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軋む日々
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『軋む日々』に投稿された感想・評価

Omizu
4.0
【第73回ベルリン映画祭 審査員賞】
ポルトガルのジョアオ・カニージョ監督作品。ベルリン映画祭コンペに出品され審査員賞を受賞した。

これは傑作。ポルトガル映画というとマノエル・ド・オリヴェイラくらいしか知らなかったが、こんなにレベルが高いのか。

家族経営のホテルに集まった女だらけの一家、娘がやってきたことで母は苦悩を隠せなくなっていく。

見事なカメラワークと会話でみせていくその様は圧巻。話としてはかなり地味なのだが、計算し尽くされた撮影が恐ろしく見える作品だった。

どうしても娘を愛せない母の葛藤と苦悩の道筋が表される。果たして娘を愛せるのか、はたまた愛するのが正しいことなのか…苦悩のうちに狂気じみた考えを持っていく。

内容としてはローテンションな会話劇なのだが、全編に漂う異様な雰囲気は何だ。死の匂いが漂い登場人物は生きていないかのように見えてくる。

非常に興味深い人間ドラマであり、母性や子どもへの愛というものを問い直すような一作だ。ホテルの構造を活かした撮影が本当に素晴らしい。
[ポルトガル、愛が彷徨う迷宮ホテルで] 80点

傑作。2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。2024年アカデミー国際長編映画賞ポルトガル代表。ジョアン・カニホ(João Canijo)長編最新作二部作。同じ映画祭のエンカウンターズ部門に出品された『Living Bad』と対になっており、本作品ではホテル経営をする親子三代、同作ではそのホテルにやって来た客の目線で同じ時間の出来事を描いている。ホテルを経営する親子三代には極めて複雑な愛憎が渦巻いている。家長のサラはホテルのオーナーとして忙しく動き回る。その娘ピエダーデは常にサラからの批判に晒され崩壊寸前だ。そしてその娘サロメが父親を失って帰ってくるところから物語は始まる。この家で母親は娘を愛せず、娘は母親を愛せない。ズタズタになった二人の娘の心は迷宮と化した複雑すぎるホテルの構造そのもののようでもあり、二人は愛を求めてホテル内を彷徨い歩く。その廊下が階段がどこに繋がっているかも分からず、他人の会話を悟られずに盗み聴くことができるほど空間把握もままならず、常に人々の間には鏡やガラスやドアや高低差といった障害物があって、閉鎖性と断絶が視覚化され続ける。カメラが心情に寄り添おうと人物に近付こうものなら、あっという間に背景がボケてしまい、話す相手も画面外に追い出されてしまう。あまりにも残酷すぎる。ピエダーデは"人の愛し方が分からない"とサラに零すが、サラはその手を払い除けた挙げ句"お前はいつも自分のことばかりだな"と罵って被害者ぶる。サロメも同様に母親つまりピエダーデからの愛を感じたことがなさそうで、幼少期のエピソードから今に至るまで様々な形でピエダーデの愛を感じ取ろうとしてきたようだが、サラからあんな形で接されていたピエダーデが正しく感情表現できるはずなんてないじゃないか、と暗澹たる気分にさせられる。ただ、この三代だけ見るとサラが一方的に悪いんだが、恐らくはサラがピエダーデだった頃もあるはずで…
煙
4.1
『軋む日々』。不平、不満、悪口、罵り、諍い(時に手もあがる)。全編不機嫌な素晴らしい映画。プールのロング。手前からと向こうから。窓の外に置いたカメラ。ツーショット。ホテルから動かない。男性はほとんどなし(客として前半に座っている客、後半に向こうからホテルの廊下歩いてくる客)。無造作な日常。音楽ほとんどなし。

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