ハミングバード

戦場に咲く花のハミングバードのレビュー・感想・評価

戦場に咲く花(2000年製作の映画)
3.4
前線で負傷した乗馬でオリンピック日本代表の青年将校が、満州鉄道のとある駅で助役として休養する。駅には、いたく常識的な駅長と妻、腕力に自信のありそうな駅員、駅で育てられている孤児がいる。ある日将校は自殺をする。そして、憲兵が犯人捜査にやって来る。育ちの良さそうな青年将校であったが、四人の中国人にはそれぞれ殺害動機となるべく将校の陰の側面が存在した。戦争は、人間を狂わせる。四人の中国人は、犯人として罰せられるのではなく結果として犠牲者となる。自殺した青年将校の苦悩への描写が甘い印象ではあるが、監督が中国人であるために仕方がないが少し残念。他の国へ進行した戦争はこの様に、占領と被占領側での悲劇を生む。アメリカ、イギリス、スペイン、ソ連、中国等も同様にいつの時代も人間を狂わせ悲劇を生んできた。この作品は当時の日本兵が抱えたであろう苦悩にも触れており、占領と被占領側の両方の悲劇を描こうとしている珍しい作品かもしれない。
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