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左利きの少女
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左利きの少女の作品紹介

左利きの少女のあらすじ

台北、夜市・麺屋台。5歳のイージン(ニーナ・イエ)は、借金を背負ったシングル・マザーのシューフェン(ジャネル・ツァイ)とハイティーンの姉イーアン(マー・シーユエン)と共に生活を立て直すべく田舎町から舞い戻る。ある日、昔気質の祖父に利き手である左手を“悪魔の手”とそしられ、罪悪感を抱きはじめたイージン。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれがひた隠しにする《罪》をあぶり出していく――。

左利きの少女の監督

ツォウ・シーチン

原題
Left-Handed Girl/左撇子女孩
公式サイト
https://cinema.starcat.co.jp/left-handed-girl/
製作年
2025年
製作国・地域
台湾、フランス、アメリカ、イギリス
上映時間
108分
ジャンル
ドラマ
配給会社
スターキャットアルバトロス・フィルム

『左利きの少女』に投稿された感想・評価

kuu
3.8
『左利きの少女』
原題または英題 左撇子女孩 Left-Handed Girl
製作年 2025年上映時間 108分
映倫区分 G
製作国 台湾・フランス・アメリカ・イギリス合作。
ショーン・ベイカー監督作のプロデュースやベイカー監督との共同監督作「テイクアウト」で知られるツォウ・シーチンの単独監督デビュー作。ツォウ監督の故郷・台湾を舞台に、厳しい現実と向き合う母娘とその祖父の多世代家族が織りなす物語を、幼い少女の視点からエネルギッシュかつ繊細に描き出す。

台北の夜市、臨江街のあのみちっと詰まった路地に充満する油煙と、脳髄を直撃するネオンの明滅、あれは何や。画面の向こうから漂い出でてくる臭気と熱気に、こちらの脳味噌がぐわんぐわんと揺さぶられて、まともな思考なんざ綺麗がっつりと吹き飛んでまう。ショーン・ベイカーとタッグを組んできたツォウ・シーチンが故郷の地べたに iPhone を降ろし、そこら中の熱量を根こそぎ掠め取ってスクリーンにぶちまけたよな、凄まじい疾走感と破滅的な愛おしさがここには充満してる。

物語は、五歳の幼子イージンが持つ左手ちゅう、呆れるほどに小さく、しかし途方もなく巨大な肉片が核にある。昔気質の爺さんがそれは悪魔の手やって抜かしよる。正気の沙汰でじゃない。左手で飯を喰い、左手で絵を描くことが、なんで悪魔の所業に化けるんか。我が身の幼少期を振り返れば、小生もまた左利きであり、日本の大人どもに力任せに矯正された苦い記憶が、どっと脳裏に蘇ってくる。あまりに阿呆らしく理不尽な古いしきたり、家父長制という名の腐れかけた呪縛が、幼い少女のちっぽけな肩にどっかりと圧し掛かる。

せや、この映画が描くんは、単なる可哀想な被害者の泣き寝入りじゃない。借金まみれで夜市の麺屋台を切り盛りする母シューフェンと、多感すぎる十代の姉イーアン、そして左手を封印されかかったイージンという三世代の女たちが、ドタバタと取っ組み合いの喧嘩を演じながら、その理不尽な呪いを蹴り飛ばしていく猛烈なバイタリティ。悪魔の手と蔑まれたその腕は、皮肉にも家族それぞれが隠し持っていたドロドロの罪や不都合な真実を暴き出すトリガーとなり、破綻寸前の家庭を攪拌してゆく。

iPhone って機動力を誇るレンズが追うのは、整音された綺麗な台北じゃない。雑踏のざらついた肌ざわり、人の熱気、麺を茹でる湯気、そして、その中で生きる人間の身勝手さと健気さ。一部のレビューには人物の行動が身勝手で感情移入しづらく、家族の崩壊劇があまりにドタバタしすぎていて落ち着いて観ていられないといった、やや散らかったドラマ展開に対する厳しい声も散見される。だが、それこそが生活というものの生々しい真実じゃないかな。整然とした美しい家族なんか、この世のどこを探せば転がっているんやろか?

我々が生きる現代社会は、常に規範って見えへん型枠を用意して人間を押し込めようとしてくる。右手を使いなさい、女の子らしくしなさい、家族のために耐えなさい。そうやって個人の尊厳を削り取ろうとする圧力に対し、本作の女たちは泥まみれになりながら『知るかボケっ』とばかりに暴れ回る(笑)。左手を肯定することは、己の存在そのものを血の通った人間として抱きしめることに他ならない。

ネオンと油煙がのたうつ夜市の喧騒は、観ているこちらの脳をぐわんぐわんと揺さぶってきて、左手が悪魔の手やなんて、あまりに阿呆らしく理不尽なしきたりです。しかし、そのがんじがらめの呪縛の中で、女たちが怒りとも祈りともつかないエネルギーを爆発させていく。破綻だらけの家族のバタバタ劇の裏にある、痛切な叫びが小生にはダイレクトに胸に突き刺さった。壊れかけた家父長制の残骸の上で、自らの手で未来を掴み取ろうとするその立ち姿は、身勝手で、惨めで、そして最高に光り輝いていました。


台北、夜市の麺屋台。5歳の少女イージンは、借金を背負ったシングルマザーのシューフェンとハイティーンの姉イーアンと共に、生活を立て直すため田舎町から戻ってくる。イージンは昔気質の祖父に、利き手である左手を「悪魔の手」と咎められ、罪悪感を抱くようになる。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれが胸に秘めてきた罪をあぶり出していく。

