ジョン・ウェインは、その面構え、眼力、そしてなんといってもその声において、前科持ち風のヒップスターとして、つまり善と悪とが混在した存在として振る舞うことを宿命づけられている。そう、西部(ないしアメリカ>>続きを読む
『クラッシュ』と言えば、アカデミー賞を勝ち取った『クラッシュ』の方が有名で、人気も高く、また「社会について考えさせられる」映画であった。僕が「極めて『ローリング・ストーン』誌的な映画だ」と言う時は、こ>>続きを読む
いやー、これはダメでしょう。批評によっては90年代のトップ10にも入っているくらいで、点数制の集合知サイトでも軒並み準満点くらいの高評価みたいですが・・・。
主人公の男がアル中で禁断症状でまくりなわ>>続きを読む
モンテ・ヘルマンの不条理性には少し慣れたつもりでいたけど、この『コックファイター』は、映画とはそもそも、撮ることも観ることもそれ自体が不条理なのだ、という結論に達してしまう危険な1本だ。
人生のすべ>>続きを読む
全盛期の作品で迷える中高年たちを描き、円熟期の作品で迷える若者たちを撮る。この倒錯ぶりがウディ・アレンなのかなと思いつつ、『マッチポイント』でも触れたように、キャストが若返ったところで、主題や内容その>>続きを読む
ほとんど同様の主題を持つ全盛期の『重罪と軽罪』を先に見ているので、既視感があるっちゃある。あれに比べればプロットは巧妙になってるけど、画面の映画的な充実度はどうしても劣るし、登場人物たちの年齢をグッと>>続きを読む
まさに『断絶』と呼ぶに相応しく、全てが途切れ、断ち切られている。唯一、映画のランニングタイムと同期し、全体を包摂しているかに見えたロードムービーとしての線もプツリと断ち切られ、映画はどこにも着地しない>>続きを読む
「この女の子、いい演技するなあ。でも、最近の映画じゃ見ない顔だなあ。ぽっと出で終わってしもうたんかなあ。芸能界は惜しい人材を失ったなあ、勿体ないなあ。たまたまのハマり役やったんかなあ」と思ってエンドロ>>続きを読む
す、すげえ。西部劇のマイ・ベスト・テンを作るとしたら、『銃撃』もこれも余裕で入りそうだ。「これは果たして西部劇なのか」という問題はひとまず置いておくとして。
馬車強盗の5人組と、彼らとたまたま出会っ>>続きを読む
オフィス北野はおそらく、アジア圏からジャ・ジャンクーを輩出することで、映画という文化に対する一定の役割を終えたのだろう。園監督の『地獄でなぜ悪い』同様、ネタ化した「ヤクザ」というコンテンツで悪ふざけす>>続きを読む
関係者やジャーナリストのインタビュー、からの回想映像、という流れで逸話を語るドキュメンタリー映画の手法は、先の『カメレオンマン』や『ブロードウェイのダニー・ローズ』でも採用されたものだし、女性に敬意を>>続きを読む
アパートの隣人である老夫婦の妻が心臓発作で死に、「奥さんが亡くなったのに夫がウキウキしていて怪しい!ほら、こんな夜中にどこかへ出かけていくわ!」と騒ぎ始めるダイアン・キートンと、「管理費を払ってるエレ>>続きを読む
ホリーはフロリダ州マイアミからやってきた
合州国をヒッチハイクで横断しながら
道すがら眉毛を引っこ抜き
足を脱毛して「彼」から「彼女」になった
彼女は言う、ねえあんた、危ない方を歩かない?
可愛いキミ>>続きを読む
マカロニ・ウェスタン、はじめました。と言うわけで、まずはセルジオ・コルブッチ。どんなものかと思って恐る恐る見たのですが、みんなイタリア語なのに舞台はちゃんと合衆国であり、無法者たちが「相手が先に抜いた>>続きを読む
思わず「こ・れ・は・酷いwww」だけで終わりにしたくなる、西部劇×ミュージカル×ブラックスプロイテーションという異色作。黒人保安官が主人公です。74年の作品なので、西部劇もミュージカル映画も映画産業と>>続きを読む
「子はかすがい」とは言うけれど、では、生後間もなく死んでしまった子供はどうなのだろう。まして、その二人が「できちゃった婚」で結ばれた二人なのだとしたら、「死んだ子」は二人をつなぎとめてくれるのだろうか>>続きを読む
学生時代に『ぐるりのこと。』を顔面に喰らったわりには、橋口監督がどういう人かを僕はよく知らないし、『ぐるりのこと。』以外の作品もなぜだか見たことがない。しかしこうやって、改めて過去の作品を見てみると、>>続きを読む
ほとんど止まっている物が運動を予感させるのは、どんな場合か。物理学的には、それが位置エネルギーを持ったとき、すなわち一定の高度を有した場合である。その見えないエネルギーが運動となるには、必ず「落下」を>>続きを読む
この人を知らなければ即モグリ認定、西部劇を見てるとは到底公言できないといわれるアンソニー・マンを初鑑賞。すげー期待して見たものの、善と悪の因縁的な対決が見せる「素朴さ」、対インディアン戦の打ち合いが見>>続きを読む
普通に見たのでは圧倒的に名前に負けしてしまうので、あくまでも「後続映画の元ネタを確認しよう」くらいの気持ちで見ました。しかし、目当ての元ネタ以上に「ああ、あれの元ネタはこれだったのか~」と発見すること>>続きを読む
前から西部劇コーナーの隅っこに置いてあったけれども、なぜかTSUTAYAさんの発掘良品コーナーにピックアップされ、改めて広く流通することになった作品。心情的には星4つの佳作です!
