舐めてかかったら結構くらった

まずもしものカナダって設定がおもしろい
ウェス・アンダーソン的色彩とポップさ、シュールな街の人々や演出がめっちゃ好み

童話みたいな世界観と登場人物、撮り方と相まって凄く引き込まれた序盤
前半、世界観の力技でいくのかと思いきや後半のたたみかけがまぁ気持ちいい
それだけで終わらず不条理に
この振れ幅に度肝抜かれた映画だった

客そこそこ入ってて、いかにも映画が好きそうな人ばかり。
俺は特典の「ウィニペグ完全ガイド」に惹かれてムビチケ買ってしまった。カナダに実在するウィニペグの話かと思って読んでたら、ん？てなった。
この作品のウィニペグは、ペルシャ語とフランス語が公用語の架空の町。

ウェス・アンダーソン的な絵や、『ホモ・サピエンスの涙』のロイ・アンダーソンを思い出させる不条理なストーリーで、Wアンダーソン。
好きな人いそうなのは分かるけど、俺は嫌い。わざと映像を粗くする手法も嫌い。

2024年のカンヌ国際映画祭監督週間に観客賞を受賞し、アカデミー国際長編映画賞のカナダ代表に選出された作品。舞台になったウィニペグ出身のマシュー・ランキン監督の長編映画２作目。率直に言うと一風変わった作品だった。

舞台のカナダ/ウィニペグの公用語がペルシャ語とフランス語というもしもの世界。ファンタジーと言うより実在する名前の街の架空の物語。英語とフランス語のバイリンガル国家のカナダだが、監督はイランに行ってペルシャ語を学んだ経験がある。アッバス・キアロスタミ監督に影響を受けたらしい。唐突にペルシャ語という訳ではなさそうだ。

マントバ州ウィニペグに住むオミッドが七面鳥に眼鏡を取られて黒板の字が読めない。学校の先生に怒られているオミッドに同情した同級生の女の子ネギンが姉のナズゴルと凍った湖の中に埋まっていた紙幣を取り出して眼鏡を買ってあげたいと思いつく。

壁の色がそのまま地区の名前という街。装飾もないシンプルに塗られた壁、オレンジ地区の裏側にはグレイ地区があるという感じ。車が頻繁に通るハイウェイの横にある墓地や閑散としたデパート、忘れ物のアタッシュケースが長い間置かれたままのベンチ、話しているのはペルシャ語、、とても観光地とは思えない街だが、マスードという観光ガイドがいて観光客を案内している。廃墟化した街の奇妙なツアーガイド。そこへモントリオールで役人の仕事をしていたマシューという男性が仕事を辞めて久しぶりに母親に会いに故郷に帰ってきた。

マスードとマシュー、そしてオミッド達、こんなふうに繋がっていたのかと思った瞬間、思いがけない現象が起こる。文化が混ざり合う穏やかな街のちょっと退屈な物語だったが、作品に流れる空気感もラストのショットも決して嫌いではなかった。