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タクシー・ブルース
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『タクシー・ブルース』に投稿された感想・評価

カンヌ受賞したってことで昔見たんだけど予告にあるようなおっさん共の喧嘩しか最早記憶に残ってない。
社会主義国家が激動の後に産み落とした謂わばもう一つの"タクシードライバー"。
然し本作側にはデ・ニーロ演じた主人公トラヴィスが前述作で最後に経験する脚本展開〜謂わゆる"断裂からの再生の芽吹きや提案"は無かった様な。覚えているのはむせび泣く管楽器のフリーキーな混沌共鳴ばかり。



昔、23区内の片隅、木造アパート1階東向き角部屋に暮らしていた際に、某レンタル店の陳列棚の片隅の良品発掘みたいなコーナーに在ったVHSで観た記憶。本作も又すっかり片隅に?忘れていたらしい。
忘れていた30年間位の間に、当時は今以上に少ない知識ながら"ソ連も変わったんだなぁ"等の驚きと共に、全編司るフリーJAZZの響きに或る感動を覚えた記憶。
なのに本作、部分部分の映像や或る動的な激しさはハッキリ思い出せても、ストーリーの詳細は年月のガスに霞んで彼方にある。

その長い年月の間に、なんと今のロシアは逆行しているかの…
そしてワタシ個人にしても彷徨い、2回の大移住と2回の転職大変更を経験したり。
子供も産まれ、その子は既に一人暮らしながら都会で働いている。我の長い頭髪の1/3は白く成り、髭どころか鼻毛にまで(笑)白髪が目立つ様に成ってしまった。
何も変わっていないのは…幾らシンプルを目指しても、描き終えた作品を司るものを形容したらば"confusion"な処か…


そう、本作の匂いを今の記憶なりに一言で表せば、謂わば"confusion"だろうか…
不図思う。
あんなに無茶して破天荒だった自分が未だ生きている。未だ前を見ようとしながら、後ろも気にしている。
普段は或るコントロールをして、喩えば〜
規則正しい食事をして
或る制約を守りながら必死に仕事をこなし
或る意味分かり易い音楽を聴いて
分かり易い記号や数字を選んで
今という時を暮らしている(生きている)
けれど…
本来の、自分の中なのか奥の方なのかは、コノ作品の化粧以外の骨や肉に似通っているんじゃないだろうか…?
永久に和解なき深く暗い亀裂が刻まれ、でもそれなりに明るさも楽しみも知っていて…
震える繊毛はびこるヒダと、いつしか固まった鉄塊が、常に表裏一体せめぎ合っていて…
いつにしても答えという明確なものは出ない。
色んな制限や納期があるから、已む無く"選択"しているだけかも知れない。
言い訳みたいな響きだな。
然し、"全ては途中"だ。
その果てに、"今現在があるだけ"だろう。



記憶の中で本作"タクシーブルース"には、最終的な"救い有るオチ"や分かり易い希望的"和解"は無かった筈。映像も荒く色彩も褪せて乏しいかも知れない。司るフリーJAZZの旋律や響きは、決して心地良いかと尋ねられたらYES!とは言わないだろう。
でも、機会あらばもう一度観てみたい。でも、何度も度々は観ないだろう。
きっと己の骨や肉やもっと奥の髄に似た匂いを、感じて刻まれたからかも知れない…


似た者同士が好き合う時もある。
でも全てが似て同じワケはない。
当初、似てる・同じと感じるのは恋であり、違いや差異を尊重し合い、持続や守ろうとする努力が愛?であるとしたならば〜
本当に似たものを避ける感じ…
失敗した経験ある御方なら解るでしょ?
4.0
【カンヌ国際映画祭監督賞受賞!ペレストロイカが良くわかる傑作】
第43回カンヌ国際映画祭、ベルナルド・ベルトルッチ陣営が『ワイルド・アット・ハート』にパルムドールを与えた回。TSUTAYA渋谷店に、その回で監督賞を獲った作品『タクシー・ブルース』のVHSがあった。映画超人、透明ランナー(@_k18)がオススメしていたこともあり、鑑賞してみた。これが流石ベルトルッチ陣営、なかなかユニークで味わい深い作品であった。

☆『タクシー・ブルース』あらすじ
ペレストロイカ時代のソ連。真面目なタクシー運転手シュリコフはサックス奏者の若者リョーシャを乗せるが、彼は金を払わずトンズラしてしまう。怒ったシュリコフはリョーシャを捕まえて、サックスを取り上げる。しかし、リョーシャはアル中で自分を制御できない人物だと知り、シュリコフは彼の面倒をみることにするのだが...

