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菊次郎の夏
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『菊次郎の夏』に投稿された感想・評価

4.3
 ナップサックを背負い、歩道橋をかける小さな正男(関口雄介)の姿、東京・浅草、夏休みを目前に控えた正男とサッカー仲間で親友の祐二とは夏休みの予定を話し合う。祐二の家族はおばあちゃんの家に帰省すると言うが、正男には用事がない。小学三年生の正男は物心がついた頃から、煎餅屋を営む祖母(吉行和子)と2人で暮らしていた。父親は正男が小さい時に他界し、母親は遠くに働きに出ていると祖母から聞かされていた。夏休み初日、サッカーの練習に来た正男だが部員は誰1人としていない。トボトボ歩く寂し気な帰り道、高校生にカツアゲされる正男を近所に住むおばさん(岸本加世子)とその夫のおじさん(ビートたけし)が救い出す。杉山家に届けられた郵便物、判子を探しに引き出しを開けた正男は両親の新婚時代の写真を偶然見つけてしまう。幸せそうな着物姿の母親(大家由祐子)の写真を数学ドリルに挟み、正男は母親の住む愛知県・豊橋市を目指す。2,3日で母親の元へ送り届けると言う約束で、おばさんはおじさんに5万円を渡す。おじさんはその金をストリップ劇場、キャバクラで使い果たす。一発逆転の競輪場、ビギナーズ・ラックで大金をせしめたおじさんは正男にアルマーニの服を買ってやる。知らない人(麿赤兒)に付いていくなと伝えたおじちゃんと正男の二泊三日の2人旅が始まるのだった。

 今作はいわば『母をたずねて三千里』の現代版に違いない。幼い頃から両親の顔を知らず、おばあちゃんに育てられた正男には兄弟はおろか、同じ境遇の友達すらいない。そこへお節介をかけるのは『HANA-BI』から2作連続でビートたけしと夫婦役を演じた岸本加世子に他ならない。極めて寡黙だった『HANA-BI』とは対照的に、今作の岸本加世子は喋りまくる厄介者の妻を演じる。夫は相変わらず寡黙だが、極めてどうしようもない中年として描写され、ここに大人びた子供と、子供じみた大人との対比の構図が浮かび上がる。2人の旅は正統なロード・ムーヴィーとしての性質を帯びる。一夜にして大金をせしめたおじちゃんの財布はあっという間に底をつき、心底どうしようもない旅が始まるのだが、2人は時間を重ねるほどに友情が芽生える。悪夢から目覚めた少年が見たおじちゃんの背中の刺青、まるで小津安二郎の映画のような2人並んで釣りをする構図、縁日の屋台で羽目外したおじちゃんの痴態、椅子でぐったりうなだれるおじちゃんのために朝早く薬局のドアを叩いた正男の焦燥。映画は『母をたずねて三千里』のような感動の結末に向かう気はサラサラなく、『3-4x10月』や『ソナチネ』の後半の沖縄編のように脱線・脱輪・脱臼を繰り返す。デブ(グレート義太夫)とハゲ(井手らっきょ)のバイカー2人組、あんちゃん(今村ねずみ)らアウトローたちと、正男とおじちゃんの触れ合いは物語の定型を著しく逸脱する。冒頭部分に映し出された翼が生え、天使の輪っかが見える女性の絵は、前作『HANA-BI』に呼応する。天使ではなく、天狗にさらわれる少年の悪夢は、天使の鈴を媒介に正男の成長を促す。それと共に母親を巡る旅はおじちゃんにとっても大きな贖罪の旅となる。
3.5
少年とおじさんがひと夏の旅を通じて交流を深めていくロードムービー。母を知らない小学生の少年にビートたけし演じるどうしようもないおじさんが付き添って母親探しの旅に出る、そんなひと夏の思い出話。おじさんは不器用ながらも人間の持つ優しさを持ち合わせていて、そのギャップが、なんとも言えない魅力になっています。

ロードムービーとしての醍醐味はしっかりあり、旅を続けるうちに2人の絆が深まっていく様子は心地よいです。行き着く先では胸がギュッとなる切なさもあり、そういうところはシンプルに好き。全体的に、切なさの中に優しさや笑いが共存していて、少年にとっては色とりどりの花火のような夏になったことでしょう。

ただ、ビートたけしらしいギャグや笑いの要素は、正直言って蛇足に感じる部分も…。特に義太夫や井出らっきょの登場シーンなど、『風雲!たけし城』や『元気が出るテレビ』を思い出させるノリがあるのですが、個人的に好きな笑いではないので、全体的にテンポがかったるく感じる場面もありました。義太夫は自爆し、らっきょうは全裸に、それを見て殿が爆笑する←この軍団的なお笑いは苦手。

そんな中、劇中で流れる久石譲の「Summer」は、旅の風景や少年の心情にぴたりと寄り添い、しみじみとした気持ちにさせてくれるのが救い。まるで過ぎ去った夏を懐かしむような、そんな感覚が残る映画でした。
4.3
見たで。
北野武監督の作品はちょいちょい見てきたけどバイオレンス路線から外れた映画を見るのは初めて。暖かい!とにかく暖かい!主人公の菊次郎は人間としてはハッキリ言ってほめられた人ではないんやけどそれでも現実に神様がいるなら菊次郎みたいなおじさんが神様でも良いじゃないと見ていて思えるのは彼の子供っぽさが話が進む中でちゃんと良いアクセントになってるから!この映画は1人の子供が不器用な大人の優しさに救ってもらう話しであると同時にそれを通じて大人側も素直になって成長する物語なんだと思った。優しさ、切なさ、暖かさ、言葉では言いきれない感情と北野武監督の笑いのセンスが合わさり生まれるシークエンスに自分も子供の時に感じたもう夏休みは終わるんやなあっていう切なさを思いださせてもらうと同時にそういう物を時には振り返って見る事が人生にとって大切な時もあると教えられた気がした。あの夏の一時を体験した正男くんが一体どんな大人になるのか気になりすぎるけどやっぱり流れる音楽とたけしさんのラストの表情が全てを持って行った映画やったな。また夏になったら何度でもみます。
大大大好き。

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