kouさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.5

「タクシードライバー」の脚本を書いたポール・シュレイダー監督作。主人公の牧師を演じるのはイーサン・ホーク。監督自身も答えているように「田舎司祭の日記」を基にしている部分が多い作品。「タクシードライバー>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.0

スパイク・リー監督。黒人刑事が、同僚の白人刑事と2人で1人の人物を演じ、KKKに潜入捜査した実話を映画化。この題材でスパイク・リーが監督をして面白くないわけがない。笑えて爽快な部分があり、コメディとし>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.5

ジョーダン・ピール監督が一躍名前を有名にした監督デビュー作。あるシチュエーションに限定した話であるものの、描かれるのは差別についてといういくつもの暗喩が複雑に張られている作品だった。ホラーとしてもとて>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

5.0

タルコフスキーがイタリアで制作した作品。今作を制作した後、タルコフスキーはイタリアに亡命したという。まさに今作の主人公はタルコフスキー自身を表しており、「鏡」等と同じように自伝的内容になっている。>>続きを読む

(1974年製作の映画)

4.5

自分の人生についての映画でもありながら、ロシアの歴史を折り混ぜて描いた作品。それは折り重なるように、イメージを重ねるようにして描く。まさにタルコフスキーらしい、とても重層的な一作であった。

少年時代
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.0

SFと人間の哲学的な問いというのは切っても切れない関係性にある。2001年宇宙の旅や、コンタクト、最近で言えばメッセージ等、人類の進化と進化の先に現れる問いはたびたび描かれる。タルコフスキーの描くSF>>続きを読む

ヒア アフター(2010年製作の映画)

4.0

とても不思議なバランスの作品で、見終わるまで何についての映画なのかわからないという点で鑑賞者を混乱させるかもしれないが、ラストの展開は間違いなく感動的なものである。クリント・イーストウッド監督はこんな>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

5.0

「レディ・バード」のグレタ・ガーウィッグ監督が、ルイザ・メイ・オルコットの小説「若草物語」映画化。何度も映画化されている今作を、グレタ・ガーウィッグ監督がなぜ今作ったのか、とても意味のある作品になって>>続きを読む

若草物語(1949年製作の映画)

3.5

1933年に続き、カラーで映画化された若草物語。その後も何度も映画化される題材であるのだが、それぞれに特色があるのも面白い。また、キャストを誰が演じるのかというところも本作の魅力の一つだろう。

四姉
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オアシス(2002年製作の映画)

5.0

イ・チャンドン監督作品。社会に適応できない男ジョンドゥ(ソル・ギョング)は、ひき逃げにより服役後出所し、重度脳性麻痺のコンジュ(ムン・ソリ)と出会う。彼らは次第にひかれあっていく。他の監督にこんな愛に>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.5

男の人生に重ねるように韓国の歴史を描き、なぜ男はここまで絶望しているのか、彼が背負っているものは何なのかを時間を遡るようにして描いた作品。ある過去の過ちが、常に一人の男の心を苦しませ続け、そしてそれが>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

5.0

戦争が人間を狂わせていく様を描き、アメリカの光と闇を描いている傑作。まずは戦場における緊張感の描き方、そしてそれと対比させるような日常。次第にそこの境界が崩れていき、一人の英雄の苦悩を描いた作品であっ>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.5

「薄氷の殺人」で一気にファンになったディアオ・イーナン監督作品。前作もすばらしかったが、今作も傑作だった。ビジュアルの鮮烈さ、物語の推進力と意外性、最終的な着地点、今作はこういうことについての映画だっ>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

黒沢清監督。ヴェネチア国際映画祭において、銀獅子賞(監督賞)に輝いた本作。黒沢監督の教え子である濱口竜介と、野原位が共同脚本を務めているのも注目したい。黒沢監督の映画にしか出せない空気感やセリフ、見て>>続きを読む

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

3.5

仁義なき戦いシリーズ第五作。前作で一旦完結をしたものの、今作ではまた新たなる争いの行く末を描く。前4作の脚本を担当した笠原和夫が降板したこともあり、少し味わいも違っているが、共通する部分も多々ある作品>>続きを読む

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

4.0

仁義なき戦いシリーズ四作目。前作から続く第二次広島抗争がどのように終焉したかを描く。前作と今作を合わせて一つの終焉を迎えるわけだが、その盛り上がり、そして締めくくりに痺れさせられる。特に映画史に残るラ>>続きを読む

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

4.5

仁義なき戦いシリーズ第三作。一作目の続編にあたり、ヤクザ達の心理戦、見栄の張り合いを描いている。今シリーズに共通する、卑怯でずる賢く、自分の事しか考えていない山守や、打本というキャラクターの最悪ながら>>続きを読む

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

4.0

仁義なき戦い第二作。スピンオフ的な作品であり、本作の主人公はヒットマンの山中。北大路欣也が演じているのだが、その鬼気迫る演技が凄まじい。また、千葉真一演じる大友の破天荒な役柄。この二人のやり取りが最高>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