台北に実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケを敢行。iPhoneを駆使して街の奥へと自在に入り込み、そこに生きる人々の日常を映し出す。ツォウ・シーチンとショーン・ベイカーが共同で脚本を手がけ、ベイカーが編集・製作も担当。台湾の人気子役ニーナ・イエがイージン、本作で初の本格的な演技に挑むマー・シーユエンが姉イーアン、ドラマ「暴走外科医がやってきた」のジャネル・ツァイが母シューフェンを演じた。2025年・第26回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。
背骨
4.2
シングルマザーと娘二人。貧しくても寄り添いながら(反発し合いながら)生きる家族の姿

ただの可哀想な話で終わらせない絶妙なバランス感覚。彼女たちのこれまでと抱えているものが明るみになる後半の展開、「え、ここで終わるん?」なラストに才能とセンスを感じる。あれでより彼女たちが愛おしくなったし、大変な事ばかりが待ち受けているであろうこれからもしあわせであってほしいと願わずにはいられなかった

ひとことで言って大好きな映画。おばあちゃんをお祝いするシーンに韓国映画の『三姉妹』ぽさを感じたりして…

製作と脚本にショーン・ベイカーが関わっていると知って納得。このポップでありながら何も解決してないある種の残酷な感じ、めっちゃ『フロリダ・プロジェクト』
4.9
【夜市を駆ける】

ツォウ・シーチン監督の2025年のヒューマンドラマ作品

〈あらすじ〉
5歳の少女イージンは、借金を背負ったシングルマザーの母シューフェン、そして年の離れた姉イーアンと共に、生活を立て直すため田舎町から台北へと戻る。シューフェンは賑やかな「通化街夜市」で麺の屋台を始め、懸命に働き始める。そんなある日、イージンは昔気質で保守的な祖父から、自身の利き手である左手を「悪魔の手」だと激しく咎められてしまい…。

〈所感〉
エキセントリックすぎるけど凄く良い映画だった!話題作なので劇場鑑賞。『アノーラ』でアカデミー作品賞を受賞しているショーン・ベイカーが脚本を手懸けたということを知り、同監督作『フロリダ・プロジェクト』のような貧困世帯の子供の風景を映したものかと想像したら、まさにその通りだった。ただ、本作は全編iPhoneカメラで撮影されているということで、ローアングルによって5歳の少女イージンが台北の夜市を駆け巡る様子をそのまま見せてくれて、時に煌びやかに時に面白おかしく映し出すことに成功している。ポンポコポンポコみたいたなパーカッションのBGMはイージンが何かやらかす時の確定演出でクスッと笑える。私も以前舞台である夜市を訪れたことがあるが、隅から隅まで隙間無く長屋の店舗が立ち並び、いかがわしいものが置いてある怪しい雰囲気だった。それは子供からしたら特にワンダーだろうと思う。左利きのイージンは昔気質の祖父に「左手は悪魔の手だ」と窘められ、それを機に右手を使うようになり、左手はイージンが悪いことをするために使用する手になってしまった。台湾社会のことはあまり知らないが、本作を見てると、だいぶ封建主義的で家父長制的な空気があり、家族の和を乱そうとする人のことを許さない陰湿な一体感が感じられる。みんなと違う事は恥であり、その象徴が悪魔の左手なのだろう。しかし、一家の危機を救ったのは皮肉にも手癖の悪いイージンの左手だったというから面白い。ラストシーンの親族の集会が圧巻で、こんな空気悪くなる??っていうとんでもないカオティックな出来事が起きて、見ているこっちまで気まずくて堪らない。加えて、姉のイーアンに明かされるイージンの出自についての事実にも親族同様ド肝を抜かれた。あの爆弾発言によってシューファン親子と親族との連帯は一瞬で瓦解してしまったが、これまでの関係性の全てがぶち壊されてたことで、またゼロから家族の物語が生まれる兆しが見えてよかった。結果オーライなのかわからないが、家族がそれぞれの呪縛から解放されて、イージンは変わらずイーアンを姉として慕い、のびのびと周りに笑顔を振りまいていた。それだけが唯一の救いだった。シューファンとイーアンも同情の余地はあるし、そこまで悪くないのだが、やはり身勝手に感じる部分も多かった。それだけに夜市の貧困家庭をその純粋さで照らす天使のようなイージンがとても際立っていた。イーアンが働いていたのはビンロウ店と言って、露出度の高い服を着て噛みタバコを売りつける仕事らしい。それにしてイーアン役の方スタイルが良すぎる!というか薄っぺらい!お母さんもジョニーみたいな思いやりのあるお隣さんがいて本当に良かったね。万引きした商品を姉妹二人で返しにいくシーンが、少しずつイージンがやってしまったことの罪と責任を痛感しているようでとても良かった。ちょっと個人的にラストの告白が衝撃的すぎて、結局これは上手くまとまったの??とエンドロール後もよく話が呑み込めない有様だったが、ネオン煌めく台北の原色と人工的なカオス、息苦しいほどの混沌とした街並みを、5歳の少女の原色的な目線によって映し出した奇抜なヒューマンドラマだと思います😄

"あんたはいつになったら、自分の人生を引き受けるの!"

《2026年 610本目 劇場鑑賞 43本目》

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