いやね、DVDが300円くらいで買えるんですよ。んでいざ見始めたら冒頭の画質がおうんちでね、なんでいやっぱり300円クオリティじゃねぇか！と憤慨しつつも停止ボタン押さずに踏ん張ったら、結局「0、1個足りてます？」って感じになった。モブすら輝く画面隅々から溢れる圧倒的情報量は確かにゲルマン譲り、アンゲロやらタルコの声が出るのも分かるし、乾いた画面の中でただ累々と死人だけが増えていく。銃器はあれど火薬はない、んじゃ運ぼうって言う単純な話で、単純な任務に甚大な被害を出して帰って来て「英雄」だなんて声をかけられるが、どうも釈然としない。最終的にどうでも良くなって「明日生きる事だけを考えよう」なシン・エヴァ思想、からの婆ちゃんのミシン、それでも続く戦争。大攻防はこの先じゃん！ともなるけど、その前段階として非常に面白い。カメラに詰め寄ってくる「僕バカでぇ〜す」少年は一体何者…。

傑作。市街と空襲を受ける激戦地の俯瞰が、巧妙なフレーミングによってほとんど同じように撮られている。後景を通過していくモブと倒れ込む兵士は並置され、「戦争」を日常生活の延長線上に出現させてしまう手腕は正にアンゲロプロス的。
戦闘シーンの迫力という点では『コレヒドール戦記』を思い出すが、本当にハリウッドのスペクタクルにも劣らぬ大迫力。

「戦争映画」は(展開やビジュアルの次元ではなく)どれだけリアルなのか、かつこの光景が撮影されているという事実との矛盾が大きいほど面白くなる一例。

『炎628』は勿論、『サウルの息子』や塚本晋也監督版『野火』等のミニマルな体感型戦争映画が好きな方には是非とも勧めたい怪作。

アレクセイ・ゲルマン、テオ・アンゲロプロスなんかのテイストを感じさせる、一部映画ファンからカルト的人気を誇るロシア製戦争映画で、実際本作の監督はアレクセイ・ゲルマンの『戦争のない20日間』で助手を務めたこともあるそう。

大量のロシア製B級戦争映画を配給する配給会社“彩プロ”による配給作品で、その如何にもなドンパチを繰り広げそうな戦争スペクタクルアクション的なポスタービジュアルや邦題からは想像もできない程に硬派な作品。上記で挙げた監督たちの要素が色濃い極めてピュアな、逆に言えば“不親切”な作りの作品(※不親切とはすなわち起伏のある物語性や余計なセリフの排除、感傷的なシーンの排除等)。

CGに一切頼らない生身の迫力ある空爆、空襲描写や、遠景を多用した叙情的な映像等…とにかく全シーン全ショットに宿る強度が凄まじい。作り手の本作に懸ける尋常じゃない熱量が伝わってくる無茶苦茶“攻めた”作品。