3.5

それまでのヤクザ映画がかっこいい義理や人情といった美化されていたものだったのに対し、本作は裏切りや騙しあい、卑怯な人間を描き、業を描くことで生々しさを出した。キャストの面構えの迫力、そしてセリフの強烈>>続きを読む

さざなみ(2015年製作の映画)

4.0

とても残酷であり、そして真実のようでもあり。結婚や恋愛、パートナーや信用というような対人関係は年月があれば深まるものという事ではなく、ふとした瞬間に消えてなくなってしまうものでもあるのだと痛感する。夫>>続きを読む

間宮兄弟(2006年製作の映画)

3.0

森田芳光監督作品。江國香織の小説を原作とし、塚地武雅、佐々木蔵之介が主演を務めた作品。森田監督の「の・ようなもの」に近いような感覚がある作品だなと思う。日常、なのだけれどどこか滑稽。そしてどこか心に残>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.5

岡本喜八監督の代表作。日本映画史でも重要な一本だと思う。昭和天皇や鈴木内閣の閣僚が日本の降伏を決定した昭和20年8月14日の正午から、8月15日までの24時間を描いている。岡本組といわれる俳優たち、そ>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

コロナウィルスで映画館が休館し、映画を劇場でみられない日々が続いた後、満を持して公開された大作映画がクリストファー・ノーラン監督の最新作だったという事に、まずは一つの感動すら覚えた。映画館でノーランの>>続きを読む

阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

3.0

たびたび映像化されている作品であるが、今作の四姉妹の面々も豪華だ。大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子。それぞれが全くバラバラの性格で、個性が光る。キャストの力があってこそ、それぞれの物語が際立つと>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.5

キム・ボラ初監督作品。初監督作品とは思えない、繊細な表現とフェアな視点。1人の少女のミクロな視点ではあるが、社会的な韓国の背景やそこに存在する数々の問題を写し込んでいる、範囲の広さもある映画である。と>>続きを読む

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.5

2010年から2020年を感じさせる映画であったと個人的に思う。映画を彩る音楽のリンクや、映像の美しさも見事。まさに反転する前半と後半の展開も感動的であるし、人と人とが関わる事の正も負もフェアに描いて>>続きを読む

カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

2.5

1987年、イギリス。主人公は親と対立、学校でもつらい日々を過ごす。そんな中、ブルース・スプリングスティーンの曲と出会ったことで、自分の才能に気づく。音楽の力により勇気を得るという、かなり王道的なスト>>続きを読む

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)

3.5

刑法39条、「一、心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス。」「一、心神耗弱者ノ行為ハ其刑ヲ減軽ス。」という条文から、問題提起をする内容となっている。現在にも通じる、精神判定の結果による量刑の判断についての問題で>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

3.5

唯一無二の映画監督大林宣彦。彼の遺作となった今作は過去の作品の集大成ともいえる内容になっていた。どこまでも映画を愛し、尾道を愛し、そして平和を愛した監督の執念の一作である。最後の最後までおもちゃ箱のよ>>続きを読む

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.5

韓国のアクション映画のクオリティの高さを思い知らされる一作。まずは冒頭のアクションシーンを見て本当に驚かされた。どうやってこんな映像を作り上げたのだろうと思わせるような主観映像。しかもワンカット。圧倒>>続きを読む

失楽園(1997年製作の映画)

3.5

森田芳光監督作の中でも知名度や集客数で言うとトップクラスの作品。役所広司と黒木瞳という実力派の俳優たちの力もあり、不倫というテーマを刺激的に、官能的に描いている。ただその根本には愛があり、究極に愛し合>>続きを読む

獄門島(1977年製作の映画)

3.0

見立て殺人という処でいうと前作の悪魔の手毬唄との共通項があるが、今作はまた違った味わいを持っている。前作よりは明るさがあるように思え、閉塞感は薄れている。このシリーズ特有の人間たちの愛憎劇はもちろん健>>続きを読む

アシュラ(2016年製作の映画)

3.5

とにかく映画の勢いがあり、鬼気迫る演技で盛り上げ、アクションも見事。ここまで振り切った面白い作品がしっかり作られるのが韓国映画のすごいところだと思う。毎回韓国映画のクオリティの高さに驚かされる。

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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.5

本当にすごい監督だと思う。毎年多くの素晴らしい監督に出会うのだが、2020年はディアオ・イーナン監督の作品に出会えたというのがとても大きかった。今作のすべてが好みで、見終わってから数か月たってもなお心>>続きを読む

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)

4.0

ロマン・ポランスキー監督作。二人劇ながらものすごく面白く、エロティックでありロマンチック、そしてドラマ性もあり見る者を惹きつけ続ける。二人の関係性の中で攻守が入れ替わり、複雑に絡み合い、セリフや動作の>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

3.0

SFタイムリープ物、トム・クルーズ主演のSF、異星人との戦いという意味では「宇宙戦争」を思い出させるし、繰り返される戦闘はノルマンディー上陸作戦「プライベート・ライアン」のように感じた。ただ一番思い出>>続きを読む