チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価

チッコーネ

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移ろう季節の中で(2018年製作の映画)

3.0

アクシデントを境に表面化する新たな日常を、煽情場面を排し淡々と描く作品。
生活感のない舞台美術が頻出する前半は、照明もよそゆき顔でテレビドラマのようだった。

エンタメ急進国でありながら、LGBTを主
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.2

幼女のスナッフフィルムという、おどろおどろしい題材を元に展開するサスペンス。
高橋洋が脚本を担当しているが、ストレートに撮っているようでもないので、何だか無駄遣いに映るキャラクターがちらほら。
数式デ
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悪の階段(1965年製作の映画)

3.5

クローズショットの多い作品だが、欧州アート映画風の撮影、いかにも60年代といった趣でカッコ良い。
また金庫の黒光りや夜のすすき野原を際立たす照明の効果、モノクロ映画ならでは…、演出も冷たくよそよそしい
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ブラック・タイツ(1960年製作の映画)

2.7

4部構成になったフランス産のミュージカルで、監督は英国人のテレンス・ヤング。
音はジャズでなくクラシック調、ダンスもモダンバレエ。
スタジオに作られたセット上での演目を観せているが、映画なので当然、カ
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返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

4.5

とにかく画面・照明が美しい。
荒れた夜の廃校が舞台なのだが、埃まみれの舞台美術が繊細で安っぽくない。
「忌中」と書かれた布がたなびく禍々しい幻想空間の中には確かな美意識が宿っていたし、伝統を感じさせる
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クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)

2.0

格差社会のシンガポールで、超富裕層に属すハイソが舞台。
そのスケールは果たしていかなるものかという興味で観たが、やはりというか演出はアメリカ流、予想を裏切られることはなかった。
「エイジアンオールキャ
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東京おにぎり娘(1961年製作の映画)

3.2

今も飲み屋が軒を連ねる新橋の烏森口が舞台で、若尾文子を中心に回る群像劇。
韓国ドラマであれば80分16話ぐらいまで盛れそうな山場の連続、よくぞ90分にまとめたなと感心。
かといって増村作品のような慌た
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貴公子(2023年製作の映画)

3.7

韓国映画界の真ん中を往く監督作をロードショウのタイミングで観れると、ワクワクしながら映画館へ。
後半に比べフィリピンが舞台の前半は静かなタッチ、3陣営に分かれた怒涛のカーチェイスから演出が加速し始め、
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ビースティ・ボーイズ(2008年製作の映画)

3.5

映画にはあまり登場してこない、ソウルのホストクラブ業態を確認できる作品。
個室接待なのが韓国ぽい。
青春残酷物語の趣もあるが、昭和のドロドロ水商売絵巻邦画とは異なり、自堕落かつ楽天的な雰囲気もあって観
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ローラ(1981年製作の映画)

3.7

ファスビンダーがリメイクした『嘆きの天使』、オリジナルに比べ男性主人公への演出に尊厳を残すほか、開発がらみの利権をめぐる戦後西ドイツの社会派ドラマが、戯画的に付け加えられている。
歌えるバーバラ・スコ
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戦慄のリンク(2020年製作の映画)

3.0

ホラー禁止の中国で公開させるため、工夫を凝らした脚本が興味深い。
「青い鯨」云々は話題集めかなという程度で、実際にはAI領域に言及し、一歩踏み込んだ趣。
偶然だが先日観たばかりの米催眠術ノワール『疑惑
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馬三家からの手紙(2018年製作の映画)

4.0

一党独裁恐怖政治の一端を告発する、命がけのドキュメンタリー。
孫氏の画力もすごいのだが、同時に「法輪功とは何ぞや」という点が気になるというか「そこも流すべきでない」と引っかかった。
検索すると2004
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悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

3.5

監督がハリウッドより帰還後に撮った作品だからなのか、70年前の作品とは思えないほどスピーディな編集。
何度となく映画化されているファウスト物語だが、コメディタッチやトリッキーな演出も相俟って、サクサク
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フレンチ・ドレッシング(1964年製作の映画)

2.7

ケン・ラッセルのデビュー作。
「ジャック・タチ風で」というオーダーを受けての制作とかで、なるほど納得のナンセンス・ドタバタコメディ。
そうした作風の中にもエキストラを巧妙に配置した、絵心溢れる場面もチ
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マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)

3.0

ドラマ『ナルコの神』でファン・ジョンミンが演じた麻薬王チョ・ボンヘンが、一般人を運搬係として遠隔操作していたという実在エピソードの映画化。
チョン・ドヨン演じるヒロインとその家族の受難物語で、暗転の決
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ジャングルのけもの(2023年製作の映画)

3.0

クラブという空間に一定期間浸ったことのない者は、その作用を理解することもできないだろう…、しかし例えば90年代東京の某クラブを通過した世代の中に、未だ当時の価値観から抜け切れない人々が数多く存在してい>>続きを読む

疑惑の渦巻(1949年製作の映画)

3.0

ジーン・ティアニーとリチャード・コンテというノワール映画の常連が共演している作品、ドイツから亡命した監督のひとり、プレミンジャーが監督。
ニューロティックからさらに一歩踏み込んで、催眠術を駆使するスウ
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紅い服の少女 第二章 真実(2017年製作の映画)

