テイクオーバーゾーンの作品情報・感想・評価

上映館(2館)

テイクオーバーゾーン2019年製作の映画)

製作国:

上映時間:90分

3.6

あらすじ

「テイクオーバーゾーン」に投稿された感想・評価

TIFF2019にて。陸上をする中学生少女を中心に描かれたジュブナイルストーリー。

物語の始まりは両親の離婚シーンから。それから2年後。うだつの上がらない父と暮らすサリは、すっかりスレてしまっていた。自暴自棄になり、家でも学校でも悪態をついて周囲に迷惑をかけている。足が校内の女子では1番速いことを笠に、所属する陸上部の練習も横目で見てサボっている。自分がこじらせていることもあるし、他人のせいでこじらせていることもある。哀しい境遇であることは間違いなく、そんな心境を写すかのように彼女は誰にも頼らずに1人で走り続けている。

ヒロイン、サリ役の吉名莉瑠さんの表情がすごく良かった。強い目ぢからがあって人を惹きつける素敵な魅力を持っていました。まだ浅いキャリアですが、今後の活躍に期待大です。

同級生のユキナと大会で走るシーン。
母親に「頑張ったね」と抱きしめられるシーン。
母親の新しい家族と別れ、父親の待つ駐車場へ行くシーン。

反発していた時期を超え、サリの成長が感じられる瞬間が切り取られていて、じわじわと同情をあおられました。
子供の時代は、自分の意思に関係なく、周囲が変化していくことが許せないと思ったりする。それに反発したくなったり、でも、じゃあ何がしたいのかが判らなくてイライラしたり悲しくなったりする。そういう姿が今はとても、みずみずしくてキラキラして見える。

目の前のことを受け止めることが現実。辛いことは誰にでも起こる。何を辛いと感じるかには個人差があるが、それを受け止めて、さらに越えて生き続けていくのには勇気やエネルギーが必要だ。
若いうちは、ひとりで頑張りたい、ひとりで生きていると思ったりするが、人間は弱い。1人じゃ生きていけない。最後のシーンはそういった、家族や仲間との絆を感じられるシーンで、ジーンとしました。起承転結がしっかりした脚本の良さはもちろんですが、出演者も演出も新鮮で良かったです。

青春映画が好みなシネフィルさんや、良質作品を発見するのが得意なシネフィルさんにオススメの作品です。
Naoya

Naoyaの感想・評価

2.3
14歳の少女は、親の離婚で弟と引き離され、父と慎ましく暮らしていた。ヒューマンドラマ作。複雑な家庭環境から、さらに複雑な学校の環境から、強くなろうとする彼女、そして、その環境におかれた彼女だからこその弱さも現れており印象的。等身大な姿だからこそ、リアリティが凄まじい。家庭での親子の関係、弟との絆、学校での友情や、部活である陸上部との関係と、彼女の人生模様が一つ一つ丁寧に描かれ、家庭と学校という二つの環境においても無駄がない作り込みで、印象的で良いドラマが生まれてます。主人公以上に、主人公の同級生の作り込みも良い。ワンショットで撮られた場面もあり、持ってきどころも素晴らしい演出。
むく

むくの感想・評価

3.3
話の流れは割とすき。
主演の子の演技がすごくよかった。
ただ、陸上が好きな女の子ってだけじゃなくて、主人公の環境がまあまあ可哀想なんだけど、いろんな意味でのテイクオーバーゾーンってタイトルが良い。

Q&Aで結構観客に突っ込まれてはいたけど、良いストーリーだからこそもうちょっとこだわって撮って!って思うところは多かったかも。
ジュブナイル映画の主人公が、人にキツく当たるスクールカースト高め女子って、なかなか新鮮だった。運動神経がやたらよくて、彼氏が当たり前にいて、父親に悪態はつくけど料理はちゃんと作ってあげる中学生の沙里が魅力的。弟くんのこと大好きなのもかわいい。主演の吉名莉瑠さん、本気でイラついたようにセリフがしゃべれるのすごいな。

ただ、走るシーンの見せ方がいまいち好みに合わず残念。スローモーションとか呼吸音とかは、ここぞで使ってほしい。映画始まってすぐは淡々と描写したほうが逆に引き込まれたと思う。こっちの熱が上がってないうちに、ドヤってやられると気持ちが引いてしまう。

