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シティ・オブ・ウインド
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目次

シティ・オブ・ウインドの作品紹介

シティ・オブ・ウインドのあらすじ

高校卒業を控えた17歳のゼは内気な青年。学校で勉学に励む一方、困っている人を助けるために儀礼を行うシャーマンの役目も果たしていた。 そんな彼はある日、心臓に持病を抱える少女マララのために儀礼を行うことに。 突然出会った二人は惹かれあい、やがて恋に落ちる。 好奇心旺盛なマララに刺激を受け、色鮮やかに輝き出したかのようなゼの日常だったが、シャーマンとしての使命を背負う彼の心に新たな葛藤が生まれて……。

シティ・オブ・ウインドの監督

ラグワドォラム・プレブオチル

原題
Ser ser salhi/City of Wind
製作年
2023年
製作国・地域
フランスモンゴルポルトガルオランダドイツカタール
上映時間
103分
ジャンル
ドラマ

『シティ・オブ・ウインド』に投稿された感想・評価

Omizu
3.8
【第96回アカデミー賞 国際長編映画賞モンゴル代表】
ラグワドォラム・プレブオチル監督の長編デビュー作。ヴェネツィア映画祭オリゾンテ部門に出品され、主人公役のテルゲル・ボルドエルデネが主演男優賞を受賞した。

手堅く丁寧につくられた秀作人間ドラマ。新人ならではのフレッシュさもありつつ、プロダクションの高さも窺わせる。

高校卒業を控えつつシャーマンとしても頼られる青年ゼ。彼が一人の少女と出会うことで自身を見つめ直す。青春ドラマとしてもよく出来ている。

モンゴル=草原というステレオタイプを崩しつつ、旧来のイメージと共存していこうとしている。勉強の出来るゼは都会に生きるのか、それともシャーマンとして生きるのか、その間で揺れていく。

長編デビュー作とは思えない、と思ったら製作は『ソウルに帰る』の会社、編集は『サウルの息子』の編集者という万全な製作体制らしい。そりゃプロダクションも高いわ。

完成度が高いし、役者陣のフレッシュな演技もすごくよかった。個人的にはゼの彼女になるマララ役の人がよかった。印象的な表情をする人だ。
[モンゴル、シャーマン青年の恋と成長] 70点

Lkhagvadulam Purev-Ochir長編一作目。ウランバートルのユルト地区にて、グランパ・スピリットは強力なシャーマンとして近所の人々を助け慕われていた。長い髪で顔を覆い隠した謎めいた人物で、その名の通りの最強おじいちゃんかと思いきや、その仮面の下には17歳の内気な青年ゼがいた。おじいちゃんを騙っているわけではなく、シャーマンとして最強おじいちゃんを降ろしてきているからそう呼ばれているようで、儀式中に仮面を外していることからも、周囲の人物はそれを知っているようだ。知って尚、彼に助けを求めている。彼は17歳にしてそんな伝統の担い手なのだ。一方で、高校生でもある彼の前には、苛烈で冷酷な社会が広がっている。真面目で内気な彼はイジりの対象となっていて、しかも意味分からんくらい厳しく尊大な担任教師が従わないと卒業させないぞと脅してくるのだ。生徒たちの反応を見る限り、その脅しが響くほど、社会は学歴に厳しかったり、それに似た理不尽がまかり通ってるのだろう。校舎や生徒の雰囲気が似ているのも相まって、エミール・バイガジン『ハーモニー・レッスン』を思い出してしまうのは私だけじゃないと思う。流石にバイガジンに比肩するレベルではないが、閉塞感は凄まじい。そんなある日、客として訪れた先天性の心臓病を患う少女マーラと出会い恋に落ち、学校でも家でも孤独という二人は急速に惹かれ合う。そんな彼女は伝統や迷信を信じていない。彼女との甘い日々が、ゼを更に混乱させる。そんな"伝統か現代性か"という問いに対して、ゼはどちらかを選ぶわけではなく、それら全てを成長の糧と捉え、自らコミュニティに関わることを選択する。家族とも、荒くれ者で多分地域からも白眼視されている近所の兄ちゃんとも、学校の同級生たちとも。なるほど興味深い選択だ、私は支持したい。

ちなみに、マーラは人工心臓弁を付けているんだが、二人で走った後で心音を聴かせる場面がある。ここで、青信号の残時間通知音が観客には心音の変わりとして聞こえ、残時間が減って早くなるというのが早鐘を打つのと重ねられていた。なんてカッコいい演出!
4.0
若者がたくさんいるモンゴルという国はその人数に比例してアイデンティティを必要とした若者もたくさんいる。
真面目な青年が欲に従い、生活が変わっていく様子が感じ取れてなかなかによかったです。
モンゴル映画これから来そう…。

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2020年02月21日

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