2.5

ヒット作の続編ゆえか、盛り込み過多。
語るべき事象が多すぎて散漫になっており、ご都合主義や省略も目立つ。
韓『哭声』に刺激されたか、ローカル呪術演出をふんだんに採用。
またCG多用のクライマックスには
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紅い服の少女 第一章 神隠し(2015年製作の映画)

3.2

チェン・ウェイハオのデビュー作がホラーなのは、何だか意外な感じ。
しかもジャンプスケア多めで、結構怖い。
室内場面で役者の後を追う撮影は、不穏で幽玄な雰囲気。
CGも要所に登場するが、地に足の着いた作
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この心亡き者(2022年製作の映画)

3.7

台湾産でここまで作り込んだサイコホラーを観たのは、初めて。
国内に数多いというアジア系不法滞在者絡みの物語となっているが、舞台が大都市の台北であるため、エキゾチズムは希薄。
無国籍な雰囲気となっている
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鋼鉄の雨(2017年製作の映画)

3.2

Netflixで公開前に劇場公開され、かなりの動員を記録しただけあり、全体の作りは重厚。
特に「北朝鮮でクーデターが起きるとどうなるんだろう」という好奇心を刺激する前半が、面白い。
キム・ジョンウンと
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THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

5.0

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、そして中東まで世界中を駆け巡る!
マイケル・ムーアも真っ蒼、『インファナル・アフェア』を地で行く命知らずどもの作った、あまりにも凄まじいドキュメンタリー。
過去10年以内
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ミス・シャンプー(2023年製作の映画)

1.7

『怪怪怪怪物!』は面白かったので期待したのだが、こちらはいまひとつ。
暴力的だが愛すべきヤクザの活躍、若い男女の恋物語、そして青春ノスタルジーと手垢のつきまくった題材を持ち出し、香港映画ばりのナンセン
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だって私は女なの(2021年製作の映画)

3.5

共産主義時代のポーランドに咲いた妖花、カリーナ・イェドルシクの伝記映画。
本人の姿を模しながらアンナ・カリーナも彷彿とさせるスタイリング、ポップでカラフルな美術、そして効果的に挿入されるミュージカル場
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エルドラド ナチスが憎んだ自由(2023年製作の映画)

3.5

ゲイがナチの要職に就いていたとは。
恥ずかしながら、知らなかった。
そしてヴィスコンティは『地獄に堕ちた勇者ども』で、彼(エルンスト・レーム)とSAの最期を再現していたのだと、思い当たる。

キャメル(2023年製作の映画)

3.5

最近、中東エリアの映画を何本か観たが、いずれもイスラム社会で抑圧されている女性たちの葛藤や闘争を、重要なテーマに据えていた。

映画はアートとして、広く世に問題を提起可能な力を持っている。
中東では未
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ビースト・ストーカー/証人(2008年製作の映画)

3.2

近年は多彩なジャンルに挑戦しているダンテ・ラム作品、そもそもの設定が偶然に頼り過ぎている気はするものの、それなりに楽しめるサスペンス。
カーウァイ×ドイルのスタイルを受け継ぎ、雑多な香港の風景と集合住
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

1.7

『コンクリート・ユートピア』とシンクロする作品とかで、ロケで使用されているマンションは全く同じ。
ディストピア設定も共通している。
とは言え内容は凡百なエンタメアクションに終始。
心なしかマヨミの表情
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第8日の夜(2021年製作の映画)

3.0

冒頭の砂漠場面がちょっと安っぽいかしらと思ったが、「赤の目・黒の目」のCGは濡れたような光沢があって良い感じ。
白抜きな宗教図版も、オカルティックな雰囲気を盛り上げてくれる。
セピア風で黒が際立つ画面
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スキン~あなたに触らせて~(2017年製作の映画)

3.5

冒頭の淡いピンクに全裸のおばあさんというコントラストが強力、以降もパステルカラーが基調/または挿し色として機能するきれいな舞台美術が続く。
フリークス/一般人のキャラクターは、ほぼ同量で登場。
矜持を
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The Soul: 繋がれる魂(2021年製作の映画)

4.0

現代劇かと思いきや、2030年代が舞台。
終盤で正義の味方が不在になるという意味では、近未来SFノワールと言えるかも。
二転三転するスリリングな展開は非常に面白い、脚本も兼ねる監督を「台湾のパク・フン
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僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)

4.5

これまでいわば「不気味な幽霊」として扱われてきたゲイと一般社会のクロスオーバーがテーマになっているが、凡庸なメロドラマでなく、ファンタジック・ホラーおよび香港/韓国ばりの麻薬犯罪劇が並走する凝った脚本>>続きを読む

テイル・フロム・ダーク2: 奇幻夜(2013年製作の映画)

3.5

『香港怪奇物語』以前のオムニバス・ホラー続編。

ラム・カートン出演の1本目は官能ホラー。
居室美術がモダンなほか、クリニックやカラオケバー、そして街中の雑貨店など印象的な風景も多数出てくる。
中盤で
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