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人民の勇気
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『人民の勇気』に投稿された感想・評価

3.5
【ポトシで起きた殺戮について】
K's cinemaにて開催中のウカマウ集団60年の全軌跡にてチェ・ゲバラ映画『人民の勇気』を観た。チェ・ゲバラは晩年、ボリビアで革命を指導していたことは知っていたが今や世界遺産のポトシで活動していたことは知らなかった。そして本作は壮絶なポトシの歴史を語る一本であった。

かつて、世界の銀産出量の半分を算出していたポトシ。政府軍が遠くから『ワイルドバンチ』がごとく市民を撃ち抜く殺戮から物語が始まる。チェ・ゲバラ率いる部隊との連携を企てる人民が必死の抵抗を行う。

ロングショットで建物に侵入する者を描き、狭い通路で銃撃戦が行われる。ゴヤ「1808年5月3日、マドリード」さながらの処刑が行われ、ポトシの地は血塗られていく。生き残った者の証言により生々しく再現される惨劇が強烈であった。
3.8
ウカマウ集団60年の全軌跡特集で観た『人民の勇気』です。これが今回のウカマウ特集で俺が観た1本目であり、今回はこれしか観れないっぽい。単に俺のスケジュールの都合でこれしか観られなかったのだが、もっと色々見て観たかったですね。
さて、ウカマウ集団とか言われても何じゃそらとなる人は結構いるのではないだろうか。斯くいう俺自身もこの特集上映で初めて知ったのですが、ウカマウ集団というのは南米はボリビアを拠点とする映画制作集団で、何でも現地の少数民族たるアイマラ人やケチュア人に無関係な映画を作ることはできないと考えたホルヘ・サンヒネスという人を中心に1962年に結成されたものらしい。特徴としては上記した少数民族(南米の原住民でもある)の視点に立った物語で映画を作ろうというものが挙げられる。ウカマウ映画には五原則があるらしく、
1:アンデス世界に固有の円環的な時間概念に基づいた語りの仕組みとしての「長回し」を活用すること
2:社会的な調和を重んじるアンデス的な概念に照応させて、個人的な主人公ではなく集団的な主人公を重視すること
3:西洋映画に典型的な方法である、観客を脅しつけ驚愕させることで画面に一体化させてしまう「スペクタクル」を排し、内省的な振り返りを促す方法を生み出すこと
4:「クローズアップ」の使用をなるべく避けること
5:他ならぬ歴史的な現実を生き抜いた人々自身が演技者となるような場で協働すること
といった五か条が定められているらしい。その5原則がどれほど強力な縛りとして活きているのかはウカマウ映画を1本しか観たことのない俺には何とも言えないところではあるのだが、本作『人民の勇気』は概ねそのような映画ではあったと思いますね。
映画の内容は1967年に圧政に抗うためにストライキを行い、チェ・ゲバラとの連帯を画策していた鉱山労働者たちの住宅地が政府軍に攻撃されて多数の人たちが虐殺されたという現実にあった事件をドキュメンタリーチックなタッチで描いたものである。
本作は実際にその事件を生き残った人たちが役を演じている作品であり、その辺りが上記したようなドキュメンタリー的な雰囲気を醸し出していて緊迫感や生々しさが浮かび上がってくるのが良かったですね。タイトルからして力強い映画なのだが、内容もそれに負けず劣らずでそのような劇映画とドキュメンタリーの垣根もほぼないままに進んでいく鉱山労働者への横暴な暴力がドライにまざまざと描かれていて圧巻であった。
ただ、これも上記した5原則の中に書かれていることでもあるのだが、スペクタクルを排して描かれる作品なのでやっぱりというか当然というか、娯楽性はないんですよね。娯楽のために撮られた映画ではない、と言われたらそれまでで、はいそうですね、としか返せないのだが、しかしやっぱり映画が持つ側面の一つであるエンタメ性というものはほぼない作品でもあった。意図してそう作っているのだからそれでいいとも思うのだが、しかし本作のように歴史的な記録としても重要な意義を持つ作品はやっぱ多くの人に観られてほしいなぁとも思うので、多くの人が観るための条件として(娯楽として)面白いという部分もある程度は必要なんじゃないかなぁとも思いましたね。
まぁ何にせよ俺はウカマウ映画を本作しか知らないのであんまり突っ込んだことは言えないのだが…。というわけで他の作品も色々観たくなったのでまた特集上映をお願いしたいです。中々貴重なものを観られたとは思う。面白おかしい映画とは全く言えないが、近年稀にみる骨のある映画ではあったと思いますね。
前作からスケールも熱量も爆増していて圧巻だった。社会革命のツールとしての映画の力を全面的に信頼しているからこその振り切り。劇中で起きていること以上に、実際の鉱山村落で生きる人たちがこれほど真に迫ってカメラの前でこれを演じていることが衝撃的。

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