☆ペレストロイカを重層的に捉えた傑作
本作は、ペレストロイカ時代を2人の男の生き様に見事反映させた傑作だ。ペレストロイカとは1985年にゴルバチョフが実行した改革運動だ。ソ連は、社会主義を推し進めていたが、社会主義の弱点が露呈し国家衰退の危機に陥っていた。社会主義は、富の徹底的な平等を掲げている。富の平等が推し進められると、国家に貢献しようがしまいが、努力しようがしまいが、平等に扱われる為、人々のやる気がだんだん失われイノベーションが起きなくなってしまう欠点がある。まさに当時のソ連は、それによって国家がどんどん衰退していった。それから脱する為、ゴルバチョフは民主主義を掲げ、国家の方針を大幅に変更した。この混沌をパーヴェル・ルンギン監督は、2人の男というミクロな視点に凝縮した。

まず、冒頭、まるでゴルバチョフが「民主主義、平和、ペレストロイカ、加速(Демократия, Мир, Перестройка, Ускорение)」と声高らかに掲げるがごとく、美しき花火が打ち上がり、混沌としたサックスが荒れ狂う描写から始まる。

そして、タクシー運転手とサックス奏者の青年にフォーカスが当たる。タクシー運転手は、社会主義に忠実で、真面目に粛々と働いてきた男。ソ連を信じている男だ。そんな男の目の前には、破廉恥で風紀を見出しまくっているサックス奏者がいる。まさに水と油の関係だ。タクシー運転手は腹が立ってしょうがない。しかも、サックス奏者に無賃乗車されてしまう。

こう聞くと、若者と老人のジェネレーションギャップを描いた凡庸な作品に見えるかもしれない。所謂、老害映画というジャンルに囚われている気がする。しかし、そうはならない。旧来のソ連と、ペレストロイカ以後のソ連という単純な比較にも陥っていない。実は、タクシー運転手とサックス奏者の交流を通じて、ペレストロイカによる影響を分析しているのだ。タクシー運転手は、ソ連時代に真面目に国に尽くしてきた人を象徴している。一方、サックス奏者は、社会主義によってやる気を失った人を象徴している。二人は、今までそれぞれの世界で平穏に生きてきた。しかし、突如訪れたペレストロイカによって今まで信じてきたものが崩され、また変化に対応しなくてはならなくなる。しかし、長年時代に飼いならされてきた二人は簡単に変わることができない。「変わることができない」という共通点でもって、水と油の関係である2つの側面は邂逅し、未来を築こうとするのだ。

ただ、やはりどうしても水と油の関係故に激しく対立する。タクシー運転手は、暑苦しいほど面倒見が良く、「鍛えろ、鍛えたら俺みたいになれるぞ」とエゴを押し付けてくる。それに対して、「老害だ」と反発する。お互いに苦しく、傷つけあい、心に虚無が広がる様。苦しい!と心の底から叫びをサックスが代弁する。そして、不器用ながらもお互いに新しい居場所を見つける。

パーヴェル・ルンギンは、シュールで混沌とした音楽、暴力、爆発、破壊でもっていずれ歴史の中に埋もれ忘れ去られてしまうであろう時代を切り取った。これは是非ともDVD化してほしい傑作でした。特に『タクシー運転手』を気に入った人にオススメしたい作品であった。

個人的に、もし映画を撮るなら、洗車機から出現する車にドンケツするサックス奏者というビジュアルを真似したいと思った次第である。

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