ともすればタランテ>>続きを読む
死ぬまでにもう一度『カリフォルニア・ドールズ』を劇場で見る機会に恵まれたいと思っているロバート・アルドリッチという監督の、あるいは、初期の最高傑作と名高い『キッスで殺せ!』のDVDを買ったはいいが楽し>>続きを読む
【続々】タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』があまりにも面白かったので、70年代のブラックスプロイテーション映画を見てみるプロジェクト、その8。ドラッグとカネで芯まで腐敗した町で、ヤクとコールガー>>続きを読む
【続々】タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』があまりにも面白かったので、70年代のブラックスプロイテーション映画を見てみるプロジェクト、その7。ついに、ついに見ました『110番街交差点』。そう、『>>続きを読む
マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラ、ウディ・アレンの3者による短編オムニバスです。スコセッシもコッポラも自分の中でいま一つ盛り上がったことのない作家なので、飛ばしてウディ・アレンの>>続きを読む
「シリアス・コメディ」なんてサブ・ジャンルがあるなら、これがそれだ。ウディ・アレンが本気のドラマ映画を撮っていること自体がまず面白く、内容的にも『愛と死』(75)の練り直しと言うか、それこそドストエフ>>続きを読む
欧米の映画サイトやブログで開催される「マイ・ベスト・ウディ・アレン」のリストでトップ10常連なので見てみました。これは・・・いくつかの意味でズルい映画だと思うので、思いつくままにメモしておきます。良作>>続きを読む
自由の国=アメリカの文化的首都とも言える多様性の町=ニューヨークに生きながら、個人主義的な風潮を過度に恐れる男(=当然、ウディ・アレン!笑)は、学生時代に『白鯨』を読んだことがないと学友に告白できなか>>続きを読む
冒頭、おもちゃ達の持ち主であるアンディの脳内で展開されるSF西部劇がなかなか練られていて面白く、しかもクレジットのフォントがもう完全に西部劇のそれなので、「ああ今回はもうこっち方面でやりたい放題なのか>>続きを読む
ウッディが手違いで誘拐されることで、バズ率いる捜索隊が結成されるプチ『捜索者』的な展開を見せるシリーズ2作目。また、バズに比べて、キャラクター設定上の背景が明らかにされていなかったウッディが、時代の流>>続きを読む
西部劇の延長線上で(笑)、カウボーイが主人公である『トイ・ストーリー』シリーズを再見。たぶん『1』はちゃんとリアルタイムで見てて、『2』が見たような見てないような・・・で、『3』は確実に見たことない、>>続きを読む
ピクサーの1988年作品。『トイ・ストーリー』の特典映像として収録。記録用のためスコアはなし。
「子供部屋の秘密」的な想像力はこの頃にはすでに定着か。チンドン屋のおもちゃが、赤ちゃんに追いかけられた>>続きを読む
ピクサーの1986年作品。『トイ・ストーリー2』の特典映像として収録。ピクサーの歴史に関するオタク的な知識はないのであれですが、テロップには「われわれの最初のアニメ・フィルム」と謳われています。実際、>>続きを読む
なるほどこれは・・・凄まじい映画だ。「これは事実に基づいた物語です」というテロップの有無にかかわらず、映画は本質的に「嘘」を物語る装置の筈なのだが、しかし『天国の門』では、映画のために本物の国をひとつ>>続きを読む
フレッド・ジンネマンの『真昼の決闘』(52)を厳しく鍛えなおしたようなカルト・ウェスタン『荒野のストレンジャー』(72)と同じく、この『ペイルライダー』(85)についても、傑作とは言い難い過去の西部劇>>続きを読む
これは・・・とにかくすごいものを見たなという感じ。呑気に「西部劇の古典巡り」なんて言ってる場合じゃないというか。脚本を書いたのはブラックスプロイテーションで紹介した『黒いジャガー』シリーズのアーネスト>>続きを読む