活気溢れる80年代初頭のニューヨークの一角。街角ではHIP HOPが誕生し、NEW WAVEがニューヨークの街を席巻した時代。その猥雑な空気はバスキアも召喚し兼ねない淫靡で猥雑な雰囲気である。音楽狂で15歳の少女ニッキー（ロビン・ジョンソン）は、今日もギターをかかえて自作の曲をストリートで演奏した。しかし、ボリュームを上げすぎ、権力者の外車の上にスピーカーを乗せて演奏したためトラブルとなり、精神障害の疑いをかけられ病院に収容されてしまった。そのころ「タイムズ・スクエア再開発」をめざす完全主義者の若手政治家デイビッド・パール（ピーター・コフィールド）の1人娘パメラ（トリーニ・アルヴァラード）は、家父長制的な父の庇護下で憂鬱な気持ちが止まらない。孤独な気持ちを抑えることができず、深夜放送の人気ＤＪジョニー・ラガーディア（ティム・カリー）に救いを求めた。彼女の「ここではないどこか」への渇望は絶対的な父性に抑えられ、身動きが取れない。今では離人症の症状だと疑われるパメラは入院先の同室でニッキーと出会う。ここではボーイ・ミーツ・ガールではなく、極めてシスターフッド的な繋がりは今日的に見れば早過ぎたクィアに映る。

　私は今作に午後ローで初めて出会って以来、80年代初頭のニューヨークを据えた佳作だとは思っていたが、アメリカ映画史に刻まれるような傑作には程遠い印象だった。今回はアバンギャルドな北村先生の解説付き４K上映を観たが、あの頃のNEW WAVEやHIP HOPが好きな私から見れば、あまりにも貴重な80年代初頭のニューヨークの見本市だった。労働者階級で問題児のニッキーと市長の娘で抑圧された優等生パメラは、ある日精神科病棟で偶然に出会ってしまう。彼女たちはタイムズスクエアへ逃走し、DJジョニー（ティム・カリー）の支援のもとで「スリューマーズ」というパンクユニットを結成し、市民へのラジオ・メッセージを通して社会に抗う。都市部における孤独な病巣は45年を過ぎた今なお新鮮に映るし、何よりも今作のサントラを担ったルー・リード、トーキング・ヘッズ、ラモーンズ、パティ・スミス、XTC、ロキシー・ミュージックなどの絶妙な選曲に魅了される。中盤以降、やや物語が空疎化するものの、メンヘラを拗らせた孤独なニッキーが少女たちの記号的なアイコンに祭り上げられる様は極めて現代的なクィア表象を45年先んじていた。タイムズ・スクエアの混沌とした街並み、若者の衝動、音楽のパワーが混然一体となった熱量がありながら、少女同士の関係性は曖昧模糊としている。むしろそこにこそ新たな名作としての価値があった。14年後の『エンパイア・レコード』のプロトタイプとしてもカルトな佳作。

大人や社会に対する反発心、自分らしく生きるとは何か。
青春のエネルギーがたくさん詰まった作品！

勝手にハッピー！ビバガール！恋せよ乙女！的な展開かと思っていたため、シリアスな展開には少々驚いた。

久しぶりのルー・リードも最高。

ガールミーツガール。
ボーイが出てこず、ありきたりな描写が省かれているのが心地良いリズムを刻んでいる。

序盤ラモーンズばかりじゃ困るなと思ってたサントラは選曲の幅が広く、時代の空気が色濃く匂ってくる。

ロケシーンが多く、薄汚れたニューヨークがスクリーン映えしており眼福。

同監督作品では、本作から14年後に"エンパイアレコード"。
本作から比すると随分こじんまりとした作品だったが、同時代の空気感の再現に長けた作品だったと記憶。

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今日の一曲

女の子2人がこれに合わせて街中を踊るシーンが良かった

Talking Heads • Life During Wartime

https://m.youtube.com/watch?v=rmGcgtcIftA&pp=ygUs44OI44O844Kt44Oz44Kw44OY44OD44K6IGxpZmUgZHVyaW5nIHdhcnRpbWU%3D

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