ユニバーサルに失望してMGMに転職したフェヨシュは、『ビッグ・ハウス』のフランス語版とドイツ語版のリメイクを作るなど非常につまらなそうな仕事しかしていない。ルビッチ、レニ、ムルナウと並び称された外国人監督は、その才能を活かす機会も素材も与えられず、彼はアメリカを離れる決意をする。フランスで『Fantômas』を製作し、その後故国ハンガリーへと戻った彼は、ハンガリー語で二つの長編を撮る。それが『The Waters Decide』と本作品である。これらの作品は『Hyppolit, the Butler』の成功によってコメディ映画絶頂時代を迎えるハンガリー映画史的にも、そしてアート映画嫌いなハンガリー人的にも受け入れがたいものだったようで、本作品の"神への冒涜的な態度(そういう映画ではないのだが)"のせいで上映禁止になった。フェヨシュ自身大いに幻滅したに違いない。以降は故国も離れて欧州を放浪し、最終的に文化人類学者/考古学者として世界を駆け巡ることになる。