短文感想 65点
鬼才パゾリー二の「生の三部作」の2作目。あの有名なチョーサーの『カンタベリー物語』の内容をもとに、オムニバス形式で仕上げた艶笑作品。なんかもう感覚が麻痺しちゃってます。モザイクなんて普通だし、ところどころで行為をしだすんですが、まあパゾリー二の作品だしな、と割り切ってしまえるのが怖いところ。それでもラストのカオス具合には唖然となりましたね笑 今のところ、一番おならの音を聞いてしまえる作品です笑 それにしても、今作といい前作の『デカメロン』といい、どちらも世界史の文化史で出てくるほど有名な作品ですが、こんな内容も含まれているのか。。笑 3作目は『アラビアンナイト』。これをみたいためにこの2作を見たといっても過言ではありません笑

• #tmy整理オムニバス

パゾリーニ監督の「生の三部作」の第二弾。

本作はイギリスの詩人チョーサーの物語集を、この監督ならではの強烈なクセ満載での映像化。

前作の「デカメロン」は、原作自体が言ってみれば古典コメディのようなものなので映像化によるパロディはそれなりに成立していたと思う。

対して本作の原作は必ずしもコメディでは無い筈なので、この映像化作品も登場人物たちの立ち振る舞いがどんなに滑稽であろうが実は笑える内容のオムニバスとはなっていないので、やや強引にコメディに寄せに行ってる感があった。監督自身は意図せずとも、どうしてもその括りで見えてしまう作風。

「デカメロン」と比較しても一つ一つの物語が弱い印象。

但し、チョーサーの故郷であるイギリスでロケを敢行した雄大な大自然を存分に活かした大人数のエキストラシーン、室内セットの装飾美、衣装へのこだわりには前作よりも目を奪われた。

本作に関しては、流し見程度でも十分に楽しめるお手軽さもいい。

第三弾の「アラビアンナイト」はまだレンタル出来ていないが、この“生の三部作”に関しては、全裸の男女が性器丸出しでモザイク無しで出てこようが全く下品とも淫靡とも感じさせない（個人差あり！）底抜けな明るさも好きではある。

ただし、本作を鑑賞して、特に終盤の地獄の描写シーン・・・自分がスカトロジーを全く受け付けることが出来ない事実を再確認してしまった。

共産主義者のパゾリーニ監督がネオナチなどファシズムの残虐行為のメタファーとして意図的にスカトロジー描写を作品に取り入れたという逸話を知った上での鑑賞ではあったが生理的に受け付けられないものはどうしてもダメな訳で・・・。

本作がベルリン国際映画祭金熊賞受賞とは、まだまだ自分は映画の正しい鑑賞方法が分かっていないのかもしれないなあ。

もちろん、時代や社会背景と共に映画祭の審査基準は変わる物と理解しているが、仮にジブリ大大だ～い好きなお花畑に生息する人物が「千と千尋の神隠し」がアニメーション映画で歴代唯一無二の金熊賞受賞作と知って、過去の受賞作品を全部見てみましょうなんて間違った欲出して、うっかり本作鑑賞した日にゃあ、冒頭から「ホモ野郎のケツ穴堀りのようなツッコミ・・」なんて台詞が飛び出すんだから、それこそお花畑から肥溜めに放り込まれた気分になるでしょうに。

【ベルリン映画祭映画】最低限みておくべきヨーロッパ映画10作品
https://narcos.hatenablog.com/entry/berlinale-movie-osusume

【パゾリーニ映画】死因となった「ソドムの市」みるべきおすすめの順番
https://narcos.hatenablog.com/entry/pierpaolopasolini-movie-osusume