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リダンス
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リダンスの作品紹介

リダンスのあらすじ

⼯場勤務のユトゥカは、ダンスパーティーで出会った⼤学⽣アンドラーシュと恋に落ちる。彼に拒絶されることを恐れたユトゥカは、⾃分も学⽣であることを装い、名前も偽る。やがてアンドラーシュはユトゥカの素性を知るが、両親には真実を告げられずにいる。両家合同の⾷事会。アンドラーシュ家の階級意識が剥き出しになっていく。

原題
Szabad lélegzet/Riddance
製作年
1973年
製作国
ハンガリー
上映時間
81分
ジャンル
ドラマ

『リダンス』に投稿された感想・評価

[ハンガリー、労働者とブルジョワの越えられない壁] 80点

メーサーロシュ・マールタ長編四作目。初長編『The Girl』から本作品までの四作は、社会と個人の関係性から社会を覗き見る作品群であり、より個人に傾倒する次作以降の作品と区別するために、第一期とみなされることが多い。本作品の主人公は機織工場で働く女工のユトカ。昼間は働いて夜はダンスパーティに潜入する日々を送っている。そこでユトカはアンドラーシュという青年と出会う。しかし、彼女は自分が大学生であると偽ってパーティに参加し、アンドラーシュにも偽り続けていた。やがて身分を明かし、彼もそれを受け入れたように見えたが、決して親族には紹介してくれないし、外で明かすのは嫌がる。社会主義によって表面的な"平等"を獲得したかのように見える社会の中に、歴とした階級が存在しているのだ。アンドラーシュはユトカが自分に相応しい身分であることに拘り続け、嘘を付くよう要求する(この幼稚な感じ、後の『ナイン・マンス』の上司にも似ている)。ようやく招いてくれたアンドラーシュの実家では、息子に労働者の彼女がいる可能性すら疑わないアンドラーシュの母親は、全く噛み合わない価値観を見せつけてくる。ユトカの労働風景や社員寮での生活風景を挿入するのは、彼女の感情の移ろいを具に描写するのに加え、大学やアンドラーシュの実家の"優雅な"生活との対比という意味もあったわけだ。家族全員で新築の一軒家で食事をするアンドラーシュ家族に対して、ユトカの両親は離婚していて、母親はヒモ男と一緒に暮らしていて("幸せなの?"という質問に涙を浮かべる母親…貴方は幸せになって、みたいな目線…とてもつらい…)、といった具合に、これでもかと断絶を提示してくる。こうして社会構造はユトカの内面の矛盾へと転換され、見事な心理ドラマを社会主義リアリズムの文法で構築していく。今度は君の両親に会わせてほしいと言われて召喚した、何年も会ってない父親が、父親同士なんか仲良くなっちゃうシーンは、嘘だと知るユトカ&アンドラーシュ目線では地獄。