あと、クラスや陸上部の女子たちに、もうちょっと演技をつけてあげてほしかった。沙里を口々に非難するシーンなんかで、みんな不自然なぐらい同じことしか言わない。たぶん台本に「『ありえないんだけど』などと悪口」みたいにセリフの例が一つしか書かれてないんじゃないのかな。台本はそれでもいいけど、だったら現場でもうちょっとフォローがあってもよかった。奇妙な輪唱のせいで、こんな感じにムダに撮影風景を妄想してしまって気が散る。

内田慈さんは今回もよかった。沙里の父親と離婚した後で金持ち男性と再婚し、夫や夫の連れ子に媚びを売るっていう役で、顔に貼り付けたような笑みがいい感じに不気味。でも、てっきり金だけが目当てかと思いきや、ちゃんと連れ子の母親になりたい(=夫を愛している)んだなってわかるシーンがあって、そこはジーンとした。最後のスタジアムのシーンも、ちょっと唐突には感じたけど、聞きたいセリフ、見たい画だったので、カタルシスっていうやつを堪能させてもらった。

タイトルも好き。テイクオーバーゾーン。リレーのバトンの受け渡しをするゾーンのことで、劇中でもちゃんと説明してくれる。まさにリレー競技に打ち込んでいく少女たちの話でもあるし、誰かの母(父、姉、娘)という役割を誰かから引き継ぐ人たちがいて、そこにもかかっているのかなと思った。言葉がうまくなくてこじれる人たちの話でもあったので、ちゃんと手渡して届けるっていうところに注目させる意図もあったのかもしれない。なかったかもしれない。
Kei

Keiの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

事前情報なく見に行った。
泣いた。感動した。

テイクオーバーゾーンは、陸上のリレー競技で、バトンを受け渡すことができる範囲。
長さ20メートルの区域で、これ以外の場所での受け渡しは失格となる。
バトンゾーンのことだ。

主人公は中学生で陸上部所属の女の子。
両親は離婚し、母と弟と離れ、父親のほうについた娘は、汚いアパートに住んでる。
酔っ払って床で寝る父親に悪態をつきながらも父の分の朝食を用意している。

離婚した両親、同級生、先生、進路、再婚。。。

家庭環境だけでなく学校生活でも様々な人間関係に翻弄され、走り回る。
ダメな親父の姿を見て、自分のことを惨めに思いながらも、周囲に当たり散らす彼女の胸中が痛いほど伝わる。

最終的に掴んだバトンに感動した。
honobon

honobonの感想・評価

3.1
東京国際映画祭にて、舞台挨拶とQ&A付き。

全体の印象は粗いかな。と感じてしまうものの、主役の吉名さんの持つ雰囲気にマッチしている。

「自分のことしか考えていない」と言われたときには、どいつもこいつも…とは思うけれど斗真だけはただ純粋で、お姉ちゃん想い、なんとかしようとの情景が浮かぶ。
誰もが心のどこかに傷があり、それを治癒する方法は沙里と雪菜が繋ぐ継走のバトンパス。この見せ方がなんとも素晴らしい。さらにはラストシーンにもつながる。
東京国際映画祭、日本映画スプラッシュ部門。

3年前に親の離婚で可愛い弟と離れ離れになり、父親はいつもの川瀬陽太さん(=ダメ親父)で、陸上部ではぶっちぎりの実力ゆえに練習をサボり部員と疎遠になって…。
そんな14歳の少女が主人公の、不器用で脆い内面を描いた物語でした。

ジュブナイル脚本大賞というティーンエイジャーを題材にした脚本コンペで選ばれた脚本の映画化とのことで、90分の尺の中で丁寧にまとまった作品でした。

リレー競技でバトンを渡すことが出来る範囲を示す言葉、テイクオーバーゾーン。
14歳の少女にはあまりに突然すぎる出来事から物語が動き始める、少し残酷すぎるくらいに少女の内面を切り取った作品でした。

余談ですが、こういう規模の作品でもちょっとだけ空撮が使えるようになったのって、ドローンの最大の功績な気がします。
いちご

いちごの感想・評価

4.2
東京国際映画祭にて
たまたま空いている時間に、たまたま席が空いていたから観ただけの映画で、こんなに涙を流すとは思わなかった

同じような家庭環境
弟持ち
教育ママ
陸上部
の私にとっては心の底に埋めていた記憶をグリグリと掘り返され、一つ一つに分かる分かると頷き、それらと向き合いながら観るしかなかった

