小雨降る秋の日、女子大生ひな子(渡辺雛子)が寺の境内を歩いている。毎年、母の命日には父の圭一(古舘寛治)と墓参りに訪れていたのだが今年はひな子一人であった。ふと母の墓前に一輪のコスモスの花が供えられているのが目にとまる。母が亡くなってから17年、祖父母も鬼籍に入っており他人の影を感じることはなかったひな子は不審に思う。携帯電話が鳴る。受話器の向こう側では飛行機が欠航になり墓参りには来られないことを告げた上で、「たまらん」と漏らす圭一の声が聞こえる…。
信州に生まれ育った中山晋平(中村橋之助)は、少年時代に見た旅楽団のジンタに魅せられ、音楽の道に進むことを夢見る。18 歳の時に、早稲田大学教授・島村抱月(緒形直人)の書生になる機会を得て、…
>>続きを読む非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したラビンドラナート・タゴール。イ ギリス植民地時代のインドを生きたこの大詩人は、詩だけでなく歌も作ってお り、その数は二千曲以上にものぼります。「タゴ…
>>続きを読む“完璧な⽂章などというものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね”。メッテは『⾵の歌を聴け』の⼀⽂について想いをめぐらせる。現実と空想の世界が重なり合う村上春樹の世界観は翻訳家によっ…
>>続きを読む小さいころに自分と母を捨てた父が、警察に捕まった。連絡を受けた卓(たかし)が、妻の夕希と共に久々に九州の父の元を訪ねると父は認知症で別人のようであり、父が再婚した義理の母は行方不明になって…
>>続きを読む1927 年。活動写真に魅了され、「あした」を夢見て青森から上京したサネオとハジメは、ひょんなことから吉祥寺初の映画館“井の頭会館”で働き始める。兄・ハジメは活弁⼠、弟・サネオは社⻑として…
>>続きを読む匂いに敏感な、ひのき(17)は、亡くなった父が残した全国のミニシアターで観た映画の感想が書かれたノートを見つける。 ある映画館だけ場所がわからず、匂いのメモや、感想だけが書かれていた。 コ…
>>続きを読む大学卒業間近の冬。美千留のもとに、会ったことのない腹違いの妹から1通の手紙が届く。そこには、幼くして生き別れになった父親のことが綴られていた。手紙を読んで以来、今まで気にかけもしなかった父…
>>続きを読む1995 年の震災で多くの家屋が焼失し、一面焼け野原となった神戸・長田。かつてそこに暮らしていた在日コリアン家族の下に生まれた灯(富田望生)。在日の自覚は薄く、被災の記憶もない灯は、父(甲…
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