(1999年と1979年のどちらを物語の起点とするかで
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僕たちのキックオフ(2009年製作の映画)

2.8

全体にぼんやりとしていて、掴み所がなかった印象。

スポーツとナショナリズムの危うい関係性や難民スラムの過酷さと裏腹の人情味のあるコミュニティの形成など、色々な要素を詰め込んでいる。大会で手製の五輪旗
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オアシス(2002年製作の映画)

4.3

神がかった演出が連続する、あまりにも純粋なラブストーリー。

どこを切り取っても画になるようなシーンが沢山あり、2時間強があっという間だった。その上、その演出に使われるものが豆腐,カラオケ,ラジオなど
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疑惑とダンス(2018年製作の映画)

3.9

くだらない口論の一部始終を見届けてニヤニヤが止まらない。

大まかな流れの確認以外ほぼアドリブということで、臨場感が(ある意味)格別。映像の荒さや会話のテンポから、まるで観客が同じ空間に居合わせている
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マニフェスト(2017年製作の映画)

3.8

どちらかと言うと映画よりもレクチャーパフォーマンスに近い。

様々な役柄の人物が現代社会や今の芸術について語り、時に警鐘する行為を通して、映画における「演じること」「語ること」について多角的に描く構図
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スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.5

とんでもない映像体験に終始没入!

正直、ストーリーはとても凝ってるとは言い難い。全体に心情表現が浅めになってしまったり、この映画の全ての元凶が不透明なまま終わってしまったり、勢いに身を任せすぎたよう
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