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鉛の時代
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『鉛の時代』に投稿された感想・評価

Omizu
3.8
【第38回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『ハンナ・アーレント』などのドイツの巨匠マルガレーテ・フォン・トロッタ監督作品。長編三作目にしてヴェネツィア映画祭で最高賞を受賞した。

鉛の時代とは、国家や軍部による国民の弾圧、反政府武装組織によるテロ活動など、内戦に至らないものの激しい暴力の応酬が続く混乱した時代を指す言葉である。「鉛」とは弾丸や銃撃のことを指す。(Wiki引用)

本作ではドイツにおける「鉛の時代」を描いてる。妹が政治犯として収監されたジャーナリストの姉がその闇に迫っていく。政治的背景があるものの、概ね姉妹の話になっていてみやすい。

サブスクにもDVDにもなっておらず、一生観られないやつかなと思っていたらなんとアマプラのよく知らないチャンネルに来ていた。

フォン・トロッタ監督作品はこれが初鑑賞だが、非常にみやすい。複雑な政治スリラーにもできそうな題材をミニマルに上手くまとめている。

唐突な終わり方にはやや難ありだが、「ここから先は私たちの物語です」と言われているような気がしてこれはこれでアリ。

何か重大なことをやらかした妹、彼女が具体的に何をしたのかは描かれないが、これで十分伝わる。姉の視点で進むことで姉妹の確執と関係性の変化というものも描かれる。上手い構成だ。

全体を通して素直に面白いと思える映画だった。フォン・トロッタ監督のスッキリした演出手腕も窺える秀作。日本であまり観られていないのがもったいない知られざる名作だと思う。
マルガレーテ・フォン・トロッタが女性監督で初めてヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した作品。ベルイマン監督が選んだオールタイムベスト11本のうちの1本。実話に基づいた姉妹のドラマ。

ユリアンネ(ユタ・ランペ)とマリアンネ(バルバラ・スコヴァ)の姉妹は、戦時中ドイツに生まれ「鉛の時代」と呼ばれた1950年代に厳格な牧師の家庭で成長した。性格は違う二人だが、学校で上映された「夜と霧」(1955)でユダヤ人大虐殺を見て共に衝撃を受ける。大人しかった妹マリアンネは社会への疑問を強く抱きはじめ、やがて家族を捨てテロ組織に入った。自由を好む姉ユリアンネは恋人と同棲しながら女性運動誌の編集の仕事に励んでいた。やがてマリアンネが爆弾テロを引き起こして逮捕。ユリアンネは面会に通うが会うたびにお互いの生き方について口論を繰り返していた。そんな中、テレビでマリアンネの衝撃的なニュースが流れる。。。

面白かった。手段は違えど社会改革を目指す姉妹の人間ドラマを通して、ヨーロッパ各地でテロが起こった1977年前後の時代精神を炙り出している。テロの同時代映画としてファスビンダー監督や、トロッタ監督の夫であるシュレンドルフ監督らが共作した「秋のドイツ」(1978)に、女性監督として呼応したように思えた。一方、姉妹が激しく口論する描写には、ベルイマン監督「秋のソナタ」(1978)での母娘の愛憎関係を連想した。

本作の姉妹と同じくトロッタ監督も戦時中に生まれ「鉛の時代」に育った。思春期に自国の行ったホロコーストを授業で学び(ここが日本とは決定的に違う)、父親世代への違和感や世の善悪に敏感な世代となる。本作で、妹が起こした爆弾テロを真っ向から否定していた姉が、妹の遺児を引き取って語る。「あなたのお母さんは偉大な人だった」と。

トロッタ監督は以降、本作でヴェネチア国際映画祭最優秀女優賞を受けたバルバラ・スコヴァと共に、次作「ローザ・ルクセンブルク」(1985)、そして「ハンナ・アーレント」(2012)など、社会に主張する女性の映画を連ねていく。

※本作の元になったのはドイツのエンスリン姉妹の伝記。姉クリスティアーネは政治活動家で雑誌「女性の権利を訴える」の共同創刊者。妹グドルンはテロ組織RAF(ドイツ赤軍)を仲間と創設し、5つの爆弾テロに関与したことによって1972年に逮捕。彼女らの奪還作戦は「ドイツの秋」と呼ばれる激しいテロ抗争を巻き起こすが失敗に終わり、グドルンは1977年に獄中で自殺。享年37歳。
3.0
第38回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
マルガレーテ・フォン・トロッタ監督作。

戦後ドイツを代表する女性監督:マルガレーテ・フォン・トロッタによる1981年の西ドイツ映画で、対照的な生き方をしている姉妹の心情を描きます。

実在のドイツ人姉妹を題材にした作品で、刑務所に投獄された過激派の妹と、彼女との面会を続ける雑誌記者の姉との心理のせめぎ合いを淡々と見つめた人間ドラマです。刑務所の一室で束の間の面会を繰り返しながら、政治信条の相容れなかった姉妹の心理の相克と理解を、幼年期からの姉妹の過去の回想を交錯させて映し出していきます。

思想の対立する姉妹の対照的な生き様と精神的融和をシリアスに描いて、姉妹のように敗戦後東西に分裂したドイツの70年代の混迷の世相を浮かび上がらせた知性的な“社会派+女性ドラマ”の力作であり、主演のユタ・ランペとバルバラ・スコヴァが優等生的な姉と強硬派の妹を力演しています。

蛇足)
青年時代の姉妹が集会で視聴していた記録映画は、アラン・レネの『夜と霧』(1955)のドイツ語吹き替え版です。

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