途中から涙が止まらなくなり、母親に抱きしめられてから父親の元へ行くあのワンカットは咽び泣きだった

たしかに気になる点は元陸上部としても随所にあった、でも監督がQ&Aで仰っていたように映画の嘘でいいんじゃないかって私は内容を上回るほど気になることはなかった

メインのお二人も素晴らしかった
吉名さん笑顔が素敵で繊細な表現が魅力的でした
糸瀬さんあの年で受けのお芝居ができるのがすごい

ほとんどの人にはあまり理解されないかもしれないけど、一部の人間にはとても刺さりそして救うことのできる映画だと思いました
中学生の心情を描く映画って少なく、描かれていてもそれは大人目線でどこかリアリティがなかったものが多かったけど、これはリアルなあの世代の目線だと思う、耐性がなかったからのまれてしまった

早めに劇場公開して欲しい
もう一度見たいです
lp

lpの感想・評価

2.3
東京国際映画祭にて鑑賞。

日本映画スプラッシュ4本目は『テイクオーバーゾーン』。
新人監督が多く集った今年の日本映画スプラッシュ部門にあって、今作の山嵜晋平監督は長編2作目でのエントリー。タイトルからも伝わる通り、陸上をテーマにしたストーリーが気になったことと、キャストには内田慈や川瀬陽太といった名バイプレイヤーの名前が並んでいることもあり期待して鑑賞。しかし、残念ながら個人的には不発だった!

主人公は陸上部のエース。彼女の母親は弟を連れて家を出ており、現在は父親と2人で暮らしている。ある日、スーパーで偶然弟と再会した主人公は、離婚した母親がよりにもよって、同じ陸上部の同級生の父親と再婚していたことを知る・・・という話。

ストーリーは悪くなかった。友情と陸上をベースにした女子中学生達の物語に、複雑な家族関係の事情が絡むストーリーは、それぞれ単品ではフレッシュさに欠くけれども、組み合わせることでユニークな話に映った。

キャストに関しても素晴らしかった。
主演の吉名莉瑠の堂々たる存在感も素晴らしいし、吉名莉瑠に対して受けの演技を披露する糸瀬七葉も良い。若手だけでなく、川瀬陽太と内田慈が演じる「元夫婦」のコンビも最高だ。

しかし、演出の面で弱さを感じた。
まず「主人公」=「陸上部のエース」という設定に実感が湧かず。確かに主人公の走る姿をズームアップして、「速さ」を感じられるシーンもあるのだけど、競争相手がいるシーンはスローモーションが多用されていて残念。
また、タイトル通り「バトンの受け渡し」が1つのキーになるのだけど、映画後半のある場面が見事に嵌まらず。唐突な展開に少し興醒めしてしまった。
他にも、主要登場人物以外のキャラクター達のストーリーへの絡ませ方が全般的に弱く、話運びに違和感というか「わざとらしさ」を覚える展開が散見された点もイマイチだった。
ただ、ここまで見せ方の弱さを並べたけれど、ラストのロングショットだけは、内容も映し方もとても良かった。

平均レベルが高い日本映画スプラッシュの中では不発に感じましたが、見所が全く無い訳ではないので、気になる方はぜひ。
Gaumont

Gaumontの感想・評価

2.2
才能あるも恵まれない環境にヤサグレる少女、才能劣るが真面目で優等生少女、お互い相入れない二人が意外な結びつき…ちょっと出来過ぎ?
何にでも噛みつく口悪ヤサグレル少女(吉名莉瑠 目力いい)が不幸境遇の不良かといえば?身綺麗だし家も片付いてるしお買い物や料理もこなし弟思い。そんだけでなく中学生で彼氏持ちな上に彼氏が凄えいい奴ってこれ超リア充じゃね?
まぁ、お決まりの展開色々あって少女二人も頑張ってていい感じも結末が残念。
脚本ではお互い走り通じて理解の大団円で良かったんだろうが、映像で演技で見手を納得させるとなると若い二人には荷が重いし演出も凡庸。その上追い討ちで母親との和解とかも唐突で軽くせっかく積み上げてきた心理描写が台無し。
まぁ、この規模作品で空撮できるドローンに驚くと共に内田慈さんが相変わらず上手いと再確認できたけど…